かのっち、キレる
宇宙人を養って気づいたことがある。
それは――――食費だ。
彼らはめちゃくちゃ食べる。その体のどこに入るんだというぐらい食べる。そして、ばかすか減っていく我が家の食料。
と、言うわけで……
「出禁です」
「な、なぜですか!かのっち殿!」
「そもそも食料調達と言ってなぜうちの冷蔵庫からくすねる?自分たちでなんとかしてよ」
「で、ですが、」
「ですがじゃない!ほら、ナエナを見て!ノーマネーノー食費」
「イエス課金。」
「イエス課金じゃない!」
そうだった……。コイツは無断課金しやがるんだった……。
声がした方を見るといつの間にかポルターガイストされたスマホでガチャを回しているナエナがいた。
あ~もう!私の金が!マネーが!
怒り心頭である。
金は自分で手に入れたものを使えよ!
自分達で調達したもので食べろよ!
宇宙人達をかき集めて窓からぽいっとして、ナエナは首根っこ掴む……めないから取り敢えず塩をパッパッパッ。
ドアをバタン。
ふぅとため息。
……思わずチビ達を窓からぽいっ、しちゃったけどまぁ小動物とかって割と高いとこから落ちても平気だし大丈夫だよね。うん。大丈夫。大丈夫だと信じよう。
久しぶりの静寂は心地よかった。
◇◆◇
「どうしましょう。」 「どうしたものか。」 「追い出されましたね。」
地面でざわざわと話しているのは窓からぽいっ、された宇宙人達である。
「皆の者!静まれぇーい!確かに我々は追い出された。だが、これこそチャンスなのではないだろうか!今まで我々がしてきたことと言えば、地道な調査ばかり。今こそ、我らの力をこの星の支配種なる人間に見せつけようではないか!!」
そう宇宙人達の内の一人が言うと、
「流石は副隊長!」 「侵略の第一歩ですね!!」 「ガチャが私を呼んでいる。」
と次々にやる気に満ちた声が……ん?一人違うな。
「って隊長……何やってるんですか……。」
声の主は塩により部屋から追い出されたナエナである。
「何て言うことでしょう。ガチャの途中だったのに……。嗚呼、期間限定の水着衣装が私を呼んでいます……。」
そう言ってナエナはふにゃりとうな垂れた。
「隊長……変わりましたね。」
前々から隊員達は違和感を持っていた。隊長と姿形は全く同じなのに、振る舞いや言動が生前のものとは全く異なっていたから。
「隊長は今の状態をどのように感じていますか?」
「一言で言えば楽しい、ですよ。以前の私も確かに果報者ではありました。ですがそれでも何かには囚われていました。先遣隊の隊長という立場を持っても、結局は上や下にもまれるただの中間管理職でしたから。ここにはかのっちがいます。何も気にせずただ手を差し伸べてくれたかのっちが。」
隊員達はふっと微笑むと、かのっちのためへの感謝と反省を伝える作戦を立て始めた。
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