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どういうつもりで2

 降りしきる豪雨の中、御影君に手を引かれて駆け抜ける事、しばらく────。


 彼は一件の家のガレージの軒下で足を止めた。市内最上位の高級住宅地であるこの辺りでも珍しい、堅固なシャッター付きのガレージの横には、これまた立派な煉瓦造りの門。間に設置された大きな鉄製の門扉が訪問者を拒んでいる。一目で「かなりのお金持ち」だと分かるその家の、煉瓦の門に掲げられた表札に驚愕の文字を見つけて、私は思わず息を飲んだ。


 そこにあったのは、そう────『御影』の二文字・・



「みっ、みっ、御影君っ・・ここってまさか・・」


 狼狽える私の横で、彼は門扉に付けられたインターホンの下の機械に指を翳し、すると鉄製の門扉はあっさりと開かれた。そして彼は言ったのだ。



「俺の家です」




 し・・指紋認証かよ・・


 御影君、貧乏なんじゃなかったのか・・? 言われてみればその品の良さも落ち着きぶりも、おぼっちゃまだって言われるとやたらしっくりくる・・。てゆうかなんでそんなに毎日、バイトしてるん・・?? マジで謎すぎる・・



「とりあえず入りましょう。タオル貸します」



 あまりの衝撃に、抵抗することを忘れていた私は手を引かれるまま玄関へと連れて来られた。御影君が慌ただしく家の中へと姿を消し、タオルを持って戻ってくるのを、私は呆然と眺めていたわけで。そんな私に、御影君はまた、ありえへん行動をする。


 濡れたシャツが取り払われ、代わりに頭にふわっと被せられたタオル。そして彼はそのまま、私の頭をふきふきと・・



(────!!)



「みっ、みか、みかげく」


「近いのにだいぶ濡れちゃいましたね。着替え持ってくるんでその間にシャワー浴びてて下さい」


「シャワー!?!?」


 

 私は青ざめた。

 突然のお宅訪問に重ねて、シャワーを浴びるって、なんだかいかがわしいというか・・しかも相手はこんな年増の女。親御さんに一体どう思われるか!


「あ。ちなみに家族は夜遅くまで不在なので、遠慮なく雨宿りして下さいね」



 テレパシスト!? だけど不在って、いいのか悪いのか!? 


 そんな私の困惑をよそに、御影君は私の手を引き、脱衣所のドアを開けた。



「シャ、シャワーは大丈夫です! お構いなくっ」


「でもそんなビショビショだと家の中濡れちゃうし・・」


「! じゃあ着替えだけお借り出来れば!」


「でも足も泥んこだし汚れそう・・」


「! じゃ、じゃあ・・足だけサッと洗わせてもらえれば、それで! というか御影君がお先にどうぞ!!」


「いや、奈緒子さんが先に。風邪でもひいたらお店の営業にも支障がでますし」


「いやいやいやそれはさすがに悪・・」


「あ。じゃあ一緒に入りますか?」


「!?!?」




(続く)

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