表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第三十四章 カウラの誕生日前夜祭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

150/200

第150話 プレゼントの仕上げ

「パーラの奴は本当に人が良いと言うかなんと言うか……」 


 かなめの苦笑いに誠も頷くより他になかった。深夜、もうすぐ日付が変わろうとしていた。サラ達運用艦『ふさ』のブリッジクルーの女性隊員達はただ一人、帰りの運転の為に酒を飲めなかったパーラの運転するマイクロバスで誠の実家の道場を出て行った。


 かなめとアメリア、そして誠が見送った。カウラは今は道場の床を薫と一緒に掃除していた。


「おい、神前。いいのか?明日だぞ、カウラの誕生日」 


 かなめのタレ目が誠に向かった。満面の笑みに誠は酒を出来るだけ控えていた理由を思い出した。


「大丈夫よねえ。その為にあまり飲まなかったんだから。今晩は一晩中かけて仕上げてみなさい。男の子でしょ」 


 そう言うアメリアに誠は自信を持って頷いた。さすがに冬の晴れた日。日が落ちてからはどんどん気温が下がった。暖房といえば煮えたぎる鍋が有った先ほどの宴は過ぎて、羽織るどてらに冷たい風がまとわり付いた。


 三人はさっさと玄関に向かい、引き戸を開いてあがりこんだ。


「じゃあ、僕は作業があるんで」 


 そう言い残して誠は階段を駆け上がって自分の部屋に入った。邪魔するものも無く机の上にはカウラへのプレゼントのイラストが乗っていた。


「ふう。御馳走食べて元気も出て、後は自分の仕事をするだけ。最高の気分だ」 


 そう言ってため息をついた後、誠はそのまま机に向かった。実はカウラのドレス姿は細かい修正が残っているだけで、すでにほぼ完成していると言ってもいい状況だった。


 いつものポニーテールを解いたエメラルドグリーンの髪、その額の赤い石の輝くようなティアラ。胸のネックレスにも同じような赤い石が光っていた。まっ平らな胸が少し増量されているように見えるのはご愛嬌だと誠は思わず笑みがこぼれた。


 しばらく誠はじっとその絵に見入っていた。表情はいつもの緊張したカウラのものではなく、少しばかりやわらかくアレンジしてみた。


 めったに見ることが出来ない安心したような笑顔。かなめなら『こんな顔か?こいつ』とか言われるかもしれない。そう思いながらとりあえず首飾りの輪郭などにペンを入れる作業を始めた。


 師走だというのにいつも忙しい下町にしては静かな夜だった。下町の繁華街と住宅街が入り組んだ町には似つかわしくないほどの沈黙に誠の身が引き締まった。誠はそんな中で静かに作業を続けていた。


 そんな中ふすまの外でごそごそと音がして振り返った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ