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歯車の欠片を探して  作者: 飾 ロア
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悲しい達観者





嗚呼、目が回りそうだ。


今日も現実と認識出来ない日々が過ぎ行く。

止まることを知らない秒針は正確に狂うことなく動いている。


今年は西暦何年だっけ?

なんてカレンダーを見ようとしたらそれは既に過去の遺物。


2014年を示すその紙を破り捨てては画面と向き合って自嘲的に笑う。


高校を卒業してから無職だというのに

見栄を張ってフリーターだとネット上で偽りを嘯く。


親の脛をかじって得る衣食住。

とうの昔に狂った生活リズム、忘れてしまった誕生日。


死にたいと思うことは罪だろうか?

それでも生きたいと願うことは愚かだろうか?

声に出したとしても、誰も答えてくれやしない。


こんな引きこもりの生活では他人と関わることもなくなってくる。

画面越しに会話する相手は男か女か、若者か老人か。


人間関係とは、恋愛とは、友人とは、問い続ければキリがない。

「なんですか?それはおいしいのですか?」

とぼけて笑う、僕はいつの間に道化師になんてなっただろうか。


一歩だけでも外に出た瞬間に、見知らぬ人間との関わりは嫌でも出来る。

僕と接したという確かな時間が人生の中に僅かに生まれた他人に何の関心もない。

数ヶ月ぶりの外出のあと、家に帰って自室に戻ればいつも通りの〝日常〟が訪れる。


「此処は貸切の映画館の特等席さ。」


〝人生〟なんて盛大なタイトル。

なのに内容はちっぽけな一人の人間の存在の生放送だ。


十人十色とは良く言ったものだね。

色とりどりな日々を歩む者の人生は僕とは違って美しい作品として後世に残るだろう。


しかし、僕は埃を被ってボロボロになって何れ朽ち逝く作品として在りたい。


そうなる過程を僕は特等席で眺め続けるだけ。






僕の人生に現実味がないのは何故でしょう?

答えは、本当にそれが現実だと認識出来ていないから。




なんて滑稽な御伽噺。

おしまい、ぱちぱち。









―――「悲しい達観者」Fin.








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