ユイ、世界を沈黙させる ~そのまなざし、外交レベル∞~
その日、世界は注目していた。
「A国とC国、首脳会談。議題は“関税問題と冷凍餃子”」
世界経済を揺るがす両国の争い。
会談の場は、極東某国の温泉地。なぜ温泉か?理由は単純。
「ユイちゃんがそこにいたからです」(外務省関係者)
*
大広間。湯けむりと緊張感。
A国大統領「C国が輸出してくるパイナップル製品、関税10倍にする!」
C国国家主席「ならばA国製ジャーキーに1000%の報復税を!」
同時通訳「They angry!!」
隅の座布団に座る──ユイ。
カナメ(同行中)「えっ、なんであんな真ん中に置かれてんの……?」
外交官「ユイちゃんは“非言語的圧力装置”として期待されています」
カナメ「圧力装置!?」
*
そのとき。
ユイ、ゆっくりと茶をすする。
静寂が落ちる。
A国大統領「……今、私は何を怒っていたのか……忘れた」
C国国家主席「わたしも……このままだと……ユイさんに嫌われそうな気がした……」
A国「それは……避けたい」
C国「同意する」
同時通訳「They agree!!」
拍手。外交官号泣。
「関税撤廃!冷凍餃子自由貿易!」
「ついでにお互いの犬動画を交換しよう!」
──会談、成功。
*
その後。
CNN「歴史的和解の背景には“謎の少女ユイ”がいた」
BBC「静寂の戦術──世界を変えた沈黙」
NHK「その正体は……高校生」
カナメ「いやいやいや!!もっと焦れよ日本!!」
*
数年後。
“ユイ・プロトコル”が世界標準に。
各国の会談場にはユイを模した人形が設置され、喧嘩が始まりそうになると──無言で見つめる仕組みに。
国連決議:『怒号より沈黙を』、満場一致。
カナメ「おい……ユイ……おまえ、世界の話し合い、終わらせちゃったよ……」
ユイはいつも通り、何も言わなかった。
──しかし世界は、その沈黙に、深く──うなずいた。




