表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

はじめの依頼

俺は物心が付く前からとある特殊能力を持っている。なぜ能力を得たのか分からない。まあ今の俺にはそんなに重要じゃないからいいか。過去に何があろうと今この能力のおかげで仕事が出来ている。深く考えたところで答えは出ないだろう。

 俺は今探偵として働いている。「動物と話せる」能力を持つ俺には天職だ。天職に転職。面白い。さすが俺。俺さすが。倒置法が使える俺すごい。すごい俺。どうだ対句だぞ。

 こんなバカげたことを考えていたらもう依頼者が来る時間だ。

 ぴろりぴろりぴろりぴろり ポテトが揚がったのではない。事務所のベル音だ。

 「ポテト揚がりました?」

 「その件もうやったから。えっと依頼者の?」

 「神宮寺 彩愛です」

 随分強そうな名前だ。

 「強そうな名前ですね。」

 「よく言われます。」

 「依頼は?」

 「猫をさがしてほしくて。」

 「得意です。」

 「知ってます。だから来たんです。」

 そうだ。俺の事務所はペット捜索にべらぼうに長けている。能力のことを伏せてはいるがペット発見率100%を売りにしている。

 「特徴は?」

 「特徴って?」

 「例えば大きさとか色とか、そういう情報をいただかないと探すのが難しいので。」

 「えっと身長は165cm体重は普通。色はうすだいだいです。」

 「そういう事じゃなくて。」

 「スリーサイズですか!?失礼な!」

 「あなたのじゃなくて猫のです。」

 「あ、なーんだ。これといって特徴のない白い猫です。」

 「種類は?」

 「真っ白ってよりは乳白色に近いですかね。クリーム色程黄色ではないです。」

 「色の種類じゃなくて猫の種類で。」

 「ミックスのみけねこです。」

 「オスですか?メスですか?まあ、みけねこの場合はほとんどがメスですけどね。」

 よく知られた話ではあるが、みけねこのオスは3万匹に1匹ぐらい珍しい。

 すると彼女は頬を赤らめながら

 「恥ずかしいです。」

 「ごめんなさい。あなたの気持ちが理解できない。」

 「私下ネタ苦手なんです。」

 「どこに下ネタ要素がありました?」

 話が全然進まない。

 「えっともういいので書ける範囲でこの書類を書いてください。」

 そう言って俺は問診票を渡した。問診票とは読んでいるが猫の特徴を書いてもらうものだ。

 「すみません。まだお茶の一つも出てないんですけど。」

 「申し訳ありません。」

 落ち着け俺。相手のペースにのまれるな。

 「コーヒーでいいですか?」

 「お気になさらずに。」

 お前が言ったんだろ。

 「なにか入れますか?」

 「増えるワカメを入れてください。」

 増えるワカメあったかな。たしか戸棚の中に。

 「増えるワカメ入れるの初めてで思いのほか増えてしまいました。」

 そう言いながら彼女の元へ。と思ったが彼女はいなくなっていた。

 「は?」

 書類は机の上に置いてあった。所々空欄はあるものの1通り書いてくれたようだ。書類の端に

 「家の鍵掛けてきたか不安になったので帰ります。見つけ次第連絡ください。」

 と書いてあった。おい、どうしたらいいんだよ。まあ探すけどさ。

 そう言ってコーヒーを一気に飲み干した。ワカメにコーヒーが染みて不思議な味だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ