氷の魔女は凍えたくない
寒いのは嫌い。
凍えたくない。
でも、私の身のまわりには、いつも冷たいのしかなかった。
人も冷たいし、物も冷たいの。
だから、寒くてたまらないわ。
たくさん毛布をかぶって、温かくしようとしても駄目。
たくさん声をかけて、温かい言葉を貰おうとしても駄目。
一体なにがいけないのかしら。
理由分からなかった私は、魔女になってからその答えを見つけた。
それは私が人と違って、氷を操る魔女だから。
とても大きな力を持っているからだわ。
そういう人は悪い人かもって、皆不安になるのね。
力を持った悪い人がいたら、大変だものね。
それなら解決は簡単。
私の事を知ってもらえばいいの。
私は、皆に私を知ってもらうために努力する事にしたわ。
氷の檻を作って、皆を捕まえたの。
これで長い間私を見てくれる。
これできっと誤解もとける。
私を凍らせる、たくさんの冷たさもとけるはず。
私は悪さをしない魔女だって分かってもらえる。
そしたらきっと、この凍えそうな体と心は、十分にあたたまるはずよ。