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宇宙人、アキバに行く。

「かのっち。アキハバラです。アキハバラに行きましょう。」

 

「おう、ついに気づいたか。オタクの聖地に」


「ええそうです。気づきました。あそこには夢と希望とオタクが詰まってるそうではありませんか。」


オタクが詰まってるって言い方は止めてくれ。なんか想像しちゃうから。


「夢と希望って大袈裟な。ま、アキバね。実は私も行ったことないんよね。どうする?この際行っちゃう?」


「行きましょう。アキハバラもといアキバへ。」


ナエナと私は思い立ったが吉日でその日の内に家を出た。




ゴトンゴトン


電車に揺られ、何時間経っただろうか。言っていなかったが、私の家は田舎にあるのだ。

取りあえず新幹線の通る駅まで電車で向かい、そこから一気に東京まで行くつもりだ。


とその前に、


「うげーげろげろげろぅ」


この隣のやつ(ナエナ)をどうしてやろうか。

このゲロ吐き魔は乗ってすぐにこの調子である。というか何で幽霊がゲロ吐くんだよ。幽霊のゲロって何なんだよ。


「ナエナ。本当に大丈夫?見るからに大丈夫じゃなさそうだけど……」


「大丈夫ゲロゥ、です。きっとアキハバラが出した試練なのです。これを乗り越えられない者はアキハバラに行く資格などないと言っているのでしょう。」


あれ?秋葉原ってそんなものだったっけ?


その瞬間、ナエナが盛大にゲロを吐いた。



◇◆◇


「お疲れ。というか生きてる?もう死んでるけど」


幾分か細くなったナエナにそう声をかける。


「ええ、生きています。もう死んでいますが。それにしてもかのっち。私はやりました。やってやりましたよ。アキハバラの出した試練に打ち勝ったのです。」


「おぉ、それは……良かったね」


こいつ、帰りがあることを忘れてるんじゃなかろうか?

……ま、いいや。どうせその時に言えばいいんだし。


「では早速アキハバラに行きましょう。」


ウキウキルンルンのとこ申し訳ないのだが……


「ここで、残念なお知らせです。もう、大方の店は閉まっています。ここは大人しくホテルに泊まりましょう」


「そ、そんな……ばなな……」


「……ここでボケんなよ」


時計の針はもう0時を回っていた。


◇◆◇


「改めまして、お初にお目にかかります。今日一日どうぞよろしくお願いします、アキハバラよ。ははー。」


朝起きたらナエナがアキハバラの方角を向いて拝んでた(たぶん)。……ここはメッカかよ。


「ナエナおはよう。それで、何してんの?」


「あぁ、かのっち。おはようございます。見て分かりませんか?アキハバラを拝んでいるのです。」


ホントに拝んでたよ。


「……そっか。じゃあしばらくしたら出るから準備あるならしとけよ」


「イエッサー。」


もうツッコまないからね。

テンションがおかしいナエナをもう置いていこうかと一瞬真面目に悩んだ。


◇◆◇


「スースースースースー」


「……ホントに何やってんの?」


「ハーーーーーーーーー。見て分かりませんか?アキハバラの空気を吸っているのです。」


幽霊って肺、あるんだ。


「ハーで全部出てない?」


しまった!という顔になるナエナ。


「かのっち。しばらく話しかけないで下さい。私がアキハバラの空気を吸い終わるまでは。ズズズズズズー」


私は無言でアニメグッズの元へ行った。

あ~やっぱり、推しは神!


その日一日中、私はアキハバラを満喫した。

読んで頂きありがとうございます。

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