セナ救出と中央軍との都入り
「ジル、君には北月師団とは別にやってもらいたい事がある」
ブル最高司令官はジルの目を見てそう言った。
「北月師団とは別に?」
ジルは怪訝そうにそう言った。
「あぁ、そうだ、君には中央軍のある人物と組んでもらってポルドールの援軍が来るのをなんとかして遅らせてもらいたいのだ」
ブル最高司令官は葉巻をふかしそう言った。
「ある人物と組んで?」
ジルは怪訝そうにそう言った。
「安心しろ、その人物も中央軍きっての工作のスペシャリストだ、北軍も何度かそいつにしてやられている、君とその人物が組めばポルドールからの援軍を遅らせる事など訳ないだろう」
ブル最高司令官は頷きながらそう言った。
「わ、分かりました」
ジルは怪訝そうにそう返事をした。
「よし、じゃあポルドールの援軍の方は君とその人物に任せたぞ、その人物は今都にいるからアントレイヤ経由でそいつと会ってくれ、すでにアントレイヤにはその話しは通っている」
ブル最高司令官はジルを見ながらそう言った。
「はっ」
ジルは敬礼しそう返事をした。
「キューイ、君達は急いで態勢を整え都入りの準備を整えてくれ、アントレイヤ達もすでに都入りの為に動いている」
ブル最高司令官はキューイに視線を移しそう言い葉巻を灰皿に置いた。
「ちょっ、ちょっと待って下さい!ブル最高司令官、ぼっ、僕はセナを助けに行きますよ!」
ロウが焦った様子でブル最高司令官にそう言った。
「ダメだ、君は大事な人質としてココに残ってもらう」
ブル最高司令官はロウの方に視線を移してそう答えた。
「なんでですか!セナをさらわれて大人しくここになんて居られませんよ!ブル最高司令官に何と言われようと僕はセナを助けに行きますよ!」
ロウは椅子から立ち上がりブル最高司令官を見てそう言った。
その言葉を聞いてブル最高司令官は困った様な顔をした。
「よく言った、ロウ、お前の言う通りだよ、ブル最高司令官、セナは北月の人間だ、俺たちの手でセナは救出しますよ」
キューイはロウとブル最高司令官のいち連のやり取りを見てからそう言った。
「それはならん、北月師団は都入りが最優先だ、他の師団もすでに準備を進めているんだ、お前達が居ないと計画がさらに狂う事になる」
ブル最高司令官は葉巻を灰皿に押しつけそう言った。
「セナをさらった王族兵達が向かった場所はだいたい検討がついてます、中央軍との都入りには必ず間に合わせます、セナ救出に俺たちを行かせて下さい」
キューイも椅子から立ち上がりそう言った。
「ダメだ、検討がついてたとしてもまだアントレイヤが中央軍の全てを掌握してる訳じゃない、ソコにのこのこと北軍が行けばすぐに戦争になる、戦わなくてもいい戦いをしなければならないんだぞ、絶対ダメだ」
ブル最高司令官は腕を組みながらキューイを見てそう言った。
「ロウ!キーナ!今すぐセナの救出準備をしろ!」
キューイはそう言いロウとキーナを見た。
その言葉を聞いたロウとキーナは戸惑った。
「キューイ、命令を無視するのか?それがどうゆう事になるのか貴様は分かっているんだろうな?」
ブル最高司令官は腕を組みながらキューイを睨みつけそう言った。
「バン!」
「軍法会議でもなんでもかけてもらって結構!処罰は受けます!ブル最高司令官が何と言われようと俺たちは今からセナを救出に行きます!中央軍との都入りも間に合わせます!」
キューイは机を叩きそう言った。
その言葉を聞いたブル最高司令官はしばらく押し黙り再び葉巻に火を付けため息を漏らした。
そして………
「 ………6師団の連中も連れて行け ………もし中央軍との都入りに間に合わなかった場合、お前の首1つだけでは足りんぞ」
ブル最高司令官はキューイとキーナを見てそう言ったのだった。