第二話 ドラゴンが喋った?
ドラゴンに追われて、森の茂みへ隠れた二人。
後ろに異様な気配を感じ、振り向くと追って来ているドラゴンとは別のドラゴンが立っていた。
セレストを逃すにはどうすべきか、エデンはそのことだけを考える、とりあえず自分に敵意を向けさせようとしたが,
二人を見つめるドラゴンからその姿に似合わない爽やかな声が聞こえてくる。
「君、大丈夫?」
突然聞こえた声にセレストは動揺を隠せない。
なんでドラゴンの言葉がわかるのかな、と疑問をそのままエデンにぶつけてみたが、私に聞くなと言わんばかりの顔をされた。なので思い切って聞いてみた。
「何で、君の言葉がわかるの?」
ドラゴンも不思議そうに声を出す。どう言うこと?と言う声が聞こえ、少し考えていた。
しかし、何か理解したのか声が明るくなる。するとドラゴンの背後に人影が現れた。
「話していたのは僕だよ。紛らわしかったかな。」
ごめんね、と声をかけてきていたのはドラゴンの背に乗っていたであろう青年であった。紺色の髪がドラゴンの模様と似ている。聞きたいことは山ほどあるが取り敢えず、一番疑問になったことを聞こうと思う。
「そのドラゴンってあなたの霊獣ですか?」
「そうだよ、アストラルって言うんだ。こう見えて、甘えん坊なんだよね。」
「君の隣の子も、霊獣なのかな。」
青年はエデンに目を向けていたので、エデンについて軽く紹介する。敵ではないと分かり少し安心したが、元凶は他にいたことを思い出し、周囲を警戒する。
「そうだ、僕たち深緑色のドラゴンに追われてて、助けてください!」
青年に助けを求めようとしたら、急な突風が襲い掛かってきた。嫌な予感はしたが、予想通り、深緑色のドラゴンが現れた。しかし青年は臆さずに、ドラゴンの前に立つ。
「この子のことだよね?」
セレストは頷く。青年は確認を終えると、手慣れた様子で何かを唱える。
突風が次は青年を中心に吹き始めた、風がおさまり青年を見ると、姿が変わっていた。
「大丈夫、痛くはしないよ」
その姿はまるで、彼の霊獣、アストラルの一部を受け継いだようだった。彼の背には星空模様の翼が生え、額には角が出てきていた。
「〈14.節制〉」
青年が魔法?を唱えた瞬間、空中に二対の杯が現れた。
杯は白い液体で満たされているのが見える。杯が傾き、液体が空中で混ざり合い、球体になる。
青年はその球を思いっきり殴った。すると霧状になり、深緑色のドラゴンを包み込んだ。興奮しているドラゴンは突然眠りについてしまった。
「寝ちゃった...。あの、今のって...」
「取り敢えずここから離れようか。着いてきて。」
先に飛び立った青年をエデンと共に追いかける。
飛行が安定してきたタイミングで青年が尋ねてきた。
「君はどうして森の中にいたの?」
セレストは母を殺した犯人についての情報収集を行う為にドラゴリニスへ向かっていたことを話した。
「そうなんだ。それは...辛かったね。」
「実は、ドラゴリニスでも最近似たような事件が多くて調べていたんだ。だから、困ったときは力を貸すよ。」
その言葉には強い憎しみと覚悟が感じられた。セレストの身の上話を終わらせたところで、ついに大きな都市が見えてきた。
「見えてきたよ。あそこが...」
都市の説明を始めようとしたのだろうが、直ぐに言葉が途切れる。
少し待ってねと言われたから、青年を見ていると、
青年の前の空間が歪み始めた。青年はそれを通して誰かと話している。内容は分からないが、かなり慌てている様子だ。
「ごめん!急用が出来たから先に行ってるね。これを使えば僕の家まで行けるから。」
渡された物は小さな玉だった。この玉に魔力を込めると指定した場所まで導いてくれるらしい。それじゃまたねと言い残し都市の方へ進んでいるとまるで瞬間移動したかのように消えてしまった。
「結局何も聞けなかったね、あの人達のこと」
「ここで情報収集をしていたら、また会うだろう。貰った玉もあるしな。」
青年と別れ、少し飛んでいると都市へと続く道を見つけ、少しづつ降下する。道へと着地して、道なりに進むと都市の門に辿り着いた。
「取り敢えず、宿を探して今日は休憩しよう。」
これからの予定を考えながら門をくぐろうとしたが、門番に声をかけられた。
「隣のペガサスって坊主の霊獣だよな?」
「そうです!」
なら、見させてもらうぜ。
門番はそう言い魔法を唱え始める。
「〈分析〉」
魔法を唱え数秒経つ。門番はなぜか腰に付けていた剣を抜き、臨戦体制へと入った。訳がわからず見ていると、門番の前の空間が歪む。応援を呼んだようだ。
何がまずいことをしてしまったのか、
考えるまもなくセレストは取り押さえられてしまった。
魔法
〈14.節制〉
空中に液体が入った二対の杯を作り出し、液体を調合し、対象にその効果を付与する。
今回のは睡眠作用のあるものと生物にまとわりつく性質を持つ液体を調合した。
〈分析〉
対象の個人情報が目の前に表のように現れる。
見える情報は対象の思考で変化する。対象が隠したい情報ほど、練度を上げないと見ることができない。
魔獣図鑑
森林竜
森を縄張りにする。深緑模様のドラゴン。
植物関連の魔法を得意とする。
太陽などから栄養を得られる為、狩りをすることは少ないが、縄張りへ入ると防衛のため襲う。
アレスティアのドラゴンは生息する場所により特性が変化する為、元はただの翔竜。




