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歯車の欠片を探して  作者: 飾 ロア
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歪んだ優しさ





私は幼い頃から、他の子たちとは違った。

幼稚園を卒業して、小学校に上がってからそれは明確になっていく。


物心のついた頃からお母さんに言われ続けてきた。

「他人には優しくありなさい」という言葉。


それは正しく翻訳すると「親切でいなさい」ということ。

過度な優しさは他人を甘やかす行為でしかないのだから。


しかしながら幼い子供に真意を読み取ることなど不可能である。


私は言われたことには全て「YES」と返し、他人に優しく親切な人間になろうとした。

次第に私はとても都合の良い人間として様々なことを頼られることになる。


お気に入りの鉛筆だって「欲しい」と言われたら差し出した。

帰って見たいアニメがあっても「手伝って」と言われたら笑顔で頷いた。

掃除の時間にサボっている子がいたら、その子のぶんまで一生懸命、掃除をした。


そんな日々を過ごしていると、二学期に入る頃に先生から呼び出された。


「貴方は、他人を甘やかしすぎだわ。」

「甘やかしてるつもりはありません。」

「親切心もいきすぎると、貴方がつらいでしょう?」

「いいえ、先生。私は誰かのために動くことが好きです。」

「けれどね、それだと周りの子が育たないわ。」

「どうしてですか?」

「貴方が全てやってくれると思ってしまうからよ。」

「ならば、私が全てこなしてみせます。」

「そこまでして他人に尽くすのは何故なの?」


何故?と問われることに、私は心の中で疑問を感じた。

他人に尽くすことは私にとっての「当たり前」のことだったのだから分からない。

目の前にいる先生という存在が、私の中で理解不能な存在になった瞬間だった。


「何故も何も、他人に尽くすのは当たり前ですから。」


そう言うと先生は呆れたような顔をして、冗談混じりに問い掛けてきた。


「ならば、誰かが貴方に人を殺して欲しいと言ったら貴方はどうするの?」

「それは、もちろん―――――――」





その問い掛けへの私の返答は間違っていたのか。

私はその後、親や先生が話をして、心の病院に押し込められたのを覚えている。

白いコートを着た人たちが、幼い私を見て浮かべていた表情は今でも鮮明に思い返せるのだ。









―――「歪んだ優しさ」 Fin.







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