第4話 Side he
レイディアム目線です。かなり短いです。
自分の腕の中で眠った、まだ名も知らぬ少女を見る。
腰まで伸びた長く美しい黒髪を持ち、人間だというのにこの世界の者にも引けを取らぬ程に愛らしい顔立ちをしている。
彼女を見つけたのはたまたまだった。しかし一目見てすぐに欲しい、とそう強く思った。
生きのびる希望をちらつかせ、絡め取って逃げられないようにして。触れた唇は信じられないほど柔らかく、歯止めが効かなくなりそうだった。
言葉も解さない下等な害虫を駆除してから彼女の元に戻り、悪魔である事を証明するために術を解けば、彼女は私の髪と瞳を見て綺麗だと褒めてきた。
それに私がどれだけ喜んでいたか、彼女はまったく分かっていないのだろう。この色を見て綺麗だと言ってきたのは彼女が初めてだというのに。
この言葉も、言葉と共に向けられた美しい笑顔も忘れる事は決してないだろう。
出会う事が出来た運命の人。まさか出会えるなどとは思っていなかった。彼女と巡り逢えたのは奇跡といってもいい。それほどに運命の人と出会える者は少ないのだ。
悪魔の契約は絶対だ。どんなことをしても破ることは出来ない。
この契約がある限り彼女は私から逃げることは出来はしない。
彼女が傍にいるこれからを思い、抑え切れ無い歓喜の笑みを浮かべながら彼女に触れるだけのキスを落として、私は自分の屋敷へ移動した。