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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第二十四章 招かれざる『許婚』

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第101話 思いもよらぬ訪問者

 誠達が実家の剣道場の門構えの前まで来ると、そこに見慣れない黒い高級電気自動車が停まっているのが見えた。誠はその見覚えのある車に嫌な予感がした。


「どなたか今日、お客さんが来る用事なんてあったかしら……」


 薫はそう言いながら車の運転席から長髪の執事を思わせる服を着こんだ女性が降りて来るのを見守っていた。


「渡辺大尉……なんでこんなところに……」


 誠が近づいていくと、運転席から降りてきたのは他でもない渡辺リン大尉だった。そうなると後部座席に乗っている人物の名前も誠達全員に予想がついた。


「かえでの奴、なんでこんなところに来るんだよ。アイツが行くなら銀座だろ?こんな下町に何の用だ。どうせろくでもない用なんだろ」


 リンが後部座席の扉を開けてそこから日野かえで少佐が降りるのを見ると、かなめは不機嫌そうにそうつぶやいた。


 いつものさわやかな笑顔を浮かべて金髪の短い髪をかき上げながらかえでは颯爽と車から降りて誠達の前に立った。


「ああ、皆さんお揃いなのですね。丁度、都心に出かける用があったので立ち寄らせていただきました。僕も今日は時間が空いているので、上げていただいてもよろしいでしょうか?」


 思わず誠も息をのむ美しいその面差しのいつもの実働部隊の制服とはまた一味違うカジュアルな男装姿のかえでが薫に向けてそう言った。


「これはこれはかえでさん。直接お会いするのは初めてですね。わざわざ豊川からお越しになったんですもの。上がっていってくださいな」


 薫はにこやかな笑みを浮かべてかえでを歓迎するようにそう言った。


「日野少佐……何しに来たんでしょう?僕には嫌な予感しかしないんですけど」


 誠は今一つ考え方が普通と違いすぎていて理解不能なかえでの行動に戸惑っていた。


「それは決まってるじゃないの。『許婚』として相手のお母様にご挨拶に来たのよ……まあ、私はかえでちゃんが誠ちゃんの『許婚』だなんて認めないけど。カウラちゃんはどうなの?」


 どこか構えたような調子でアメリアはカウラに話を振った。


「東和は甲武と違って親の決めた結婚に成人した者は逆らう権利がある。神前の気持ち次第だ。私の関知する話ではない」


 カウラもどこか緊張した調子で誠に向って視線を投げかけてきた。


「僕は……その……モテたことが無いし、『許婚』っていきなり言われても実感ないし……今すぐ決めろと言われても……その……」


 とりあえずこの生涯未婚率80パーセントの国、東和で『許婚』が居ると言うのは十分幸福なことなので、誠はあいまいな態度に終始した。


「神前がそんな態度だからかえでの奴がつけあがるんだ。ちゃんと『変態の中古品は要らねえ』って言って返品してやれ!アイツはなんと言っても『マリア・テレジア計画』の実行犯で24人の子持ちだぞ!そんなの要るかって言えば済む話じゃねえか!」


 いかにも面白くないと言うように、薫に導かれて玄関に向かうかえでとリンの姿をかなめは苦々しげに眺めていた。



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