エピソード2
風呂から上がった隼人は脱衣場に戻った。汚い制服は回収されており、服とタオルが置いてあった。タオルで体を拭き準備されていた服を手に取って見てみると、エルフの民族的な服だった。
最初は恥ずかしく躊躇っていたが裸で外を歩くのもどうかなと思い、渋々用意された服を着るのであった。サイズはピッタリでしっくりときていた。
「サイズピッタリだよ。一体どうやって服を測ったんだ?制服を見てかな?多分そうだな。」
隼人は感心していた。
「レオさん、人間嫌いな割には結構優しくて面倒見が良いな後でお礼をしておかないと。」
隼人は脱衣所から出て、言われた通りに8階の準備されている部屋に向かうのであった。向かう所までは良かったが、困った事に両側に部屋があったのである。
「いや、どっちかな...奥の部屋しか聞いてないしな....6個部屋のドアがあって奥って言われると、このどっちか....まあ、いっか。」
奥側の両側ドアの前で立っていた隼人は迷っていたが大丈夫だと思いドアを開けるのであった。生憎、人がいた。体はドアの正面を向いていなかったが着替え中の女の子がいた。そしてびっくりした顔でドアの方を見るのであった。
女の子の体はすらっとしており、髪は茶髪でセミロング、横顔がサーシャに似ていたが、横からでも見て分かった。そう...それはなんとサーシャより胸がデカイという事だ。
「きゃーあ!!!」
女の子は悲鳴を上げて座り込むのであった。その頃、母と話を終えたサーシャは階段を上って自分の部屋に向かう途中だったがその悲鳴を聞いて一目散に駆け上って来るのであった。
「ご、ごめん。部屋間違えた。」
隼人は急いでドアを閉めた。そしてドアの前に座り込むのであった。いや、まずい事したなと思いながらも鼻の下が伸びるのであった。
「胸...デカかったな....」
丁度、その頃サーシャは自分の部屋がある8階に着いた。そしてドアの前で座り込みにやけてる、隼人を見つけるのであった。
「何がデカイって?それに私の妹の悲鳴声が聞こえたんだけど、一体隼人何したの?」
「い、いや何でもない。」
「本当?鼻の下が伸びてるしなんか隠してるでしょ?今のうちに正直に言いなさい。」
まるで見透かされている様だったので隠しても状況が悪化するだけと思いサーシャに言うのであった。
「ごめん。てっきり自分の部屋かと思いドアを開けたら自分の部屋じゃなかったみたいで....本当に悪気はなかったんだ。」
「私にも飽き足らず妹にまで手を出すなんて信じられない。」
隼人は嫌な予感がしたので土下座をして謝るのであった。サーシャはそれ以上怒らず言うのであった。
「まあ、仕方ないわ。部屋が結構あるし、ちゃんと言ってなかったからね。」
それを聞いた隼人は安心するのであった。
「身体も洗って綺麗になったみたいだし、一旦母上に挨拶しに行ってもらうわね。いいかしら?」
隼人は頷くのであった。二人は階段を降りて、7階に行った。
7階の廊下は広めに作られており部屋とかはなく、ずっと奥に立派に出来た両開きのドアただ一つのみであった。サーシャはそれを開き入って行くのであった。隼人はサーシャの後ろについて行くのであった。
王座らしき椅子には女性が座っていた。
(あれがサーシャのお母さんか)
「お母さん、連れてきました。」
「ありがとう、サーシャ」
サーシャはお辞儀をするのであった。隼人はお辞儀しないといけないと思いお辞儀をして言うのであった。
「初めまして。隼人と言います。この度は娘さんのサーシャさんに助けてもらい、家にまで案内して下さりありがとうございます。」
「私はアテナ。話しはサーシャから聞いています。隼人君は日本と言う王国から来たのですね。」
「まあ、はい。(厳密には異世界から来たんだけど、まあそれはいいか...サーシャ言ってないのかな?)」
「私達は貴方を歓迎します。」
「ありがとうございます。」
アテナは王座の椅子から立ち上がって隼人に近づくのであった。よくよく見てみるとサーシャに似ており少し大人びた感じだった。そして胸もデカイ!。
「えいっ!」
「!!??」
隼人はびっくりした。サーシャのお母さんは急に隼人に抱きつくのであった。身長差があった為か抱きつけられたのは良いものの胸が顔にぶつかるのであった。とても良い香りがしてなんて表現したら良いのだろう?そうそれはお花畑にいるかの様に心地良い匂いだった。
(なんて破壊力だ!こんなの人生で初めてだ。俺、今日死ぬのかな。)
女性運が全く無かった隼人は幸せそうな顔をしていた。それを見たサーシャはヤキモチを焼くかのようにズカズカと歩き二人に近付くと隼人の腕を引っ張り、言った。
「お母さん!一体何してるんですか。隼人もすぐ離れなさいよ。」
サーシャは隼人の肩を叩くのであった。それを見ていたサーシャのお母さんは右人差し指の第二関節を口に咥えながら言った。
「サーシャったら可愛い。もしかして嫉妬してるの?」
「ち、違います!からかわないで下さい。」
サーシャはプンプンして言うのであった。
「隼人君にサーシャ、今日は疲れたでしょ?話しはまた改めて後日にしましょう。ご飯はレオが作って各自の部屋に持って行くと思うから、今日は部屋で食べなさい。」
二人は頷いて王座の間から出て行くのであった。その頃、アテナは昔の出来事が思い過るのであった。
「昔の彼にそっくり.....」
アテナの目からはゆっくりと涙が滴り落ちるのであった。
廊下から階段に向かってる際にサーシャは隼人に照れながら言った。
「ご飯までまだ時間があると思うから、私の部屋で色々隼人の事聞かせてよ。」
「うん、いいよ。」
隼人は何処かしら嬉しかった。何故なら人生で初めて年頃の女子の部屋に行けるからだ。心の中ではガッツポーズをするのであった。