悪党
シキが気絶をしてから数時間が経っていた。ロウはシキを拷問していた部屋から押し出されその時が来るのを待つように言われた。
そして時刻は深夜、見張りの兵士達と休憩をとる兵士達とに分かれしばらく経った頃、遂にその時が来たのであった。
「トドメを刺しに来たな、ロウ、お前とはなんだか気が合いそうな気がしてたんだがな」
シキは全身血だらけの姿でロウにそう言った。
「僕と気が合いそうだって?ふざけるな!!!お前みたいな悪党と一緒にするな!お前達が今までやって来た事を忘れたのか!?罪の無い人達を殺し僕の………僕の………………」
ロウはそう言い目に涙を浮かべた。
「ははっ、罪の無い人達か………………それは奇麗事だ、ロウ、人間がどんなに奇麗さを装いどんなに奇麗事を言った所で結局は弱い生き物達の命を奪って生きながらえているただの鬼畜だ、本当に罪がない人間ならもうこの世にはいない"その"鬼畜を殺している俺は本当に悪党か?俺が人間を殺したおかげで助かる弱い命は数えきれないんだぜ?ロウ、よく考えてみろよ?今や魚さえも食べられなくなったのは誰のせいか?俺達は神の最後の審判が下る前に動いただけだ」
シキは血だらけの顔でも分かるくらい苦しそうな表情を浮かべながらそう言った。
「うるさい!うるさい!そんな難しい事僕の知った事か!言い訳なんて無駄だ!お前は僕の大切なセナを殺したんだ!死ねー!!!」
ロウはそう叫びながら短刀でシキの首を横から刺したのだった。