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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第三十二章 ありふれた事件

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第138話 全くの別の事件

「やっぱり例の辻斬り侍とは別の犯人だな。凶器は山刀。被害者の傷は切ったというより殴ったものが細かったからめり込んだような状態になったらしい。死亡した女性は頭部をその山刀で殴られたことで頭蓋骨を割られたのが致命傷になったらしい」 


 情報を次々と吸い取りながらかなめがカウラに告げた。


「法術系の反応は?」 


「そんなにすぐ情報が集まるかよ!今のところはこの前行ったデパートあるだろ?入り口で凶器を捨てた犯人がそのまま紛れ込んだらしい……凶器をあっさり捨てるってことは他にも何か持ってるな。しかも人ごみの中に入るとは……やっかいだな」 


 そう言ってかなめは頭を掻いて伸びをした。モニターには次々とデパートの監視カメラのデータが映っていた。


「犯人を特定できる画像は?」 


「カウラ……急かすなよ!いま探してるところだ」 


 そう言うとかなめは目をつぶり、直接端末から脳に流れ込んでいる画像の検索を始めた。


「映像は揃ったが東都警察のデータと照合したが前科は無いみたいだな、ちょっと犯人の身元の特定には時間がかかるぞ」 


 かなめはすばやく首筋のスロットに差し込んでいたコードを抜いて立ち上がった。不思議に思う誠だが、かなめはそのまま交番を出る。誠のあっけにとられた表情にかなめが笑いかけた。


「とりあえず現場に行くか」 


「ああ、そうだな。君達、これを借りるぞ。緊急措置だ」 


 そう言ってカウラはパトカーの天井を叩いた。一瞬あっけにとられた警察官は顔を見合わせた後、すぐにパトカーのキーをカウラに渡した。


「おい!神前。置いてくぞ!」 


 かなめの声に状況が理解できないまま誠はパトカーの後部座席に乗り込んだ。


 運転席に着いたカウラは慣れた手つきで手早くシートベルトを締める。助手席のかなめも苦い顔をしながらそれに習った。


「じゃあ、行くからな」 


 すぐにカウラはエンジンを吹かし、パトカーは急加速で国道に飛び出した。


「そんなに急ぐ必要もねえだろ?浅間マルヨは……もう見えてるじゃん」 


 かなめの言葉通り通り魔が逃げ込んだ百貨店の屋上の広告塔が雑居ビルの向こうに見えていた。まだ犯行直後と言うことで、非常線も交通整理もできていない状況。赤いパトランプを点灯させるとそれを見た対向車は道の両端に避けた。それを見ながらカウラはパトカーを疾走させた。対向車線にはみ出しながらいつもの自分の『スカイラインGTR』よりもアクセルを吹かし気味に走り続けた。


「西園寺!何かわかったか?」 


「そんなにすぐ情報が集まるわけ無いだろ?まあ、法術反応は無いそうだが……まあ茜の把握しているデータには犯人の情報は無いな。犯人は法術適性が確認されている人物じゃないのは確かだ」 


 前科が無い上に三ヶ月前に東和国民に行われた法術適正検査でも目立つデータを示さなかったことがわかった。そして渋い表情のかなめがパトカーのダッシュボードを開けた。


「糞ったれ!バックアップの銃くらい入れて置けよ!東和の平和ボケも大概にしろ!」 


 何も無いダッシュボードを思い切り叩きつけるようにかなめが閉めた。


「無茶を言うな。銃撃戦が仕事の私達とは職域が違うんだ!常に戦闘準備している警察なんて東和じゃ我々くらいのものだ」 


 舌打ちするかなめにそう言うとカウラは思い切りハンドルを切った。交差点でドリフトしてさらに加速して並んでいるタクシーをよけてパトカーは疾走した。駅前の遊歩道が見え始めた。すでに所轄の警官が到着して手にした無線機に何かを叫んでいる有様が見えた。


 カウラは白と黒のツートンカラーの警察のワンボックスの後ろで車を止めた。



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