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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第二十九章 神前家のある一日

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第127話 誠の母の朝稽古

 神前家の朝は早い。実家に帰るとこれまでの寮生活がいかにたるんだものだったということに誠は気づいた。家の慣れたベッドの中、冬の遅い太陽を待たずにすでに誠はベッドで目覚めていた。


 そのまま昨日色をつけ終わって仕上げをどうするか考えていたドレス姿のカウラの絵を見ながら、のんびりと着替えを済ませた。紺色の胴着。その冷たい感触で朝を感じる。その時ドアの向こうに気配を感じた。


「おーい。朝だぞー!」 


 間の抜けた調子のかなめの一言が聞こえてきた。どうやら今回は薫に起こされて来たらしい。以前来た時は女性隊員の数が多かったので道場で雑魚寝をしていいて薫の朝稽古が終わったあたりでカウラが起きてくるといった感じだった。今回は気の置けない三人とあって母は自分の起床に合わせてカウラ達を起こしたらしかった。


「わかりました、今行きますから……」 


 そう言って頬を叩いて気合を入れてドアを開けた。階段を下りるかなめの後姿が見えた。白い胴着が暗い階段で浮き上がって見えた。


「かなめちゃん……もう少ししゃきっとなさいよ」


 アメリアは朝まで深夜ラジオを聞く習慣があるのでこの時間でも平気な顔をしていた。 


「だってよう、まだ夜じゃん。日も出てないし」 


 一方のかなめは酒飲みらしく朝に弱い。それは寮での共同生活で誠もよく知るところだった。


「珍しいな。低血圧のサイボーグか?そんなサイボーグの存在を私は知らないが」 


 階段を下りると同じように白い胴着を着たアメリアとカウラがいた。


「じゃあ、行きますよ」 


 そう言って目をこすっている三人を引き連れて長い離れの道場に向かう廊下を進んだ。


『えい!』 


 鋭い気合の声が響いてくる。さすがに薫の声を聞くとカウラ達もとろんとした目に気合が入ってきた。


「誠ちゃんですらあの強さ……薫さんもやっぱり強いのかしらね」 


 アメリアの言葉に誠は頭を掻きながら振り返った。誠も一応この剣道場の跡取りである。子供のころから竹刀を握り、小学校時代にはそれなりの大会での優勝経験もあった。


 その後、嵯峨の提案で剣道を辞めるように言われた誠はどうしても剣道以外のことがしたいと中学校の野球部に入って以来、試合らしい試合は経験していない。それでも部隊の剣術訓練では嵯峨親子やラン、かえでは例外としても、圧倒的に速さの違うサイボーグのかなめと互角に勝負できる実力者であることには違いは無かった。


「あら、皆さんも稽古?」 


 四人を迎えた薫の手には木刀が握られていた。冷たい朝の空気の中。彼女は笑顔で息子達を迎えた。


「まあそんなところです……ねえ、かなめちゃん」 


 アメリアに話題を振られてかなめは顔を赤らめた。誠はそれを見ておそらくかなめが言い出して三人が稽古をしようという話になったんだろうと想像していた。



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