短編 焼き肉
焼肉。
この二文字の言葉から、あなたは何を思い浮かべるだろうか。
ぱちぱちと脂が跳ねる大定番のばら肉、カルビだろうか。
赤身を焼しめて肉らしさを増した、ロースだろうか。
それともさまざまな食感、味わい、栄養で人々を魅了するホルモンだろうか。
もちろんどれもが焼肉のイメージで間違いない。だが忘れないでほしい、そのイメージの片隅にはいつも、彼らがいるということを。
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「お前ら……悪いが、俺はもう駄目みてぇだ……」
「そんな! 大丈夫だ玉ネギ、お前ならまだいける!」
「諦めたらそこで焼肉終了だぞ!」
「はは……ピーマン、カボチャ、お前らだって分かってるんだろう? この体じゃもう、俺は終わりだ。つままれてポイ、さ。」
「くっそぅ……奴が、奴さえ来なければ!」
「やめろ……奴に罪は無い。タイミングが悪かっただけなんだ……」
「そんなこと言ったって! 奴が、特上カルビの野郎が来なければ、今頃お前は食べてもらえてたんだぞ!」
「ただ、俺がいい具合に焼けたころにあいつが来て、テンションの上がった人間たちが俺を忘れた……それだけのことだ。……ああ、もうお別れみたいだな」
『うっわー玉ネギ丸焦げだよ最悪ー』
『真っ黒じゃん、どけちゃおう?』
『さすがに食べる気しないもんねー』
『あ、ミスって炭の中に落ちちゃった』
『いいよ放っておけば。それより特上カルビ、二枚目いーい?』
「玉ネギィィィィ!!!」
「焼肉」 完
読んでくださり有難うございました。




