小さな英雄
白い身体のハナカマキリが 緑のバッタを刃で捕らえ
一気に大きく口を開け 獲物の頭を丸かじり
そのバッタはひょっとしたら何百何千何万何億の
バッタの祖先になったかも
突然変異が発生し 増殖繁殖拡大し
姿は巨大に凶悪に ヒトの命を脅かし
逃げ惑うヒトの心はすさみ 社会も理性も崩れていって
生き残ったヒトは息を潜めて こっそりひっそり生きていて
遂にある時住処がバレて 大虐殺が始まって
最後の1人はむせび泣き それでも逃げずに立ち向かい
命の終わるその瞬間まで 1人のヒトとして生き抜いて
そうしてヒトは絶滅し 文明の終わりを鳴いて知らせる
バッタの祖先になったかも
そんなバッタをさも美味しそうに もぐもぐ食べてるハナカマキリ君
君は小さな英雄だ。




