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待ちに待った日

武士との話が終わり、莉子と話していたテーブルへと向かう。


「お待たせ...まったわよね?ごめんなさい」


莉子は、グラスを指先でくるくる回しながら、小さく首を振る。


「別に...燈さんにはあの人の力も必要だったて事ですから。仕方ないですよね」


仕方ないとは言いつつも納得してない。

けれどそれを責めるような色はなく、不満を露わにする声だった。


「ねぇ、莉子。私話があるって言ったわよね?」


「はい...」


「莉子が初めて100万使ってくれた日ね、1日の売り上げか初めてNo.1になれたのよ!ふふふ、本当に嬉しかったわ。だから早く伝えたかったのよ」



その言葉を聞いてドクンと胸が鳴る。

燈さんがNo.1になった、その初めてに私がいたという事実。

一瞬、嬉しさが胸を満たす。


(私が……)


でもその直後に思い出す。

先月の売上トップは、紛れもなく武士という男だったことを。


(……先月のNo.1は、あの男の人の力)


喜びたい。けど、それができない自分が悔しかった。


「……そう、ですか。……よかったですね」


少しだけ間を置いて、そう返した声はどこかぎこちなく感じる。


燈さんはじっと私の顔を見つめる。


「あんまり嬉しそうじゃないわね...莉子ならもっと喜んでくれると思ったんだけど」


「いえ、嬉しいです。でも先月は彼の力です」


莉子のむすっとした顔を見た瞬間、燈の口元がわずかに緩む。

その様子に気づいた莉子がじろりと睨む。


「ふふ、そういう事。まぁ確かにね。でも莉子が1日で100万使ってくれたおかげでちょっと話題になったのよ」


「え?」


「あの日の出来事で私の知名度が上がって会いに来てくれる人が増えたの、武士さんもそのうちの1人よ」


莉子は、目を瞬かせた。


(……じゃあ、私の存在が……)


「莉子が“1番最初の1人”だったのよ。

……だからね、私、すっごく誇りに思ってるの。莉子が応援してくれたおかげで1日だけでも私はNo.1になれたの」


一言一言を噛みしめるように、燈さんは語った。

まるで、言葉の代わりに心を伝えようとするように。


莉子の胸にじんわりと何かが染み込んでいく。


「……それ、もっと早く言ってください」


「ふふ、ごめんなさい。言うタイミング逃しちゃって」


「それ聞いて少し安心しました」


「よかった、少しは棘も抜けてくれたかしら?」


「まぁ、まぁですね」


莉子はグラスを持ち上げ、そっと目を伏せながら小さく呟いた。


「赤姫さん改めてNo.1おめでとうございます。次は私が月刊、年間でNo.1にさせてみせます」


「ほどほどにね?使いすぎないように」


「それは無理なお願いですね、お金の使い道は私が決めます。でも...迷惑かからないようにはします」


「まぁそういう事にしておきましょ」


ふたりのグラスが、静かに触れ合って澄んだ音を響かせた。

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