ギールの内応
一方都では………
スペード師団の兵舎の1室でギールとマーサが話し合いをしていた。
「そうか……… あのアントレイヤがな……… 」
ギールはソファに座りながら腕を組みそう言った。
「あぁ、ギールはどうする?反対ならそれでもいいとアントレイヤは言っていたが」
マーサもギールの対面にあるソファに座ってそう言った。
「はっはっはっは、ここは都だぞ?俺がここで反対だと言ったら、マーサ、お前は俺をどうするつもりだ?」
ギールはマーサの目を見ながらそう言った。
「ギール、そんな事はお前も分かってるだろ?」
マーサは腰に差してある剣を握りながらそう言った。
「はっはっはっはっ、そうだよな、わざわざお前は危険を犯してまで都を守る俺の所に来た訳だ」
ギールは笑いながらそう言った。
「あぁ、そうだ、それにお前の後はルーキにも会う予定だ」
マーサは剣を握ったままそう言った。
?!
「ルーキにも?! ………それは止めておけ ………ルーキに会えば確実に殺し合いになるぞ、奴は完全に王族の犬になってるからな」
ギールはルーキの名を聞いて驚きながらそう言った。
「それならそれで構わない、その時は奴を葬り去る、俺たちの敵が1人減るだけだ」
マーサは不適な笑みを見せそう言った。
「 ………どうやら、アントレイヤは本気みたいだな」
ギールはマーサの顔をまじまじと見てそう言った。
「あぁ、本気だよ、ギール、君の殺しの許可もおりてるくらいだからね」
マーサは不適な笑みを浮かべたままそう言った。
?!
ギールは一瞬驚いた表情を浮かべた……… そして一時、間をおいてから話しだした。
「そうか……… 俺の命は君に預ける、アントレイヤにはそう言ってくれ、俺は元々王族の計画を知った時から嫌気が指してたからな」
ギールはそう言い笑みを浮かべた。
「 ………そうか、それはよかった、君を殺さずにすんだよ……… 」
マーサはホッとした様子で剣から手を放した。
「だが、マーサ、ルーキに会うのだけは止めておけ、奴に会えば必ず殺し合いになる、都で騒ぎを起こせばお前は都から生きて帰れないぞ?」
ギールは心配そうな表情を浮かべそう忠告した。
「ははっ、ギール、俺を見くびってもらっちゃ困るな、都からの逃げ道はすでに確保してあるんだぜ?」
マーサは笑みを浮かべそう言った。
「いや、それだけじゃない、ルーキは元スペード師団の特攻隊長だ、剣の腕前だって相当なものなんだぞ?俺にはお前がルーキに勝てるとは思えない」
ギールは怪訝そうにそう言った。
「ははっ、まともにやればそうだろうな、だけどな、ギール、暗殺はまともにやり合う必要はないんだぜ?」
マーサは不適な笑みを見せそう言った。
「ギール、詳しい話しは後で連絡を入れる俺はそろそろルーキの所に行くよ」
マーサはそう言いソファから立ち上がった。
それを見たギールがマーサを止めようとソファから立ち上がろうとした時だった、ギールは自身の身体に痺れを感じソファから立ち上がれない事に気づいた。
?!
「むむむ?!」
ギールは自身の動かない身体に驚きそう言った。
「ははっ、やっと薬が効いてきたようだな、熊には効かないのかと心配したよ、じゃあな、ギール」
マーサはそう言い一瞬笑みを浮かべ部屋を去って行ったのだった。