殺しの師団 マールとプーリ
「皆、援軍に遅れてすまなかったな、まさか王族兵が動くとは思っても見なかったからな……… 」
ブル最高司令官は自身の後ろに護衛兵2人を従え椅子に座り皆にそう言った。
「いいえ、それよりセナが……… 」
キーナが申し訳なさそうにそう言った。
「あぁ、だいたいの事はすでに聞いている、犯人はガブリエの護衛でたまに北地区に来てた奴だってな」
ブル最高司令官は肩を鳴らしキーナを見てそう言った。
「はい……… 今回の件の責任は全て俺にあります……… 俺が王族兵達にセナの事を自慢してなければセナが狙われる事なんてなかったので……… 」
キーナは申し訳なさそうにそう言った。
「もういい、反省するのはセナを無事救出してからだ、援軍に6師団の連中を連れて来た、私の右後ろに立っているのがマール、左にいるのがプーリだ」
ブル最高司令官は皆に2人を紹介した。
?!
「殺しの師団……… ?!」
ジルが驚いた表情を浮かべそう呟いた。
「あぁ、そうだ、王族兵の奴らはプライドとか剣の腕前などは関係なく勝負は勝てばそれでいいと教育されている、そんな奴らにはうってつけの相手だろ?ガッハッハッハ」
ブル最高司令官はそう言い高笑いをした。
「でも、ブル最高司令官、奴らはもう我々の手が届かない中央地区の安全圏まで逃げちゃっているんですよ?どうやってセナを救出するおつもりですか?」
ジルは眉間にシワを寄せそう聞いた。
「………アントレイヤに包囲網を敷かせる、奴が裏切らなければ必ず奴らをキャッチ出来るだろう、シキ率いる王族兵は1人も都には帰さない」
「バン」
ブル最高司令官はそう言い机を叩いた。
「奴らのせいで計画が狂った、しかも私の可愛い義理の娘まで誘拐したんだ、その償いは死を持ってさせる」
ブル最高司令官は一瞬鬼の様な形相を見せそう言った。
(義理の娘?)
ロウは初耳だったので一瞬戸惑った。
「わ、私達は一体何をすれば?」
ジルは一瞬見せたブル最高司令官の鬼の様な形相を見て少し恐がりながらそう聞いた。
「セナの救出は6師団の連中に全て任せる、君達には一刻も早く都を落してもらう」
ブル最高司令官は葉巻を手に取りそう言った。
「でっ、でも、それじゃ……… セナは北月師団の人間ですよ?」
ジルは納得のいかない様子でそう言った。
「ポルドール王国がアリトリッツ王国の都に向け大援軍を送ったそうだ……… 一刻も早く都を落とさなければ我々は負けだ、分かるな?」
ブル最高司令官は葉巻に火を付けそう言った。
?!
「ポルドール王国から援軍ですって?!」
ジルは驚きながらそう言った。
「そうだ、ポルドールの援軍が都入りすれば、この戦は負け戦となる、だからなんとしてもポルドールの援軍が来る前に都を落とさなければならん」
ブル最高司令官はそう言うと部屋にいる全員に目を配らせた、そして………
「ジル、君には北月師団とは別にやってもらいたい事がある」
そう言ったのだった。