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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第三十七章 ほっとけない人々

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第164話 悪い友と交わって

「貴様等もそう思うだろ!」 


 突然カウラが後ろを向いて怒鳴るのを聞いて誠は驚いて振り向いた。しばらくして枯れた雑草の根元からかなめとアメリアが顔を出した。


「なんだよ……バレてたのかよ。その様子だとかなり前からバレてたみたいだな」 


 かなめが頭を掻いた。アメリアはそのままニコニコしながら誠に向かって走り寄ってきた。


「大丈夫?誠ちゃん。怖くなかった?襲われたりしなかった?」 


「私は西園寺姉妹じゃないんだ。襲う襲われるは西園寺家の専売特許だ」 


「カウラ言うじゃねえか……それに誰がこいつを襲うんだ?襲うのはかえでだろ?『僕は許婚だから神前曹長の童貞を奪う権利があるはずだ』とか言って」 


 突然の二人の登場に困惑している誠を尻目に三人は勝手に話を進めた。


「それは違うんじゃない?むしろ襲うと言えばかなめちゃんでしょ?『女王様』で攻めオンリーなタイプだし。かえでちゃんはむしろ誠ちゃんに襲われたいタイプよ」 


 アメリアは誠が困惑するのとかなめが切れるのが面白いと言うように挑発的な視線をかなめに向けた。


「人を色魔みたいに言いやがって……」 


「怖い!誠ちゃん助けて!」 


 胸倉をつかもうとするかなめをかわしてアメリアが狙い通り抱きついてきた。誠はただ呆然と立ち尽くしてまとわりついてくるアメリアを受け止めるしかなかった。わざと胸の当たりを押し付けてくる感覚に苦笑いを浮かべながら誠はカウラを見た。


「もしかしてカウラさんかなり前から西園寺さん達の存在に気付いてました?」 


 さらに胸を押し付けてくるアメリアを引き剥がそうとしながら誠はカウラに声をかけた。


「駅を出たときにはすでに尾行されていたのがわかった。さっき走ったときにはかなりあわてて飛び出していたから神前もわかっていると思ったんだが……貴様はアイツ等が出てくるまで気付かなかったのか?まったくたるんでるな」 


 そう言うとカウラはいかにも不満そうな顔を誠に向けた。相変わらずアメリアは誠にしがみついていた。


「いい加減離れろ!」 


 アメリアの首根っこをつかんだかなめが引っ張るのでようやくアメリアは誠から離れた。


「勝手に尾行したのは悪かったけどな……」 


 そう言うとかなめはカウラの首のマフラーの先を手に取った。


「うわ!」 


 思い切りその端の縫い取りに向けてかなめが怒鳴った。突然の出来事にアメリアが思わず誠から手を離した。そしてそれを見てかなめは満足げに頷いた。


「あれ見て」 


 すぐに我に返ったアメリアが指をさす対岸の遊歩道に、耳を押さえて座り込む男女の姿があった。


「島田先輩……仕事が忙しいんじゃないのかな……」 


 さすがに目立つピンクの髪の色のサラをつれている島田が耳を押さえて立ちすくむ姿は百メートル以上離れていても良くわかった。


「盗聴器まで仕掛けて……あの馬鹿。暇なのか?ちっちゃい姐御に言いつけるぞ」 


 かなめが舌打ちをした。そして島田達と同じように耳を押さえながら土手をあがってくるのは菰田と技術部の面々だった。


「バレてたんですか……」 


 お手上げと言うように頭を掻く菰田をカウラがにらみつけた。


「隊長だな。こう言うことを仕込む悪趣味な人は。あの人の事だ、島田の奴に休みをやるからと甘いことを言ってこういうことをさせたに決まっている。全く困った隊長だ」 


 そう言ってカウラは菰田が手にしている小さなケースを取り上げた。


「悪趣味はよしてもらいたいですね」 


 カウラは一言ケースにそう言うと盗聴器の入ったケースを握りつぶした。



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