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2040年
この物語は日本の架空の県「香川県」を舞台にしたフィクションです。
実在する人物、団体、地名、条例とは一切関係ありません。
2040年
私はいつも、かつては豊かだった香川県を思い出す。
瀬戸内海に面して温暖でありうどんが美味しい。
面積は狭いものの、山も離島もありうどんが美味しい。
あまり知られていないが、観光地も多くありうどんが美味しい。
かつての魅力を思い出すと、言葉があふれて止まらない。私の瞳は濡れてしまった。
さて。悲しいけれど現実に戻ろう。
今の香川県は、香川県民というただそれだけの理由でうどんを食べさせられ、就職で差別を受けている。経済も治安も悪くなり、県を脱出する通称「脱香者」も後を経たない。
私の好きだった香川県はもう存在しないのだ。
どうしてこうなったのか。全てのきっかけはあの条例だった。