番外編 エルガ先生の魔法講座
セレストが旅立つ少し前に遡る。
挨拶回りを一通り終え、残るはエルガのみになった。長くなりそうだと思いつつも、研究室へと足を運んだ。
扉を開けると、数人の研究員と、本や魔法陣の書かれた紙といった魔法関連のものが、綺麗に並べられているのが見えた。
エルガを探していると、一人の研究員に話しかけられる。
「セレスト君だね。話は聞いてるよ。」
「そうなんですか?今、エルガさんを探してて...」
「案内するよ。」
研究員の人について行くと、部屋の奥にある扉の前に着いた。
「ここだよ。」
「ありがとうございます。」
研究員は、セレストに手を振って研究へと戻った。ドアノブに手を伸ばそうとした瞬間。
「セレスト君ですね。入っていいですよ。」
エルガの声が部屋の中から聞こえてきた。なぜ自分が部屋の前にいると分かったのだろうか。
「失礼します...」
部屋に入ると、エルガが魔導書を眺め、何かをメモしている。よく見てみると、そこにはセレスト。自分のことが記録されていた。
「良かった!来てくれたのですね。聞きたいことが山ほどあったんです。」
「それもそうなんですけど、実は...」
アルカナに言われて、犯人探しに協力することをエルガに伝えた。
「なるほど。それでは、明日にはイヴァンに行ってしまうと...それでは今日、色々聞き出さなくては!」
「えぇ!ちょっと、エルガさん!?」
エルガに凄まじい勢いで質問攻めをされた。
自分にとっても、なぜ魔法を作ることができるのか、分かってはいないが、今分かっていることは全て話した。
「文献にも載っていましたよ、魔法に名前をつけると"世界"が記憶すると。その世界とやらを知りたいんですけどね。ですがいい話を聞けました。これからも情報共有お願いします。」
「は...はい...」
もうすでにくたびれてしまった。だが、次はこちらの質問に答えてもらう番だ。
「ジェネラルとか、魔法には種類があると言っていたじゃないですか。違いは何か知りたくて。」
「勉強熱心ですね。良いことです。それでは、セレスト君が今、覚えている魔法を教えてください」
エルガに魔法とその能力を伝え終えると、不思議そうな顔見られた。
「既存魔法の複合も出来るのですね。まあ、今日は我慢します。それでは、まずテクニカルからの方が分かりやすいのでそちらから。」
テクニカルの魔法を例に挙げるなら、〈火弾〉、〈魔手〉。テクニカルの共通点は魔法を発動した後、操作があるかどうか。
〈火弾〉なら、弾を飛ばした後に、自由に起爆出来る。
〈魔手〉なら、手を作成した後に、自由に動かせる。
ジェネラルの魔法なら、〈石矢〉、〈水殻〉。ジェネラルの共通点は、言い方は悪いが、発動してそれで終わりなこと。
〈石矢〉なら、石を飛ばせるだけ。
〈水殻〉なら、水の壁を作成できるだけ。
「だからと言って、ジェネラルよりテクニカルの魔法の方が強いなんてことはありません。それぞれに長所と短所があります。そこを上手く見極めて、使いこなす。それが一番大事です。」
「これで基本的な説明は終わりです。このぐらいで大丈夫ですかね。必要ならもっと詳しく話せますが。」
「い、いや。ありがとうございます。気になってたことは 全部分かりました。」
「そうですか...まあ、魔法の話は大歓迎です。いつ聞きにきても大丈夫ですから。」
明らかにテンションが下がっている。申し訳ないが、今日は明日に備えて早めに寝ておきたい。
「ありがとうございます!それじゃあ行きますね。」
「はい。お気をつけて。」
短いようで長かった話を終え、研究室を後にした。
アルカナ、エルガ、ヴァルナ。ここにきてからつくづく人に恵まれていると感じるセレストであった。




