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御影君の苦手なもの

「次の休みもどこか行きます?」



 御影君が笑顔で小首を傾げる仕草が可愛くてキュンとしてしまう。



「い、いいの?」


「はい。まだ春休み中だし。次はゴールデンウィークまでないもんね」



 彼はニコッと笑った。たまに敬語じゃなくなる感じがまたキュンキュンしてしまって、私は思わず彼から目を逸らした。



「? どうかしました?」


「いや、何でもない。何して遊ぼうか」


「何がいいかなぁ。奈緒子さん、なんでそっち向いちゃうんですか?」



 顔を背けたままだった私の頬を捕らえた彼は、強引に自分の方へと私の顔を向けさせる。今日も輝いている彼のイケメンと目があうと、あまりの眩しさに思わず歯を食いしばり、ギュッと目をつぶってしまった。



「え? なんでそんな苦しそう??」




 ────御影君を好きすぎてヤバい。


 優しくても生意気でも笑顔でも意地悪でも、何やっても可愛い。もう御影君なら何でもいい。というか心臓にマジで悪そう。


 こんなにハマってしまって大丈夫なのだろうか。自分の舞い上がり方がちょっと怖い、今日この頃・・。


 しかしその数日後、そんな幸せな日常に波乱を呼ぶ使者が訪れるのである────。







 その日私はいつもの通りに、迎えに来た御影君と一緒に閉店作業をしていた。その人物が店のドアを開けたのはそんな時だった。



「奈緒子!」



 開けられたドアの勢いで、カラカラカランと激しく鐘が鳴る。猪突猛進とばかりに私の胸目掛けて飛び込んできたのは────。



翔馬(しょうま)!?」



 それは結婚して家を出た姉の子供であった。小さい頃は姉がこの子を連れて頻繁に家に帰って来ていたので、私もオムツ替えから面倒を見ている可愛い甥っ子である。小さかったこの子も、もうこの春から小学六年生、身長はだいぶ伸びて私の背まであと顔一つ分のところまで来ている。大きくなったなぁ。



「翔馬ぁ〜♡ 久しぶり〜。いつ来たの〜?」


「さっき着いたから迎えに来た。早く帰ろーぜ!」



 迎えに来たとか相変わらず甘えん坊で可愛いなぁ〜。ギュッと抱きついてくる甥っ子をムギュッと胸の中に抱きしめ返し、その頭にスリスリと頬擦りしたのだが・・



「奈緒子さん」



 はっとして振り向くと、そこには笑顔の御影君が立っていた。そうだった。一瞬御影君がいる事忘れてた。



「誰ですか、その子」


「あ、紹介するね。甥っ子の翔馬って言うんだ、よろしくね。翔馬も挨拶して。このお兄ちゃんは御影君っていって、このお店で働いて・・」



 そこまで言ったときだった。まるで私の説明を遮るように、御影君は翔馬の顔を覗き込んで、こう言った────・・



「奈緒子さんの《《彼氏》》です。よろしくね、翔馬君」




 ────・・ん? 御影君??






(続く)




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