拷問
「ドゴンッ!」
マールは椅子に縛られたシキの血だらけの顔面を思いっきり殴った。
するとシキは微かに唸り声をあげた後、マールを睨みながら口から大量の血を吐き出したのだった。
「オラァ!さっさと吐けよ!お前達の頭!グランドマスターは何処に居る!」
マールはシキの髪を掴みそう言った。
その時だった。
「バタン」
マール達がシキを拷問していた部屋にロウが慌てた様子で入って来たのだった。
?!
「ロウ?!お前?!逃げろって言ったのに………」
マールはロウの顔を確認するとそう言った。
「マールさん、すいません、南軍の人達が加勢に来てくれたので逃げなくても大丈夫かなって………」
ロウは頭を下げマールにそう言った。
「そうか……… まぁ、お前が無事でなによりだ。ロウ、ちょっと悪いが今取り込み中だから上で待っててもらえるか?」
マールはシキの髪から手を離しそう言った。
するとロウがシキの顔を確認した後、部屋に居た6師団の数名の兵士達を押しのけマールの方へと近づいた。
「こいつはセナの仇です、僕に殺らせて下さい」
ロウは椅子に縛られ血だらけのシキを睨みながらマールにそう言った。
「………あぁ、トドメはお前に殺らせてやるよ、だが、その前にこいつからは情報を引き出せるだけ出させなきゃならない、お前の出番はその後だ、分かるな?」
マールは少し考えた後、ロウを見てそう言った。
「はい………あの………僕もこいつに聞きたい事があるんですが………いいですか?」
ロウは頷きそう聞いた。
「だんまりを決め込んだこいつが何かを喋るかどうかはわからんが、いいだろう、お前はこいつと面識があるみたいだからな」
マールはそう言いシキを見た。
「あ、ありがとうございます」
ロウはマールに頭を下げそう言いシキに近づいた。
「あの時とは逆の立場になったねシキさん、セナの仇はとらせて貰うよ、だけどその前に聞かせろ!お前が前に言っていた僕が知ってる王様って一体誰の事を言っているんだ!そしてこの世界の真実って一体何の事を言っていたんだ!お前が死ぬ前にこの2つはだけは教えろ!」
ロウはシキの胸ぐらを掴みそう詰め寄った。
「………」
シキは意識朦朧の中、口元の口角を静かに上げた。
「………そんなにマジなるなよ………ロウ………大切なのはこの後だ………」
シキはそう言うと再び口から血を吐いた。
「………大切なのはこの後?」
ロウは怪訝そうにそう聞いた。
「………この世界で何故未来で起こった事を過去の人間が知っていた?よく考えてみろ、そこにこの世界の真実の答えがある、お前の知りたい事も全てな、思い出せ、お前はこの世界にのめり込み過ぎだ」
シキはそう言うと意識を失ったのだった。
「………………」
「何故こいつがあの事を知っているんだ………………そして僕も………………知っている…………………あの事を…………………何故なんだ…………………」
ロウは気を失ったシキを見てそう呟いたのだった。