本の虫@彼女のボケと僕のビミョーなツッコミ
「あなたって本の虫よね。」
僕はそう彼女に言われた。僕はそこで疑問に思った。
あれ、本の虫ってどういうことだろう?
「本の虫ってどういうことだっけ。」僕は彼女に聞く。
「えっあなたそんなことも知らないの。」
彼女は信じられないって感じの目で僕を見る。
「いや、さすがに僕でも本の虫が本をたくさん読むやつってのはわかってるよ。でもさ、なんで本の虫って読書家って意味なのかって思ってさ。」
「うーん。そういわれると本の虫ってなんで読書家って意味なのかしらね。」
「そうなんだよなー。うーん。」
僕ら2人はしばし考える。そして数10秒後
「わかったわ。」
「おっ早いな。僕は全然思いつかないや。じゃあ言ってみろよ。」
「うん。じゃあ言うわよ。」と彼女は言い、「おう。」と僕が答える。
「ほんの虫って、ただの虫けら、ってことじゃない?」
ほんのむし(けら)。
「いやいや、そんなこといっちゃ全国数万の本の虫さんに怒られるよ。」
「じゃあ、ほん(わり)虫[けら]。」
「ほんわりってなんだよ。ほんわりってなんかすっごい優しそうだけど、でも結局は悪口かよ。」
「しょうがないわねー。じゃあ、本(格的に)虫[けら]。」
「悪化してるじゃねーか。本格的とか、それもう8割9割虫けらじゃん。」
「本(当)に虫[けら]」
「10割キターーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
ガクンと僕はうなだれる。
【本の虫】の僕って【本当に虫けら】なのか?
数秒後すぐに立ち直った僕は話を再開する。
「ていうか、これ以上やると、本当に本の虫さんに怒られるから、もう【虫=虫けら案】は却下だ。」
「ええー。」
と彼女はいいつつも、
「わかったわよ。じゃあ他には。うーん。」
【虫=虫けら案】は却下されたので、また彼女は考え始める。
今度は悩むと思いきや、またも彼女は数10秒で思いついたご様子。
「今度は完璧なのを思いついたわ。」
「えー。なんかしんじられねぇなぁ。」
「失礼ね。じゃあ、聞いて驚きなさい。」
「おお。」
「虫=無職で、ほんのむし(ょく)。」
「アウトーーーーーーーーーーーーー。」僕は大声で叫ぶ。
「なによ。五月蠅いわね。」
「それは言っちゃいけない。ほんの虫の、虫=無職というのは言っちゃいけないんだ。本を1日3冊も読む暇があるからって無職って決めつけてはいけないんだ。」
「じゃあ、ほん(わり)むし(ょく)。」
「うわーーーー。さっきも言ったけど全然ほんわりしねー。」
「本(格的)にむし(ょく)。」
「本格的に無職だよー。もう僕は再就職はできそうにないよー。本格的だよー。」
「本(当)に無し(ょく)。」
「(ガクン、バタン)。」
僕の床に倒れこむ音が周囲に広がった。
次は数分は立ち上がれなかった。
大丈夫?と彼女は尋ねてくるが、あと数分は大丈夫そうじゃない。
数分後僕は立ち上がる。
「もう【虫=無職】も禁止だ。もうこれ以上犠牲者を増やしてはならない。」
「あなたも大変ね。」
クススッ、と微笑を浮かべながら彼女は言う。
「で、あなたが地面にキスをしてる間にまた思いついたわ。」
「地面にキスって、」
きっと吐きたくなるような(つばを)味だろう。
「じゃあ、行くわよ」
「おう、どーんと来い」
すでに僕のライフは0だったが、僕はやせ我慢だがそう答える。
「【本の虫】の【の】って【〜以外】って意味だと思うの。」
「えっ。【〜以外】?」
どういう意味だろうか?
「そう。【本の虫】の【の】を【〜以外】へ変換すると。」
「すると?」
「本以外むし、になるのよ」
「あーー。そういうことか。」
本以外むし=本以外無視=本以外無視(する人) っていうわけか。
「【本の虫】=【本以外を無視する人】かぁ。意外とこれはいい線いってるんじゃない。」
僕は正直に答えた。
彼女も自慢げに話す。
「そうでしょー。でも実際は【本以外を無視する人】じゃなくて【本以外に無視されてる人】なんだけどねー。」
本以外むし=本以外無視=本以外[に]無視[されている]
「本以外全部に無視されるって、せつないなー。ていうかやっぱお前はひどいやつだ。」
それから数10分間僕らは、彼女は意見を出し続け、僕はずっとそれにツッコむという楽しい時間を過ごした。
【本の虫】=【本(格的に)蒸し(た料理)】とか
【本の虫】=【本(当に)無し(ゅうせい)】、など数10個アイデアは出たが省略させてもらう。
そして最後には僕が考えついた。
「【本の虫】の【の】って、【〜に対する】って意味じゃないかと思うんだけど」
「【〜に対する】?」彼女は聞く。
「うん。そう。」僕は頷く。
「本と対面した虫って本に食いついちゃうだろ。だから【本の虫】ってさ、本を食いついちゃうぐらい本が好きな人ってことじゃないかなって思って。」
つまり
本の虫 = 本に対する虫、のような人 = 本に食いついちゃうぐらい本が好きな人
というわけ。
「食べちゃうぐらい本が好きな人かー。それ正解かもしれないわね。」
「ああ、そうかもなー。」
なんてしょうもない話をしながら
ゆっくりと僕と彼女の楽しい暇な時間は過ぎていく。
僕は辞書も何もひいてないから、【本の虫】の本当の意味が知りたい人はググってみてね