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宇宙人の脅威

「そう言えばさ、ナエナ……あなた達の隊長はどうして死んだの?」


そう聞くとナエナもポンと手のひらを叩く。


「そう言えばそうですね。実は私も死んだ時のショックからか、どのように自身が死んだのか覚えていないのですよ。知っていますか?」


するとチビ宇宙人達はピンと背筋を伸ばして言った。


「はっ。我らは記憶しております。隊長を死に至らしめたあの忌々しい怪物と共に……。」


そうしてチビ達は語り始めた。


◇◆◇


あれは地球に到着してすぐのこと。

機体が無事地球まで辿り着いたはいいが、未だどのような星なのか掴めず、安易に宇宙船から降りるわけにもいかないため、情報収集として辺りをうろうろと飛んでいた。


その時、隊長は言ったのだった。


「宇宙船内に小型の飛行艇があったはずだろう。そちらを使い、私が降りよう」


「で、ですが隊長。わざわざ隊長が行く理由がありません。ここは我らに任せて下さい」


「何を言っているのだ。何の危険があるやも知れぬのだぞ。そんな部下を捨てるような真似、私にしろと?それに、私が居なくともこちらは機能するだろう。私には星で私を待つ者もいないしな。都合が良いのだ」


「で、ですが……」


こうして隊長は我が身を省みず一人で飛行艇に乗って行ってしまった。


宇宙船に残された部下達は固唾をのんで隊長を見守る。


後もう少しで地上に着く、そんな時。


「ワン ワンワン」


大きく茶色の獣が隊長を襲ったのだ。

その獣は執拗に隊長の乗る飛行艇を追いかける。


そして操作をミスした隊長は勢いよく地上にぶつかり……。


◇◆◇


「と、そのようなことがあったのです。くぅー隊長!あなたが亡くなってどれ程悲しむ者がいたか……。」


「え?あんた犬にやられたの?」


「どうやらそのようですね……。」


あのときナエナがいた場所の近く……二丁目の前田さんとこのポメラニアン……?

――宇宙人、ポメラニアンに敗れ、

いや、これ以上は考えないでおこう……。


「それでですね、隊長。我らは隊長を死なせた要因であるあの獣を許しません。ですからこれから敵を討ちに行こうと思うのですが、隊長もご一緒しませんか?」


くっ○○を殺したこと、許しはしない!で本人連れて行くパターン、初めて見たわ。


「別に良いですが……呪いをかけるぐらいしかできませんよ?」


呪い、掛けれるんだ。


「呪いって何するつもり?」


「例えば一日十分間だけ仕事帰りのサラリーマンの盆踊りが見える、とかでしょうか?夏の風情を味わえる私の計らいです。」


え、地味に怖いんだけど。というかそんな風情、味わいたくない。


「流石です!隊長!サラリーマン?とやらが何か分かりませんが、凶悪なことだけは分かります!!」


こうして再会を果たした宇宙人達はわいのわいの盛り上がり、私なんかそっちのけで前田さんちのポメラニアン(忌々しい怪物)を倒そうぜ計画は進んでいったのだった。

そして遂に、チビ達とナエナは玄関で。


「今こそ我らが宿敵を倒すとき。今こそ我らの力を示すとき。皆の者!準備は良いか!行くぞ!」


「「おー!!」」


血気盛んに去って行った。

前田さんちの(ゴロンタトゥインクル)ポメラニアン(寿限無王子二世)大丈夫かな……?


――1時間後。


彼らはクタクタになって帰ってきた。


「かのっち、何か知っていますか。かの恐ろしき獣が見つからなかったのですが。」


どうやら無事前田さんちの辺りまで来れたはいいが、恐ろしき獣もといポメラニアンが見つからなかったらしい。


「んぁーそう言えば、ちょっと前に旅行に行くって行ってたな。ゴロンタトゥイ……恐ろしき獣も連れて行くって言ってたから今はこの近くにはいないんじゃね?」


前田さんちは金持ちである。

旅行というか、本邸に行くだとか言ってた気がする。田舎のここが所謂別荘というやつなのだ。


「な、なんと!情報提供感謝する、かのっち殿。……皆の者、よく聞け。かの獣は今はいないらしい。……だが、だからと言って怠けてはならぬ!我々は日々精進し、かの獣を討つ刃を研ぐのだ!……よって、今からここを地球侵略における本拠地とする。」


えぇー、まじで。

というか侵略する星の住民の前で堂々と言わないで欲しい。


私が呆けている間にどんどんと訳の分からん機材やら物資やらが運び込まれ、私の物置は占拠された。

床に無残に散らばるのは物置に入れていた洋服やら鞄やらの小物達。


「かのっち殿、これから世話になりますな。」


「え、ちょっと待っ」


バタン。

そう一言宇宙人達は告げると勢いよくふすまが閉まる。


こうして私の部屋に無許可で居候し、地球侵略を企む軍隊が加わったのだった。


……解せぬ。

読んで頂きありがとうございます。

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