ある日私は幽霊に出会った
突然だが、私の家の近くには墓地がある。そのすぐ側には立派な柳の木があり、それはもう出そうである。
……え?何が出そうなのかって?そんなのアレに決まってるじゃん。そう、アレだよアレ。足が無くて半透明の白っぽいアレ。
もう分かるよね?幽霊だよ。幽霊。
で、何故私が突然この話をしたのか……それは目の前に居るから。たぶん。
柳の真下にいるその白いヤツは半透明で足が無い。まぁ、ここまでは良い。問題なのはコイツが私の知る人間の姿をしていないことである。手が異常に長く、頭の後頭部が細長く伸びている。一般的に皆が想像するような宇宙人である。
コイツは元々このような姿なのか、それとも私が想像するような幽霊と同等の存在なのか、私は興味本位で話し掛けることにした。
「こんにちは。私の声、分かる?」
言葉が通じないことも考えたが、ひとまずは日本語で話し掛けた。
「こんにちは。私は、貴方の声を、聞こえました。」
すると、驚くべきことに返事が来たのだ。しかも丁寧に日本語である。
これは礼儀正しい宇宙人もいる者なのだな、と感心しつつ、次の質問をした。
「あんたはさ、何でここにいんの?」
「分かりません。目を開けると、ここに、居るのです。」
分からない、か。これはますます幽霊の可能性が高まったかもしれない。
「あなたは地球人?」
「いいえ、違います。」
「じゃあ生きてる?」
「いいえ。私は、生きていないはずです。」
これは……つまり宇宙人の幽霊ってこと?
うぬ、確かにこの世界には宇宙人と呼ばれる存在はいるかもしれないし、幽霊と呼ばれる存在もいるかもしれない。なら宇宙人の幽霊だって存在していても全くもって不思議ではない。
「んと、名前とかって教えてくれる?」
「はい。私の名前は、△△△△です。」
その瞬間、耳鳴りがしてきそうなほど高い音が聞こえた。きっとこれがこの宇宙人の言語なんだろうけど、私が聞き取るのは到底無理である。
「すまん。どうやら私が聞き取るのは無理っぽいわ」
「そうですか。」
そう一言告げると宇宙人は暫し間を開けてから、ナエナと呼んでくれと言った。どうやらそれが最も発音が近いらしい。
「貴方の名前は、教えて貰えますか?」
「オッケー。私の名前はカノだよ。かのっちでも何でも好きなように読んで良いよ」
「分かりました、かのっち。話しかけてくれてありがとうございます。よろしければ、ここがどこなのか教えて頂けないでしょうか?」
おう、いきなりかのっちと来たか。まぁ好きに呼んでくれと言ったのは私だしな。
「えーと。ここは日本。地球って星の中の島の一つ」
「…そうですか。ありがとうございます」
ひとしきり会話が終わると宇宙人は木の下で一人ぼーっとし始めた。
それがなんとなく寂しく感じて、
「それで、突然なんだけどさ。ウチ、来る?」
そんなことを言っていた。
目の前にはアパートの一室に陣取る宇宙人が。
鹿野 朝凪20歳。
宇宙人、お持ち帰りしちゃいました。
読んで頂きありがとうございます。




