001
それは序列七位の魔王を倒した帰り道のこと。
「君の貢献には言葉にならないほど感謝している。だがーー」
「ああ、やはり駄目だ」
仲間たちが俯いた顔を上げて僕を見る。
「本当に済まないと思っている。しかしーー」
ああ畜生、こうなる事はなんとはなしに分かっていたとも。とっさに元に戻したとはいえ、あれを見られてしまったから。
「そうか、そうだよな」
光の戦士である勇者御一行の最後列を歩く不死者の王は、如何ともし難い同意をする。僕だってパーティーの一員が禁呪を行使してアンデットになったらそれはないだろうと、思う。
でも仕方なかっただろう。それ以外に皆が助かる途も、奴を倒すに至る術もなかったんだ。そりゃ禁呪だって使うさ。幼馴染を死なせるくらいなら僕は不死者にだってなる。
「……鑑定を、使ってみてくれないか」
悲壮な表情でそう言った勇者に、僕はそれを向けてみる。態々行使しようと思わなくとも実行され、眼前に映し出される情報。多分にして絶対的なそれ。
「……何だよ、これ」
人類を滅ぼすためだけに設計されたとしか思えない生物である、悪魔。その王である魔王に唯一届くとされる光の魔力。その数値が、……ありえないほどに。俺が隣りにいるからか、このクソッタレが。
「嘘、じゃあない、か……」
僕のせいだ。僕が悪い。アレは許されない事だった。だけど。
仕方がないからここで覚悟を決めよう。僕はもう、ここまででいい。
「ああ、このクソが。あいつの所為でいつもこの調子だ。これで、ここが別れだ。そんな済まなそうな顔をするな。俺はここから別の道を行く。こうなった俺のことなんてここで忘れていい」
くそ、年相応の表情をこの体で再現するのは厳しい。




