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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第二十八章 迷いのないペン

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124/200

第124話 忙しい晩飯

「やっぱり……綺麗だな」 


 誠は繰り返しかなめから送られてきたカウラのドレス姿の映像を眺めた。恥ずかしそうにエメラルドグリーンの髪をなびかせながらカウラはかなめの目であるかなめへと視線を移した。誠も正直高級そうな雰囲気に押されて良く見ていなかったカウラをじっくりと見つめた。


 鍛えているだけあって引き締まった腕。慣れないドレスに照れているような瞳。


 自然と誠は下書きの鉛筆がいつもよりすばやく動いているのを感じていた。


「待っててくださいね、なんとか仕上げますから」 


 そう誰に言うでもなくつぶやくと誠は作業に没頭していた。冬の短い日差しはもうすでに無かった。いつの間にやら肉を炒めた匂いが誠の鼻にも届いた。


「今日は……肉か」 


 誠はさっと描いた下書きを眺めた。いつもアメリアの原作で描かされているヒロインの影響を受けてどうしても胸が大きくなっていることに気づいた。


「ああ、まあいいか」 


 そう言うと誠はペン入れをはじめるべく愛用のインクを机の引き出しから取り出した。


 ペンを走らせて、誠は自分でも驚いていた。


 圧倒的に早い。迷いが無い。下書きの鉛筆での段階とはまるで違うと言うようにペンが順調に思ったように動いた。絵は誠のこれまでの漫画のキャラクターやアメリアに頼まれるアダルトゲームの原画と差があるわけでも無かった。そもそも写実的に描いたらカウラに白い目で見られると思っていたので自分らしく乙女チックなキャラクターに仕上げるつもりだった。


 時々、誠もリアルな絵を描きたいこともある。だが、最近はその絵をアメリアから散々けなされてあきらめていたことは事実だった。


 自分の描き方に自信があるわけではないが、ペンが順調に走っていく。誠はただその動作にあわせる様にして時々かなめのくれた画像を眺めては作業を進めた。


『かなめさん!もっとこねるのは力を抜いて!』


『分かりました!』 


 階下から聞こえる母とかなめの言葉でようやく誠は現実の世界に戻ったような気がした。たぶんかなめは母、薫の得意な俵型コロッケを作るのを手伝おうと思ったのだろう。自然と笑みが漏れていた。誠の作業は二人の掛け声に合わせるようにして順調に進んでいった。



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