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まちのできごと  作者: N
12/14

12

                    Ψ


 「ハッ!!」

 あたしはハッとした。なぜなら自分で「ハッ」なんて言っちまっていたんだから。

 驚くべき事態が起こっていたんだ。


 あたしは今まで地面にふせって泣いていたハズだよね。


 なのに、

 気付いたら両足で立っていた。

 なんで立ち上がっているんだろう。

 まるで自分がボードゲームの駒にされているみたいだ。だからあまりにビックリして、「ハッ」なんて叫んでしまった。

 そうだ、マチさんは?  

 あたしは屋上の縁まで歩いて行った。

 下にはマチさんが横たわっている。むごい刺し傷だらけのまま。両目を安らかにつぶったまま。夏服に鮮血の霧吹きを施され、赤白の浴衣を着ているみたいだ。

 やっぱり、夢なんかじゃなかった。

 けど、そしたらあたしは? 

 そうだ、あたしの傷は? 

 無意識に閃き、あたしは肩に手を当てる。

 傷が、無かった。さやきさんに肩口を斬られたはずだった。しかし傷は跡形も無かった。これが夢じゃないのなら……。

 ……おや?


 ぷかり。


 浮かんでくる。

 屋上に向かって浮かんでくる。

 マチさんの体が、ふわふわと上がってくる。

 信じられない。

 これもボードゲームの駒みたい。見えないプレイヤーの手でつままれた駒みたいだ。

 マチさんは屋上の縁に立った。

 というか、浮かんだ。

 てるてる坊主みたいに頭をカクリと垂れて、安らかな寝顔があたしの前にあった。

 恐る恐る声をかけた。 

「……マチさん?」

 いつもは常人の3割ぐらいは差している血の気も、今は完璧に0割。呼吸で服が上下することもない。さりげなく閉じた小ぶりな唇は、彫刻のように開くきざしすらない。

 そうだね。答えるわけ、ないんだ。


 ……。

 あたしを見詰めている、目。

 ひとけのないデパートの片隅で埃をかぶっている、高級茶器セットみたいな目。

 お馴染みの色をしたマチさんの目が、お皿みたいにまーるく開かれた。

 珍しくマチさんの目に感情がハッキリ出ていた。そんな様子はあたしも初めて見た。

 それはたぶん、驚きの感情、だった。

 マチさん。

 どうして? 

 しかしながら、さしあたってそんなのはどうでもよく、

「マチさん!」

 あたしはマチさんをギューッと抱き締めた。力を込めたら折れそうな、マチさんの薄い体を味わった。マチさんが倒れないように、抱きかかえてあげた。構成原子数があたしの半分しかないような重さが、しっかり伝わってきた。ストローで吹いているようなとても細い吐息が、あたしの首筋にかかった。マチさんの胸がちゃんと上下してるのを感じた。生きてる。マチさんは生きてる。

「痛い。力を緩めることを希望」

「あっごめん」

 マチさんの体を離す。大怪我をしている人に相当酷なことをしてしまった。

 大怪我……。

 あれ……。

 怪我は何処ですか?

 ちょっと目を離していたら、ほつれ一つない真っ白い夏服に戻っている。

「マチさん、斬られた所は?」

「服の上からは確認できない。しかし、傷は無い感じ」

 マチさんは医者が触診するように自分の体を転々とチェックした。

 しばらくして、マチさんが呟いたのは、いつも通りの調子で、いつも通りに一言。

「なぜ」

 とはいえ、マチさんは珍しく動揺していた。動かない顔の中では、方位磁針のように頻繁に目玉が往復運動を行っていた。

 やがて、マチさんの目は遠方へと注がれ、ぴたりと動きを止めた。

 同時にあたしの動きも止まる。

 明らかに、人生で一番ビックリした瞬間だったから。

 なにしろ、マチさん宅以外の家が全部無くなっていたんだ。

 薄く雪が積もったゲレンデのように、コンクリートの更地が広がっている。たしかにニュータウンが存在していた形跡がある。更地は遠くまで、ずうっと遠くまで続いていた。

「?」

「?」

 うわぁぁ、わけがわからない。なんかもう、あたしは立ちくらみがしてきた。

 と思ったら、立ちくらみが治った時には、更地なんか何処にも無く。

 見慣れた景色が広がっていたのだった。

 ちゃんとニュータウンがある。

 気のせいだったのかな。

 いやでも、まさか。今、確かに、更地が……。

「妙」

 マチさんは呟いた。あたしも同感だ。

 マチさんはふらふらと机の方へ歩いて行く。

 机の上に出ていた台帳をめくり、じっと見詰める。

 マチさんは再び呟いた。

「妙」

 なにが「妙」なのか、あたしも覗き込んでみた。

 ああ、なるほど。

 たしかに「妙」である。

 

〈皆野家の屋上に牛久智久が居る。上杉里美と皆野マチが来る。〉


〈遅れて天箒さやきも来る。〉


 記述が以前と異なっている。以前は「マチさんが死ぬ」という内容の記述があったはずだ。あたしはその記述を見て泣いたんだもの。泣きやんでみたらアラ不思議、なんてもんじゃない。記述が変わっている。ぶざまに泣き崩れた甲斐もあったってことかしら。

 マチさんは冷静に言う。

「町のイベントが細大漏らさず正確に記述される物が台帳。記述が改変されることは考えられない」

 でも、その「考えられないこと」が起こっちまっているじゃないか。

「それはない」

 いや、あるってば。ここにさ。

「私は史士。台帳の信頼性を信頼しなければ史士ではない。台帳と私の記憶ならば、疑うのは私の記憶のほう」

「いやいやいや、それはおかしいでしょ。マチさん斬られたでしょ。記憶あるでしょ。私だって」

「それは何かの間違い」

「えええええええええ」

 ちょっ、さり気ない顔で言った。あろうことか、この子は自分の記憶をウソにしてしまった。

 ということは、マチさんが斬られたのを見ているあたしの記憶まで言外に否定。なんて無茶苦茶なんだい。


「呑気なものねぇ。私を差し置いて漫才?」


 冷たい声が響き渡った。

 さやきさんが、腕組みしてこっちを見ている。

 剣は手に握られていない。返り血に濡れていた制服も真っさらだ。

 あたしはマチさんが死んでいなかった奇跡に熱中し、さやきさんの存在を今まで忘れていた。その意味では、「漫才」に熱中していたんだろう。そして、マチさんがごく自然にボケ役であることは疑う余地がない。

 でも、あたしたちが「漫才」というなら、あなたは「手品」なんじゃない?

 さやきさん。

 あなたは、マチさんを斬った。斬りまくり、突きまくり、殺した。

 でも、何事もなかったかのように三人は居る。

 というか、まさしく何事もなかった。

 大事件が起こったように見えて、あたしたち三人には何も起こらなかった。

 これを手品と言わず、何と言おう。

 このトリックはあなたが仕掛けたモノなの?

「違うわよ、馬鹿ね。私は本当に皆野マチを殺そうとした。でも殺せなかった。どうしても殺せなかった。殺しても殺せなかった。ただそれだけなのよ。トリックなんか仕掛けるわけがないわ」

 さやきさんは吐き捨てた。

 確かに。演技でマチさんを憎んでいたとは思えない。

「殺せなかった……?」

「まだまだ低レベルってことよ。私の能力がね」

 さやきさんは、上空に浮かぶ月を見ながら呟いた。

 月の表面みたいにのっぺりとした表情。

 なんか、まるで、生きているのに死んでいるような感じだった。

 どうして急に元気が無くなったのかしら。

「ねえ、さやきさん。何かあったの?」

「あったわ。大いにあったわよ。軽く人生の目標をなくしちゃうような出来事がね。悪夢を見せられていたわ。それとも、今までの人生が悪夢だったのかしら」

 さやきさんは、バンドを組んで作詞を始めた高校生が考えるような、意味不明な独白を解き放った。だけど、「独りよがりでいいのよ」と開き直っている感もあった。

「ハァ」

 あたしたちが居るのも構わず溜め息をついた。まるで、自分の前でスーパーの特売品が売り切れた主婦のようだ。おかしい。緊張感で結界を作っているみたいな、いつものさやきさんではない。

 その時、とぎれていた緊張の糸がピンと継ぎ合わされた。

 マチさんが、のろのろとさやきさんの前にやって来た。

 正面からジッと見上げていた。

「私は、あなたに殺されたと思った」

「私だって殺したと思ったわ」

「私は生きている」

「運良く助かったのよ。お前は最高に悪運が強いわ」

「そう」

「その悪運に感謝することね。お前、ツイてるわよ。――フン」

 さやきさんは高い鼻の先で皮肉げに笑った。

「そう」

 マチさんは答えた。え、今の説明で納得できたんですか?

 異能者同士の会話は良く分からない。

「要は、こういうことですよ」

 おっと、その声は影の薄い悪役・牛氏ではないか。ずいぶん久々に声を聞いた気がする。

 牛氏はマチさんとあたしに仮面的スマイルを振り撒き、ブツブツと説教した。

「『生の問題を解決するには、問題を消してしまうやり方で生きる方法がある』という格言をご存知ですか? なにかいろいろと、面倒なことが起こった気がします。でも、落ち着いて周りを見渡してください。何も起こってはいないでしょう。われわれは、これから一緒に夕食でも取ろうというくらいに、平和そのものではないですか。いわば、面倒な『問題』は消失したのですよ。『問題』は解決したというわけです。残された『問題』と言えば、『われわれが何を夕食に食べるか』ということぐらいでしょう。われわれは空腹ですからね」

 マチさんは無言でうなずいた。

 今の話のどこに同意できたのか、ぜひ伺いたい。

「食糧なら、私の部屋にある」

 あ、そこなんだ。

「ほう、結構。よい準備です。では、われわれ客人を饗応して頂くとしましょうか。これ以上ない豪華なフルコースを所望します」

 え、なにこの人。なんで客のくせに態度でかいの? 

「調達する」

 調達するのかい。お世話様です。確かに、マチさんの部屋には白熊も飼育できそうな特大の冷蔵庫があったけれど。その中身はお菓子ばかりであり、フルコースと言うには偏っていた気がする。

 マチさんはハシゴを降りて行った。

 牛氏が唐突にあたしを見た。

「さて、かくて問題は解決しましたが、あなたにはどのように解決したのか教えておきましょうか。どこか狐につつまれた感じがしているかもしれませんからね」

「つままれた、でしょ」

 訂正しながらも、牛氏の意見には賛成だ。

 あたしは腑に落ちないところが結構ある。

 たとえば、マチさんが死んだと思ったのに死んでいなかったこととか。

 斬られたと思ったのに斬られていなかったこととか。

 牛氏は黒幕のはずなのに仲間面して喋っていることとか。

 そういう違和感の説明をしてくれるなら、聞かせてもらおうじゃない。

「非常に簡略化して説明しましょう。今回の一幕は、さやきさんを教育するためのプログラムだったのです」

「え」

「〝委員会〟の逸材だけあって、さやきさんは有能です。しかし、有能だからこそ、自分の力に酔い、高慢になってしまう。高慢は油断を呼びかねません。強力なエーテルの恐怖を知らなければ、これからの仕事の中で、間違いなく自分の命を危険にさらすでしょう。お節介な世話係としては、『今のうちに戒めねば』と考えるわけです。そこで、わたくしは皆野家の屋上に先回りし、あるギミックを用意しました」

「ギミック?」

「ええ。この場所では、ある条件下において、非常に強大なエーテルが発生するんです。しかし、その発生のメカニズムは、皆野マチ氏も知りません。秘密中の秘密です。ですが、わたくしは自分のエーテル感知能力を利用し、その秘密に辿り着きました。そして、この場所に発生する超巨大エーテルの力を借り、さやきさんを叩くことにしたのです。手に負えないエーテルが存在することを知っていただこうという教育プログラムです。プログラムは成功だったと思います。さやきさんには自分の力が及ぶ範囲を知っていただけたようです」

「教育プログラムって……」

 チラリとさやきさんを見る。

 さやきさんは無言と溜め息で構成されていた。軟体動物になったようにコンパクトにしゃがみ、ぼんやり月を見ていた。半閉じ状態の目は、マチさんが伝染したように気怠そうだ。

 その重度な倦怠っぷりは、あたしに納得させてくれた。さやきさんに決定的な変化が起こったってことを。

 牛氏は「教育プログラム」と言うが、要はお説教みたいなものだろう。

 さやきさんの性格的に、文句も言わないで説教されるとは思えない。それがこんなに落ち込んでいるなんて、牛氏の教育プログラムとやらはよっぽど凄まじく、周到だったのだろうか。

 いや、だけど、牛氏の説明はおかしい。

「でも変だわね。あなたはさやきさんに死んで欲しいって言ったじゃない? 自分は嫉妬深いから、『逸材』のさやきさんが憎いんだって。さやきさんの教育のためなら、そんなことを言う必要は無いはずだよね?」

「ああ、覚えておられましたか。参ったなあ」

 牛氏はさやきさんをチラ見し、頭を掻く。

「ああいう大袈裟な言動はですね、演出ですよ」

「演出!?」

「ええ。お芝居に緊迫感を持たせるためのね。観客の立場で考えてください。つまり、あなたの立場です。『教訓劇をやります』と言われたって、面白くないじゃありませんか。それよりか陰謀や裏切りを盛り込みスペクタクルにしたほうが観客の熱中度が上がると思いませんか。あなたには熱中していただけたと思いますけれども」

「な……」

 カッコつけてメガネを直しているこの〝世話役〟。知らないうちに、あたしたちのお世話まで引き受けていたらしい。まこと余計なお世話というものである。たしかにあたしはニュータウンを駆け回ったりしたけどさ。

 瞬間、グーパンチが顔の真ん中にめり込み、牛氏は三メートルも吹っ飛ばされていた。

 さやきさんは服のゴミでも払うように落ち着いて言った。とても自然な顔だった。遠慮も恥も卑屈さも無い。まさに堂々とした主人の目だ。

「なにが演出よ。他人に迷惑かけるんじゃないわよ。この馬鹿牛」

「失礼しました」

 牛氏は嬉しそうな顔をしてメガネをかけ直していた。

「ふーん。あたしが憎い。死んで欲しい。なるほど、本心が影で出ていたのね」

「本心ではありませんよ。さやきさん。思ったこともありません」

「あとでたっぷりとお仕置きしてあげるわ。過去最大級の覚悟をして待つことね」

「かしこまりました。ありがとうございます」

 牛氏は畏まった。

 どう見ても嬉しそうであった。

 まさか、お仕置きを期待して過激な発言をしたんじゃないだろうね。ていうか、「ありがとうございます」って言ったよね。さりげなかったので聞き流してしまった。どうやら牛氏はマゾらしい。

「ちょっとぉ、上杉。珍しい動物を見てるような微笑ましい顔をしないでくれるかな。私はこんな奴と同類じゃないんだからね」

「いや、ごめんよ。全然そういう――」

 つもりでした。

 不思議なことに、あたしは二人を見ていると、息の合ったコンビだと思わずには居られなかったんだ。

「言っとくけど、私は牛なんかにへこまされてるわけじゃないのよ。エーテルを刈る実力で言ったら、私の方が断然上なんだから。こんな牛なんか、虎の威を借る牛にすぎないのよ。すごかったのは牛じゃなくて虎のほうよ。牛ごときが私を教育なんて百年早いわ! いえ、永遠に早い暴挙だわ」

「そうですね。異論はありませんよ。わたくしの実力がさやきさんより上でしたら、教育のためにマコト氏の力を借りる必要も無かったでしょうから」

 さやきさんはむなしく溜め息をつく。

 ところで、マコト氏って誰だろう? 二人の上司かしら。

 二人のあいだには、あたしの知らない事情があるようだった。

 あたしの勘では、そこらへんの事情は、あたしの記憶がいつのまにか無かったことにされているのと関係がありそうだ。

 あたしの中で、マチさんが斬られた生々しい光景は鮮やかに存在していた。気のせいだなんてとても思えないし、マチさんみたいに「間違い」だなんて言い切ることはできない。あたしの記憶は、さやきさんや牛氏の記憶とは食い違っている感じがする。異なる世界が無理矢理にパッチワークされた違和感。

「牛、本当にお前は馬鹿ね。だいたい、私がお前ごときの言うことなんか聞くはずが無いのよ。説教だったら尚更よ。私は絶対に諦めないわ。〝異常〟は絶対に許さないんだから。必ず皆野マチを殺してやるし、アイツにだって復讐してやる。私を脅かしてくれた罪はこの銀河系の質量よりも大きいのよ」

 さやきさんは牛氏を叱り付けた。

 それから反対方向に首をひねり、あたしを見た。

 急に顔を赤らめた。理由は分からない。

 小さな声で、制限時間でもあるかのように、手短に呟いた。

「……でも、しばらくは襲わないでおいてやる。上杉、おまえに免じてね」

「え? 私に免じて?」

 どういうことだろう?

「それ、なんだい?」

「気にしなくていいわ。せっかく私が好意を与えようっていうんだから、黙って受け取っていればいいのよ。そうよ、何もかも忘れていなさい。私のあんな顔を目撃した人間はお前だけだわ。思い出されたら、私は切腹ものだわ。ずーっと一緒に居て監視してやるから覚悟しなさいよね」

「わたくしも拝見していますが」

「お前は人間じゃなくて家畜でしょ? 家畜にくれるモノは決まってるわ。鞭よ!」

 さやきさんは甲高い声を投げ、牛氏を突き飛ばした。

 さやきさんは、あたしとの距離を詰めた。

「上杉。いいわね? 自分の言った言葉には責任を持つのよ。裏切ったりしたら絶対許さないからね」

 え? 何? 

 責任って言われても、あたしは何も言った覚えが無いんだけど。

 しかしとりあえず、雰囲気的に、放っておくことにした。

 さやきさんの顔を見るに、「絶対に許さない」という目ではなかったから。

 さやきさんは屋上をぶらぶらと歩きながら言った。

「あーあ。今日は心が折れたわね。私の今の力じゃ、あんなエーテルはどうにもなんないし。さしあたり目標を無くしてしまったわ。みじめよね」

「わたくしのように始めから目標が無いよりは良いかと」

 牛氏は嬉しそうに自虐する。本当に好きなんだなあ。虐められること全般が。

「さやきさん。生きていれば壁に当たることもありますよ。今は休んではいかがですか。夕食でも取りましょう」

 その時、屋上の片隅から声がした。 

「里美」

 振り返る。

 ハシゴのてっぺんからマチさんが顔を出していた。

「料理を持って来る。手伝って」

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