第四話 修行
「試験について説明するね。」
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試験の説明
霊獣使試験
試験内容は戦闘力と魔力量の測定と〈縮小〉と〈拡大〉の動作確認
戦闘力は指定された魔獣の討伐。魔力は特殊な魔道具での測定結果によって判断される。そしてその二つの力が目標の値を超えている場合のみ合格。
魔獣討伐の際は、試験官の付き添いが必須。
合格した場合、〈分析〉によって霊獣使として確認可能。
霊獣使のランクは強い順に一から十まで分けられており、対応するランクの魔獣のみを契約可能の対象とする。
試験は申請をすればいつでも受けることができる。
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「このぐらいかな。だからまずは修行が必要かな。」
一通り説明し終えたアルカナは、玉座でくつろぎ始めた。
それっぽい話が出てきてワクワクが止まらない。
「まずは魔法を覚えないとね!」
「そうなんだけど...」
アルカナは言いずらそうに話す
「僕は...感覚派だからさ。ヴァルナに任せてもいいかな。」
「構いませんよぉ。」
ヴァルナは快く申し出を受ける。アルカナとしては意気揚々と説明した手前、自分が教えることができないことを言い出しにくかったのだろう。それはいいとして
これから、霊獣使になるための大変な修行が始まる。
と思ったが、
「じゃあ、明日から頑張ろう!君たち用の部屋は用意してあるからゆっくり寛いでね。」
「え?」
今日の宿はお城になりそうだ。
部屋へと案内されたので持ち物を置き、城内を探索し始める。アルカナも自由に見ていいと言っていたから、問題はない。
部屋を出てからかなり歩いた。それにしても綺麗な建物だ。玉座の間や案内された部屋を見た時にも感じたが、細かな装飾や、汚れ一つない壁や床に感動すら覚えた。
そろそろ部屋に戻ろうとした時、バルコニーにアルカナが見えた。しかも森で見た角と翼を持つアルカナが。
「アルカナ...だよね?」
勇気を出して声をかける。アルカナはセレストを見つけると、自分の方へ手招きしている。素直にアルカナの近くへ行くと、今度は空を指差した。
「あれ見てよ、綺麗だよね...」
周りに明かりが無いので、星の輝きがより一層目立っていた。満点の星空に見惚れていると、
アルカナは確かに空も綺麗だけど、あっちね、と間違いを指摘する。
指の方向を見たが、アストラルに対して言っていたらしい。アストラルを見ると空に負けないほど、綺麗な模様だった。その姿を見て疑問を思い出す。
「その姿は何?なんでアストラルみたいな翼がついてるの?」
「この姿を見せるのは二回目かな。」
「これは、言ってみれば霊獣の力を借りている状態だよ。
試験に受かったらセレストにも教えてあげよう。」
その後、少し世間話をして自室へと戻った。
アルカナ特有のものかと思っていたが、教えてくれると言うことはセレスト自身も使えるということだ。自分でも使えることが分かり期待を膨らませ。眠りについた。
修行一日目
アルカナの〈歪門〉を使い、草原へと出た。アルカナは用事があるらしくすぐにどこかへ行ってしまった。それはともかく、これから覚える魔法について考えよう。
「〈縮小〉と〈拡大〉は、物にも生き物にも使えるよぉ。」
ヴァルナは木の前に立つと、説明をしながら、実際に魔法を使い見せてくれた。〈縮小〉を使われた木は、瞬く間に手のひらに乗るほどのミニチュアサイズへと変化した。そして〈拡大〉を使い元の大きさへ戻した。
「こんな感じかなぁ、まずはこの木からやってみよぉ!」
コツは物の輪郭を捉えて形を崩さないように小さくするイメージらしい。ここをこうして...
目の前の岩は確かに小さくなったが、目に見えるほどの変化はない。
初めは上手くいくのだが、縮み始めると形を維持するのが困難だ。どうしたものか。
「おいセレスト、見てみろ!」
楽しげな声の先にいたのはエデンだ。なぜそんな声を出しているのかエデンの方を見てみると、エデンと同じかそれ以上の大きさの花が咲いていた。〈拡大〉を使ったみたいだ。
「君の霊獣すごいねぇ、エデン君だっけ。でもぉ、ちょうど良かったよぉ。」
「どうしてですか?」
「霊獣契約をした者同士はねぇ、〈感覚共有〉って魔法が使えるんだぁ。」
〈感覚共有〉、その名の通り互いの感覚を共有する魔法らしい。これを使ってエデンが〈拡大〉を使う感覚を覚えれば、使えるようになるかもしれないということだ。
「エデン、大丈夫?」
「全く問題ないぞ、使ってみろ。」
魔法を唱えた瞬間、エデンの考えが手に取るようにわかった。これならいけそうだ!
「エデン!〈拡大〉使って!」
「了解した!」
エデンの足元にある花が、少しずつ大きくなる。それと同時に、魔法の感覚が伝わってくる。限界まで大きく出来たエデンはとても満足そうだ。
すると周りに咲いていた一輪の花が巨大化し始める。
「やっとわかったよ。ありがとうエデン。」
やっと〈拡大〉の要領を掴むことができた。。エデンはドヤ顔でセレストを見た。
「うんうん。友情だねぇ。後は小さくするだけだよぉ。」
〈拡大〉の感覚を覚えたからか〈縮小〉を使う時は、かなりスムーズに覚えることができた。何度も使い要領を掴む。
そして、巨大化した花を全て元のサイズへと戻すことができた。
「それじゃあ、次はエデン君に使ってみよっかぁ。」
「分かりました。エデンいくよ、〈縮小〉!」
魔法を唱えるとみるみるうちにエデンが小さくなっていく。
変化が止まり、最終的には今までの半分ほどの大きさになった。心なしか顔が可愛くなった気がする。
エデンも小さくなって身軽そうだ。
「やった!成功だ!」
「これなら大丈夫だねぇ。これは、市内に霊獣と入る時は絶対使わないといけないからぁ、忘れないようにねぇ。」
「じゃあ、帰ろっかぁ。」
時間を忘れて練習していたため、もう日がくれそうなことに気づかなかった。ヴァルナに感謝を伝え、ここへ来た時と同じように〈歪門〉で城へと戻った。少し休もうと自室へ戻るとドアが急に開き、アルカナが入ってきた。
「やっと帰ってきた!魔力量を計れる道具を借りてきたんだ。早く使って!」
アルカナの持っている物は、加工された宝石のような物だった。道具を観察しているとアルカナが早く!と急かしてきた。焦っているようだ。何故かはわからないが、とにかく使わせてもらおう。魔力を宝石に込めるとわかるらしいが...
「アルカナ様!それは貴重な物なんです、返してください!」
アルカナに続き、the研究者な見た目の人が入ってきた。初めてみる顔だ。この人もかなり焦っているが、多分この宝石のことだろう。
しかし、もう宝石へ魔力を込めてしまった。すると、宝石が光を放ち始める。その光はあの時エデンが放った光と似ているような気がした。
「ほう、魔力量は平均よりも多く感じますね。ですが、魔力適正が黄色がかった白色ですか。初めて見ましたね。近いのは雷?、光ですか?しかしアルカナ様、彼は一体...」
「この子はセレスト、見ての通り普通の男の子だよ。」
「成程、申し遅れました。私はエルガと申します。よろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします。」
マシンガントークの勢いに呑まれたが悪い人ではなさそうだ。
「それにしても、凄いですよ。珍しい色ですね。隣のペガサスはセレストさんの霊獣ですかね。今魔力を測っているということは、あれですか。試験を受けずに契約をしたというところでしょうか。」
「そうなんです。だからこれから試験を受けるんですけど...」
「心配ありませんよ。この魔力量なら四級ほどでしょう。ペガサスは、確か五級を持っているなら契約可能です。あとは五級以上の指定魔獣の討伐だけですかね。それでは宝石は持ち帰らせていただきます。討伐頑張ってくださいね。」
行ってしまった...見た目に似合わず嵐のような人だ。しかしエルガの話は朗報だった。彼の話によると魔力量は問題ないらしい。これで一つ課題が減った。
魔獣討伐を成功させれば、晴れて霊獣使だ。
セレストはやる気に満ち溢れていた。
魔法
|〈感覚共有〉
霊獣契約をした際に使えるようになる魔法
契約した相手と感覚を共有できる。五感や思考など
契約した同士でしか共有はできない。
魔獣図鑑
角兎 九級
粘塊 十級
森林竜 三級




