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第二(3)いざこざ


「いい加減にしなさいよあなた!」


(えっなに?)

 一瞬私の事かと思って慌てて角から覗き込んでみるとアンナが二人の令嬢に取り囲まれて絡まれていた。

(アンナ?)


 気付かれないように見えない死角から聞き耳を立てていると、どうやら昨日のパーティのことで揉めているようだ。殿下が登場した時、面倒臭そうな顔をしていたのをたまたま近くにいて見られていたみたいで、殿下を慕っている者からしてそれがとても気に障ったようだった。

「殿下の大事なお披露目でその興味なさそうな態度は何なのよ、大体前々からあなたの態度が気に食わなかったのよ!」

 ほぼ一方的にまくしたてられても当の本人は無表情のままツンとした態度を崩さなかった。あの様子だと余計逆上させてこじれそうだし、とは言え流石にこのまま知らないフリをして帰ることも出来ない。


「あの〜他の方の通行の邪魔になってしまいますしここはこの辺で…」

「何よあなた、急に入ってきて!」

 突然割り込んできた私に向かって明らかに不機嫌な態度で彼女達が睨みつけた。

「あなたには関係ないわ、さっさとどこか行きなさいよ」

「ちょっとまって、あなたそういえばあのロイル殿下の婚約者に選ばれた人じゃない!」

 昨日の今日の事なのにもう顔バレしているということはきっともう私のことは周知の事実なんだろうな。

「いえ、まだ婚約者になると決まった訳ではないですが…で、でも殿下のことに対して言いたい事があるならどうぞ私に言ってください」

「たまたま選ばれただけで偉そうにしないでちょうだい。あなたに言いたい事が無い訳でもないけれど、私は今この女に用があるのよ」

 そう言って彼女はアンナをキツく睨みつけたが、アンナの態度はまるで変わらない。彼女達のことなど眼中にない様子でいかにも面倒臭そうな顔をしていた。その顔を見て更に彼女達の苛立ちは増していった。

「その態度よ!昔からずっと腹が立つのよ、人のことを見下したように馬鹿にして!」

「別に馬鹿になんてしていないわ。私はやる事があるの。あなた達なんて相手にしている暇がないだけよ」

「何よその言い方!」


 聞く限りどうやら以前から家同士で知り合いだったようだが一向に事態はよくならない。それどころか悪化するばかりだ。相手の令嬢もお昼休みの自分の時よりも怒りが溜まっていそうだった。

「まあまあ、あの、ここはどうにか抑えて…」

「無理よ、もう我慢ならないわ。こいつをどうにか踏みにじって謝らせでもしないと気が済まない」

「ぼ、暴力行為は厳罰対象になってしまいますよ」

「知ってるわ、けど問題にならなければいいのよ」

 言いながら令嬢達は互いに目配せをしてこちらを不敵に笑いかけた。私やアンナが声を上げたとしても無かったことにするつもりだ。

 アンナの前に立っていた私を強引にどかして彼女達はアンナに詰め寄った。アンナも受けて立つつもりなのかじっと黙って睨んでいた。


(このままじゃ本当に問題沙汰になってしまう。どうにかして二人の気を逸らせないと…)


お読みくださりありがとうございました。

またまた間が空いてしまいましたが少しずつゆるゆる再開していきますのでよろしくお願いします。

殿下まだ出てこないんですけどもうちょい後で出ますすいません。

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