2つの選択
北月師団と6師団の兵士達はキスニーの町を出て暗闇の中セナが連れ去られた場所へとロウの案内でやって来ていた。
「キューイさん、ココです」
ロウは現場に着くと馬から降りそう言った。
「そうか、やっぱりここか……… 」
キューイは馬から降り現場を軽く見渡しそう言った。
?!
「やっぱりココか?キューイさんそれは一体どうゆう意味なんですか?」
ロウはキューイの言葉に驚きそう聞いた。
「ロウ、あそこを見てみろ」
キューイはそう言い手に持ったタイマツで森の方を照らした。
そしてロウが照らされた森の方を見ると暗がりの中に道らしきものが見えた。
「獣道だ、この道を使って奴らは北軍を欺いたんだ、俺たちがこの道を使って中央軍を欺いた様にな……… 」
キューイはタイマツで獣道を照らしたままそう言った。
「 ………この道を使って中央軍を欺いた?」
ロウはキューイを見てそう言った。
「あぁ、俺たちがイスニーの町を落とした時もこの道を使ったんだ」
キューイはロウを見てそう教えた。
「そ、そうだったんですか……… この道を使って……… 」
ロウはそう言い獣道を見た。
するとキューイが軍服から地図を取り出しキーナと6師団の幹部を呼んだ。
そして幹部達に地図が見える様に木にぶら下げた。
「この森はこの様に湖を囲んでいる、そしてこの獣道も同じ様に湖を囲んでいる」
キューイはタイマツで地図を照らしながら地図を指差し幹部達にそう言った。
幹部達は頷きながら地図を見ていた。
「そしてこのイスニーの町の斜め右にある山にもこの獣道は繋がっている、この山を越えればフギの町だ」
キューイがそう言うと間髪入れずにマールが、
「なるほど、さらった王族兵達は王族ゆかりの地を上手く使ったって訳か」
頷きながらそう言った。
「あぁ、あの町には王族兵専用の兵舎もあるしな」
キューイはマールを見てそう言った。
「でも、奴ら中央軍には秘密で動いてるって言ってましたよね?フギの町にだって中央軍の兵士達が居るはずですよ?」
キーナは怪訝そうにそう聞いた。
「キーナ、まだ気づかないか?あそこの町なら王族兵が堂々とうろついてても何も怪しまれないんだよ」
キューイはキーナを見てそう答えた。
?!
「あっ?!そうか、そう言う事か、じゃあセナはフギの町に……… 」
キーナは地図に書いてあるフギの町を指差しそう言った。
「十中八九間違いないだろう、そして奴らは今、この獣道を使ってフギの町を目指している筈だ、だが、俺たちはイスニーの町をすでに落としている、イスニーまで馬で行けば奴らにかなり追いつく事が出来る筈だ、それから先は2択だがな」
キューイはそう言いイスニーの町を指差した。
「2択?」
キーナがそう聞いた。
「あぁ、2択だ、1つはイスニーまで馬で行った後、獣道を使って山を越えるか」
キューイはそう言い山を指差した。
「もう1つはこの町を落してフギの町に行くかだ」
キューイはある町を指差しそう言った。
「なるほど、その町を落とせば次はフギの町か……… 」
マールがそう言った。
「いやっ、団長、その選択はいくらなんでもマズイですよ」
キーナがキューイを見てそう言った。
「せっかく味方になりそうな中央軍をわざわざ敵に回すなっていいたいのか?キーナ」
キューイはキーナにそう言った。
「その通りですよ、それにこの町をすぐに落とせるとも限りませんし、手間取れば一貫の終わりですよ」
キーナは怪訝そうな表情を浮かべそう忠告をした。
「確かにな……… だが、山を越えれば奴らの後を追うことになる、この町を素早く落とせば奴らより先にフギの町に入れるかも知れんのだ……… 奴らより先にフギの町に入ればセナを助けられる可能性があがる……… マール、お前ならどうする?」
キューイはマールを見てそう聞いた。
マールは腕を組み少し考えた後、
「今回の任務はそのセナって女の救出が最優先なんだろ?なら……… 選択は1つしかないだろ?」
そう言ったのだった。