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中絶

掲載日:2026/04/01

窓の外で透明な雨が降っている。


一目惚れなんて、初めてだった。あ、次はこの人なんだって私が、内臓で理解した。よく見る人間とは少し違って、それに惹かれた。


会えるなら毎日会いたい。買えるならいくらだって買いたい。貴方との時間が商品なら、貯金箱なんて一生要らないと思った。


違う人と誓いを組んでたって私には関係ない事だし、出囃子を聞くだけで心がはねた。貴方の名前を言うだけでチーク要らずの私になれた。

恋をしている、愛を知っている。厚かましいくらい私恋してるの。


ふわふわ歩いてた私にとって軸ができたのが嬉しかった。原色のスーツ、パッツン前髪、歯並びが悪いところとか、全部好き。夢の中だけなら毎日会ってくれるのが嬉しくてフリルのワンピースを買った。夢では私にキスしてくれたのに。目を閉じると嘔吐物まじりの口の中が少しだけ華やかに思えた。


嫌いなもの、好きな物、全部教えてほしい。会わなきゃ知れない事もあるでしょう?

本が最後まで読めないのとか、歌が上手なのとか、じっと座れないことすら愛おしい(こんな所も奥さんは沢山見てるんだよ)。


その口で発する言葉、イビキ、煙、すべて飲み込めないくらい遠い。

貴方の笑顔を見る度心が締め付けられる。きっと今は、嬉しいのより、辛いのが一番大きいと思うよ。


貴方の尖った精神が世間的に燃えてるとしても、私はガソリンを手渡したい(消化器を持つのが運命の相手だよ)。


貴方に会える梯子を外されたってネイルで不自由な指を使って壁をよじ登りたい(元々上にいるのが正解だよ)。


煩わしい私のコンプレックスが不器用に混じり合いたい。それも、全部、流れて言っちゃうんだけど。引きずり出して消して欲しかった。だから、私会いたくなかった。


ビニール傘から雫が落ちた。

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