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第十三話 戦闘開始

「オレはエグゼ。リ・アンスロの幹部だ。それから...」


話の最中にエグゼの背後と天井からいくつもの鎖が一直線で迫ってきた。フェーゴは難なく拳で叩き落としていた。僕は反応が遅れてしまったが、少し掠ったぐらいで避けられた。メルセナは...いない?


「えぇ...そこの子供くらいは落とせると思ったんだけど。案外動けんのね。やっぱいい子ちゃんばっかりだな。戦いはもう始まってんだよっと!」


エグゼの影からメルセナが飛び出し刃を向ける。すると残っていた鎖で弾く。


「チッ。」


「メルセナのは知ってっから、攻撃されても防げちゃうわ。ごめんな。」


鎖が前方を薙ぎ払いメルセナを弾き飛ばす。メルセナは受け身をとり、再び影に潜っていった。


〈魔手〉(マジックハンド)!」


手を振り回しても十分動かしやすい空間なので、とりあえず使ってみる。作り出した手でエグゼを掴もうと手を振りかざす。エグゼの動きを追って捕まえようとするが、ギリギリのところで避けられてしまう。


「何だこの魔法。うぜぇ...。てか、こうすりゃ壊れるんじゃね?」


魔手の指にエグゼの鎖が突き刺さる。すると刺さった部分に傷のような模様がつく。傷はじわじわと全体へ広がって片方の手が消えてしまった。


「ほら、壊せた。」


魔手が壊された。使用中に強制的に解除されたことによる驚きと、この魔法中はどうしても手の操作の方に意識が集中してしまった事が重なって、咄嗟の判断ができなかった。体が固まっている間に、すでに鎖が伸びているのが見えた。


「今度こそ、捕まえた。」


「あ、避けれない...」


足がすくんで動けそうにない。少しでもダメージを減らそうと剣を構えたが、鎖の勢いに負けて折れてしまった。だが鎖の勢いは失われる事なく、僕の体へと向かってくる。もう目と鼻の先ほどに近づいていた。そのとき、大きな声と拳によって鎖が地面へ叩きつけられた。


「すみませんフェーゴさん...。僕が不甲斐ないばかりに迷惑をかけてしまって...。」


「...いいか、セレスト君。私は必ずこの場を誰一人欠かす事なく切り抜けさせる。この自信がどこから来るか分かるか?」


「...副隊長の責任ですか?」


「いや、違う!そうしなければ、そうできなければ、隊長からの信頼を無下にしてしまう!それは由々しき事態だ。」


フェーゴはエグゼから目を離す事なく話す。違うことはないと思うけど。フェーゴさんらしい理由だと思った。


「なんだよ、急に話し始めてさ。オレのことなんて眼中にないって感じ?なに言ってんのかわかんねえけど、ムカつくから邪魔してやろ。」


エグゼが二人を攻撃しよう手から鎖を伸ばしていた。しかし背後の影からメルセナが飛び出す。すぐにエグゼの表面へ移動して手へ魔法を放って攻撃を止めた。


「残念。邪魔させねえし聞かせねえよ。副隊長殿のありがたいお話だ。てめえが聞くには勿体ねえほどな。」


フェーゴはメルセナが戦っているのを見て、セレストの方へ向き、両肩に手を置いて励ますように話をする。


「私は、隊長の隣に立っても恥じることのない人間になるために努力してきた。それ故に私は私を信じている。自らの力に自信を持て!君は強い。相手に惑わされず最善を尽くせたなら、必ず道は開く!」


「...はい!」


考えれる限り一番最悪な事をしてしまった。時間稼ぎはメルセナさんがしてくれている。ここから僕が出来ることは、魔手は鎖で壊された。火弾(ファイアブラスト)石爆(ストーンブラスト)風剣(ウィンドブレイド)...いや攻撃は二人の方が強い。そうだ、攻撃以外にも出来る事がある。あれならいけるかも。


(エデン。あの時の魔法教えてくれる?)


(了解した。ならばエグゼの目につかない場所へ移るぞ。)


フェーゴは話を終えると、再びセレストから背を向けて戦闘へ参加するタイミングを見計らう。するとすぐにメルセナが振り向き話し終わった事に気づいた。


「副隊長殿!話は終わったな!そろそろ加勢してもらえると嬉しいのだが?」


「わかった!セレスト君は心を落ち着かせてからこちらへ参加してくれ。相手からの攻撃は必ず警戒しておくように。」


「分かりました!じゃあ今のうちに下がろう。」


フェーゴは戦闘中の二人へ混ざる。僕はこの空間の入り口辺りまで下がり、先ほどの話を進める。あの魔法というのは、足茸(レッグシュルーム)を捕まえる依頼の時にエデンが使っていた光の魔法のことである。盾と剣。今必要なものを補えるはず。


「今から使う。獣気解放中は感覚共有も発動しているはずだ。すぐに覚えて加勢するぞ。」


「もちろん!ずっと口だけはごめんだから。僕も期待に応えないと。」



戦いへと加わったフェーゴ。戦況は一進一退で攻める事が難しく、飛んでくる鎖をいなしては魔法で牽制という風に時間だけが過ぎていく。


「そろそろまずいかな。一番最初に一人でも倒せてたら人質でも何でも、楽できたんだけど...っな!」


エグゼの鎖があらぬ方向へ飛んでゆき、奥の壁へと突き刺さる。


「おいおい!どこ狙ってんだ?」


「あぁ、ここから先はメルセナに見せたことないっけ。まあ存分に油断しときな。それだけオレの勝ち筋が増える。〈鎖雨〉(レインチェイン)。」


突然、突き刺さった鎖の先から跳ね返るように鎖が伸び始めた。壁にぶつかったら跳ね返りまたぶつかったら跳ね返り、上空を鎖が網のように張り巡る。


「それじゃ、お疲れ様。」


「全員!上空の鎖に注意!」


張り巡っている鎖の交差した場所からさらに新たな鎖が伸びる。次の瞬間、伸びた鎖が一斉に雨の如く僕らの立っている地面へと降り注ぐ。


「こりゃ避けらんねえな...。影入っとこ。」


メルセナは影に入ることが出来るが、フェーゴは降り注ぐ鎖に対抗するため構えている。唯一の安全な場所はエグゼの周囲だけ、好都合だったのは天井が高いため、鎖が一瞬で地面に到着することがなかった事。そのおかげで間に合った。フェーゴとメルセナの頭上に光が集まっていく


「やった!成功!」


集まった光は盾の形になる。降り注いでいた鎖が体に当たる高さへ来る前に、上空へ盾を展開することに成功した。鎖が完成した盾へ触れると、刺さることなく再度上空へ弾き飛んだ。これがこの魔法の能力。この盾に当たった魔法は、そのままの速度そのままの威力で跳ね返る。


「これだ!これなら十分戦える!」


「ああ。それでいい。君の最善を尽くせ!」


戦闘を二人に任せて、この盾で飛んでくる魔法をなるべく弾いて二人に邪魔が入らないようにサポートする。これが今の僕の最善だ。


「またお前かよ。ガキは高く売れっから傷なしのが良かったんだけど、無理か...。もう傷ありでもなんでも良い!全員まとめて出荷してやる!〈鋼鉄鎖獄〉(アイアン・メイデン)!」


エグゼは両手を地面へつく。すると手のひらから幾重もの鎖が流れ出しエグゼを覆い隠した。鎖の流れは止まる事なく、幾重にも鎖が重なってゆく。


「これはまずいな...」


「皆んな!僕の後ろへ!」


鎖に包まれたエグゼへ向かって立ち、光の盾を二重に展開する。他の皆んなは僕の背後に立って防御体制をとっている。


「来るぞ!」


エグゼを囲む鎖が不安定な動きを始める。すると全方位へ鎖が矢のようにすごいスピードで伸び始めた。エグゼを中心に壁や天井へ鎖が突き刺さる。盾のおかげでこちらへ伸びた鎖は跳ね返すことができたが、盾のない部分には刺さっているので動こうにもに動けない。


「収まった?」


「そのようだが...ふん!」


フェーゴが鎖を全力で殴った。しかし鎖の先端は壁に深く刺さっているため、外れそうにない。


「びくともしないな。エグゼに動きもない。とりあえず様子見か...。構えろ!」


フェーゴの叫びで気を入れ直した。なぜかこの攻撃はこれで終わりだと油断していた。壁や天井に刺さった鎖は、跳ね返った時のような軌跡でさらに伸び始める。先ほどよりも速度を増し、全方向から鎖を浴びせられる。咄嗟に盾の一つを背後に移動する。するとエデンが追加で残りの左右と上へ盾を展開した。


「...っ!ありがとう!」


「お安いご用だ。」


鎖は跳ね返るごとに速度を増し、勿論威力も増していく。この攻撃が始まり1分ほど経ったが収まる気配が無い。そして異変が起こる。この盾は魔法を跳ね返してはいるものの盾が直接受けたダメージは蓄積されていくらしい。盾にヒビが入り亀裂が広がってゆく。


「すみません...もう、限界...」


「皆、衝撃に備えろ!」


亀裂が全体は広がり、盾が砕け散ってしまった。それを境に鎖が一気に傾れ込んできた。体の至る所へ鎖が直撃する。母さんとの稽古やイグニさんとの訓練で痛みにはある程度耐性があると思い込んでいたが、それはとんだ思い違いだったようだ。あまりの痛さに立ち上がれる気がしない。ぼやけた視界には、伸ばした鎖を回収して、こちらへ近づいているエグゼの姿が見えた。


「はぁ〜〜。もう立てねえよな?とりあえず縛るから暴れるなよ。」


鎖で身動きが取れないように縛られる。


「良かった〜。隊長さんがくる前にとんずらしたかったんだけど...時間切れか。」


エグゼは頭をかき、入り口を見つめていた。首だけ動かして入り口を確認すると見慣れた人が立っている。こちらへ近づいてきて魔法を唱えると、鎖による傷や体の痛みが少しずつ引いていく。


「これでよし。おい!そこの鎖巻いてるやつ!お前が幹部だな。」


「幹部?何のことだか。俺にはさっぱり分かんねえなっ!」


話の途中で鎖を伸ばしていたが、難なく大剣で叩き落とされた。


「それは肯定ってことだよな!よし!星竜騎士団騎竜隊隊長イグニの名において、これよりお前を浄"火"する!」





魔法

〈鎖雨〉(レインチェイン)

天井に鎖を張り巡らせて、鎖を雨のように降らす魔法

室内限定


〈鋼鉄鎖獄〉(アイアン・メイデン)

使用者の周りを幾重もの鎖で丸く囲い、そのまま全方向へ鎖を伸ばす魔法。ウニみたいになる。

室内じゃなくても使えるけど、跳ね返りとかが無いから微妙。

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