SCP財団 ある研究員の手記にて~割り込む登場人物~
用語解説
SCP財団
この世にある異常な物質、存在、現象を抑え込む事を任務とし一般人が異常に対して恐怖することなく「一般的な日常」を送れるように日夜活動をしている世界的な組織。
異常現象を発見した際は速やかに「確保(Secure)」し、それらの影響が漏れないよう「収容(Contain)」した後、それらから人類もしくは異常存在を「保護(Protect)」する為それらの性質、挙動を完全理解することを目的としている。
SCP
その財団が収容している異常存在。物や人、空間から施設等、その形状は様々。
Dクラス職員
SCPの実験に使われる死刑囚などの人間。所謂モルモット。
SCP財団 ある研究員の手記にて¬~割り込む登場人物~
日記とはいいものだ。その日起きた出来事をこうして、整理することができる。
今日はとある実験の最中、友人であるフレッドに出会った。
・・・その実験とはSCP-504を使ったもので、これは一見、普通のトマトの姿をしているが、フレッドの大好物だ。
やれやれ・・・そう、このトマトはフレッドの大好物だ。
フレッドは、このトマトに対して、こんなジョークを言った。トマトが止まっとる。
すると、どうだ、トマトはフレッドの頭めがけて勢いよく飛び出し、彼の頭を
「おいおい、冗談はやめてくれ!俺を殺す気か?」
フレッド、君はきちんと本棚に収容されていたはずではなかったか?どうしてここにいる?
「何、ちょっとした気まぐれさ。」
ちょっとした気まぐれで私の日記に来られては困るな。君はフレッドという名前があるがSCP-423という、この財団に管理されている立派なSCPなんだ。
「そんな事は知ってるさ。」
それならば、収容違反を起こしてまで私の日記に表れた本当の理由を教えてほしいものだ。
気まぐれなど、ふざけた理由ではなくてな。そうでなければ、私は君を焼却処分しなければならない。
「わかったわかった。言うよ。今日ここに来たのは、ちょっとしたクレームさ。」
何の事を言っている?
「おいおい、忘れたのか?この間のDクラス職員の件だよ。いくら死刑囚の使い捨てだからって、人体実験に使った挙句、処分するなんて。ねぇ、薄情すぎるよ。」
だから、彼らの資料を解任から解放に変えたのか?
「あぁ、解任=処分だからな。」
仕方ないことだ。SCPという未知の脅威に対して、彼らの犠牲無くしては解明もあり得ない。必要な犠牲だよ。
「コラテラルダメージとでも言いたいのかい?」
そういうことだ。君たちの世界にも似たような言葉があるだろう?デウスエクスマキナとか、最近ではフラグというのかな?そういったものがあって、君たちの世界の物語はできている。違うかい?
「そんなことはない。決定的に違うことがあるさ。」
ほぅ、それはいったい何だい?
「命を大事にしているかいないかって事さ。あんた達の資料に載ってるのは、物語の登場人物じゃない。それを忘れないでもらいたいね。」
・・・なるほど、心にとどめておくとするよ。
「あぁ、是非、そうしてくれ。それじゃあ、俺は帰る。」
前の様に、ハリーポッターの世界に入ることは許さんぞ。
「あそこも楽しかったが、今は違う作品に興味があってね、そっちへいくとするよ。」
せいぜい、私以外の研究員に見つからないようにな。
「そんなヘマはしないよ。」
・・・フレッド?どうやら、本当に行ったようだ。
まさか、物語の中でしか生きられないSCPに、命について説かれるとは思わなかった。
彼から見る我々の世界は、きっと、どんな物語よりも残酷で滑稽に見える事だろう。
だからこそ、彼は我々とは違って人間らしくいられるのかもしれない。
・・・人間らしく、か。ここにいる限り、叶わぬ願いだ。
フレッドよ、私はお前が羨ましい。この狂った世界を知らず、お前はそのままでいてくれ。
我が友よ。
※SCP-423 著者:DrEverettMann
※この作品はSCP-foundationを使用した二次創作的作品です。
"SCP_Foundation"各世界観および投稿作品の著作権はクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス (CC BY-SA 3.0) に基づきます。
※参考サイト ja.scp-wiki.net/scp-423