占拠
ロウはマールに逃げるように言われたが、近くにあった建物の中で身を潜めていた。
南軍が助けに行ってくれた為、6師団側が勝てると思ったからだ。
そしてロウがその建物の中で身を潜めてから3時間程が経った頃だった、あの階段から南軍の兵士達が馬に乗ったまま降りて来たのだった。
ロウはやっぱり勝ったと思い急いで建物から飛び出し階段を降りてくる南軍の兵士達に走り寄った。
「お、応援ありがとうございました」
ロウは息を切らせ南軍の兵士達にそう言った。
「……… 」
すると馬に乗った南軍の兵士達はロウを見て何も言わず通り過ぎた。
そして南軍の兵士達が次々に階段から降りて来てロウの前を通り過ぎて行くのだった。
ロウはその様子をただ呆然と眺めるだけだった。
一時が経った時、最初に話しかけて来た南軍の兵士が階段から降りて来た。
そしてロウに気づき列から離れロウの真横に馬を寄せた。
「この建物は占拠したよ」
南軍の兵士が血だらけの右手の親指で階段の上を指しロウにそう言った。
「あっ、ありがとうございました!」
ロウは深々とその兵士に頭を下げそう言った。
「じゃあ、俺たちは次に行くからこれで」
南軍の兵士はそう言うと馬を返しロウから離れた。
ロウは階段の上の様子を聞こうとしてたのだがその間も無く去って行ったのだった。
南軍の兵士達が全員階段から降りきったのを見計らった後、ロウは走って階段を登った。
すると沢山の兵士達の亡骸がそこら中に倒れていた、さらに6師団の兵士達がまだ生きている王族兵の倒れている怪我人達にトドメをさしている光景を目の当たりにしたのだった。
ロウはその様子を見て息を飲んだ。
そして兵士達の亡骸が転がっている中、ロウはマールを探したのだった。
マールは占拠した建物内にいた………
あの………
セナの敵を縛り上げた状態で………