福井県池田町「池田暮らしの七か条」における一考察
いつも以上のフルスイングでお届けいたします。
気分を害される方もいらっしゃることを、先に表明いたします。
皆様こんにちは。加藤良介でございます。
さて今回は、一部界隈で話題絶頂。
福井県池田町にて制定された、池田への移住者に向けた七か条について、考察していきたいと思います。
私も村おこし的な小説を投稿している以上、この手の話題にはアンテナを張っておりまして、興味津々のネタでございます。
いつも通りの独断と偏見で構成されておりますので、閲覧注意でございます。苦情は受け付けておりますのでお気軽にどうぞ。
( ̄▽ ̄)//それでは、始まり始まり。
まずは、基本設定からご説明いたしましょう。
場所は福井県池田町。
県内有数の豪雪地帯だそうです。私の親戚も福井県で暮らしておりますが、雪下ろしを手伝えと言われたことがあります。
人口は約2300人で、高齢化率は45%。←思ったより高くない。
村の9割が森林。←すごく普通の村ですね。
なので森林を生かした「まちづくり」を掲げ、過疎化の防止に取り組んでおられるとのこと。←ここ重要
毎年20人弱の移住者が来てくれるそうです。←多いのか少ないのかは不明。なんとなく多い印象。
そして移住者相手に出たのが「池田暮らしの七か条」
このは集落の区長たちが合議のもとに制定したそうです。
移住者が「共同作業」に参加しないことを問題視して、広報誌に掲載しました。
2023年1月27日に同町の公式サイトでも公開したとたん、その過激な内容で話題沸騰。
この手の話題に目のない私に、あえなく御用となりました。
では、その七か条をここで御開帳と行きましょう。
第1条
「集落の一員であること、池田町民であることを自覚してください」
人口が少ないので、相互扶助を土台に共同体の維持を目指しているそうです。
第2条
「参加、出役を求められる地域行事の多さとともに、都市にはなかった面倒さの存在を自覚し協力してください」
環境保全、文化保護の観点から、地域行事への参加は必須となります。
ついでに草刈り機も必需品。
このことを「面倒だ」「うっとうしい」と思う方は、池田暮らしは難しいそうです。
第3条
「集落は小さな共同社会であり、支え合いの多くの習慣があることを理解してください」
村には村のルールがあります。それに従ってください。
第4条
「今までの自己価値観を押し付けないこと。また都会暮らしを地域に押し付けないよう心掛けてください」
これまでの都市暮らしと違うからといって、都会風を吹かさないよう心掛けてください。
恐らくですが、この条文が一番カチンとくる条文かと思われます。
第5条
「プライバシーが無いと感じるお節介があること、また多くの人々の注目と品定めがなされていることを自覚してください」
余所者には信用がありませんので、品定めされることは当然のことです。
干渉、お節介と思われるかも知れませんが、仲間入りへの愛情表現とご理解ください。
第6条
「集落や地域においての、濃い人間関係を積極的に楽しむ姿勢を持ってください」
コミュ障お断り。
第7条
「時として自然は脅威となることを自覚してください。特に大雪は暮らしに多大な影響を与えることから、ご近所の助け合いを心掛けてください」
豪雪はヤバいので、助け合いが必須です。
以上、共同する社会の豊かさの充実のため、ご理解ご協力ください。
著作権の観点から、条文はそのまま、説明文は意訳で短くしたり削除しました。
全文がお読みになりたい方は、池田町のホームページへどうぞ。
いかがでしょうか。
言っていることは、割とまともかなぁ~って印象ですね。
間違ったことは言っていないと思います。
誠実に実直に、田舎には田舎の苦労があることを教えてくれています。
文言がきついとの批判もありますが、むしろ率直に、飾りっけなしの本音と言った感じで、好印象と言えるでしょう。
取り繕って、趣旨がぼやけた文章なんて意味がありませんし、妙な幻想を抱かれても迷惑なのはその通り。
しかしながら、文章全体から漂ってくるこのフルスイング感。
( ̄▽ ̄)//いいですね。大好物です。
これには私もフルスイングでお返しすことができます。
基本設定は以上にして、本題にはいりましょう。
この七か条ですが、私に言わせれば問題しかありません。
よくもここまで、美味しいネタが放り込めるものだと感心するレベルです。
そして何よりも問題なのは、これを制作した区長さんたちには、何が問題なのか、認識することすら困難と思われる事ですね。
問題を認識できないので、改善への努力も絶望的です。
そこで、お節介にもわたくし加藤良介めが、七か条の問題点をこれでもかと、あげつらっていきたいと思います。
・何が問題なのか?
この七か条最大の問題点は、肝心かなめの過疎対策に、一切役に立たないことですね。
断言いたしましょう。
まったく役立たずの条文です。
これで過疎対策などと、本気で言っているのか疑うレベルですが、残念ながら区長さんたちは本気も本気です。
真面目に誠実に隠し事なく、告白してくださいました。
ありがとうございます。
これほどの一次資料は、滅多にありません。
駄目な見本として、後世に語り継がれるレベルですね。
この七か条には、池田町が過疎化する要因の全てが盛り込まれています。教科書だってここまで簡素にまとめることは不可能かと思われます。
「地域活性化の足を引っ張るのは地域住民」と、どこかで聞いた覚えがありますが、まさにそのことを如実に語ってくれているのが、この七か条です。
このざまでは、過疎化するのは必然ですね。
・七か条の問題点
① 自身や村のあり方を変える気が、全く、これっぽっちも、欠片も、微塵もない。
この七か条の最大の問題点は、移住者にのみ変革を求め、自身は今まで通りの生活を望んでいるところですね。
あえてきつい言い方をいたしましょう。
( ̄▽ ̄)//「甘ったれんな」
そんな態度だから、過疎化しているんじゃないですか?
今までどおりが通用するなら過疎化しないと思いますね。
よく言いますよね。「他人を変えることはできないが、自分を変えることはできる」
移住者という他人を変えようなどと、無駄な努力ですよ。
やるのであれば、ご自身を変革してください。
無理なら諦めて「耳と目を閉じて、孤独に暮らせ」
故郷が衰退したり過疎化するのは、住人の責任です。
他の誰の責任でもありません。
時代のせいにするのは責任転嫁です。
時代の波に乗りそこなった地域住人の責任です。
自身への問題意識が全く感じられないことに、恐怖すら覚えます。
その上で、移住者に対して「変われ」などと、どの口がほざくのでしょうか。
② 超絶上から目線
私も上から目線の自覚がございますが、上には上がいらっしゃるものです。
まさに「何様」って感じですね。
これにはかつて、なろうにおいて勃発した、「お前は小説書くな論争」の引き金になったエッセイを思い出しました。
あのレベルの上から目線。
m(__)m 参りました。
あのエッセイが"なろう"のレベルアップに一切貢献しないことに似ていますね。
その上から目線は村のために一切役立ちません。
③都会への嫌悪感が凄い
都会風とはまた古めかしい表現でしたね。
「オラが村を馬鹿にするでねぇ」って感じなんですかね。
多分に被害妄想だと思いますよ。
大体ですね。村が都会に劣っているのはどうしようもない事実であります。
事実は事実として受け止めましょう。
現実逃避しても物事は解決いたしません。
村の人間が役に立たないから、衰退していることを自覚した方がいいと思います。
自力でどうにもできないから、移住者を募っておられるのですよね?
これを言うのは少々酷かもしれませんが、自身の共同体を自身で賄えないですよね。
池田町の自治体、貰ってますよね。
地方交付金。
このお金、どこから来るか知ってますか。
貴方方が嫌ってする都会風を吹かせいてる人たちが稼いだ税金で、その大半が賄われているんですよ。
都会から仕送りを受けているのに、都会が嫌いって・・・
世間知らずも甚だしいとおもいませんか。
独立独歩がしたいのであれば、まずは地方交付金の返納から始めてはどうでしょう。
自費ですべてを賄っているのであれば、誰からも文句は来ませんよ。
④ 無駄に高い自尊心と郷土愛
自尊心や郷土愛も強すぎると毒になる典型例ですね。
ご自身と故郷に対する評価額が高すぎです。
評価額を1/100にしてください。おそらく、それが市場価格です。
「郷に入っては郷に従え」なんて言葉もありますけど、ほぼ死語ですよ。
この言葉は郷に価値があった頃の言葉です。
あるんですか? 価値。
価値があったら過疎化しないと思うのですが。
実際問題、過疎化していない地方の自治体は数多くあります。
価値が低下しているから過疎ってるんですよね。
価値が低下している要因の多くは、地域住人の責任ですよ。
経済性が無いとか、古いしきたりが多いとか、閉鎖的であるとか、不便とか、心当たりは両手の指の数ほどあるでしょう。他者の責任ではありません。
そんな価値の低い郷に従うメリットと必要性をご提示ください。
このような言葉を吐いていいのは、鎌倉や洛中、軽井沢のような「価値」の高い地域に住んでおられる方だけです。
地域の地位の高さはある種の特権です。
そんなものは簡単には転がっておりません。
特権的地域の価値とは、歴史と地理的要因によって決まります。残念ながら福井の山奥には望むべくもありません。
無いものねだりはやめましょう。
必要なのは、昔ながらの「郷」ではなく、次の時代への「変革」です。
そもそも昔から住んでいるだけなのに、そんなに偉いんですかね。
私から見ると思い上がりにしか見えません。
もう一度書きますが、ご自身と郷土への評価額を下げてください。高すぎです。そんな値段では世間知らずの田舎者と笑われるだけです。
⑤ 危機意識の欠如
全体的に、危機意識が欠如していますね。
「何とかなるやろ」で、「何ともならなくなった」典型事例のように思えます。
池田町は、まだ余裕のある共同体かと思われます。
死に物狂いと言った感はありません。もしかしたら個人の所得は高いのかもしれません。
⑥ 時代は「令和」頭の中は「昭和」
あのですね。
今の年号は令和なんですけど、知っておられますかね。
平成も終わりましたよ。
頭の中、昭和のままとちゃいますか。
時代に合わせてアップデートしておられますか?
ガジェットだけ令和で頭の中が昭和だと、昭和のままから進歩しません。
都会の人というのは、田舎の人が持っていないインテリジェンスを持っている例が多いのです。
インテリジェンスが変革を生み、変革が次の時代への第一歩です。
インテリジェンスが無い田舎の人では千年たっても進歩しませんよ。進歩しないと滅びるしかありません。
滅びたいのか、滅びたくないのかどっちなのですか。
過疎化を止めたいのであれば、都会人が持っているインテリジェンスの活用が必須です。都会人の足を引っ張ってはいけません。
残念ですが、村の昔からの伝統は役に立たないでしょう。
言っておきますが、過去の栄光は戻りません。絶対にです。
どうしても取り戻したいのであれば、勉強してタイムマシーンでも開発してください。そのレベルで不可能であると断言いたします。
⑦ コミュニケーション能力への評価の低さ
今の社会で一番求められているのが、コミュニケーション能力です。
このスキルがある人は、都会でも引っ張りだこです。
そんな好物件を求めないでください。そちらに回す余裕は都会にも有りませんよ。
コミュニケーション能力が高い人材を、何が悲しゅうて過疎地なんぞに送り込まにゃならんのですか。
人材の無駄遣いです。
このような方には都会でやるべきことが山のようにあります。
残念ながら、送れるのは人付き合いの苦手な人だけです。
"田舎でひっそり暮らしたい"
こんな人です。
「おはようございます」と「さようなら」と「ありがとうございます」と「ごめんなさい」が言えたら合格点を上げてください。
要求値が高すぎます。
以上。私も七項目挙げてみました。
・まとめ
七か条を読んで思った根本的問題点は、文化の違いです。
都会は「個人」の集合体ですが、村は「村」という共同体で、個人の存在が希薄なのでしょう。
そこから生まれた軋轢かと思われます。
そして何より、豪雪地帯という自然の脅威。
これですね。
都会は人に合わせて自然を作り変えますが、豪雪地帯では人が自然に合わせるほかないのでしょう。
都会の価値観を無慈悲に粉砕するのが自然の脅威です。
両者の価値観は永遠にまじりあうことは無いかと思います。
池田町がこの後どのような展開を迎えるか、注視していきたいと思います。
本気で過疎対策をしたいのであれば、この七か条を考えた区長さん全員を、罷免するのがよろしいでしょうね。そしてそのことを発表すべきでしょう。
どこかの秘書官もオフレコの場で漏らした不適切発言で罷免されましたし、見習ってみてはいかがでしょうか。
私的には秘書官の発言はオフレコ場での個人の見解どまりですので、罷免はやりすぎなような気もしますが、こちらは公式発表ですからね。より問題として大きいでしょう。
ですが、恐らくどなたも罷免されないでしょうし、辞任もしないでしょね。
思っていることを口にしただけなんですから。
この七か条の掲載も止めないそうなので、改善は絶望的です。
しかし、良い点もあります。
これからの地域活性化のための、よい反面教師となってくださいました。
駄目な見本としての完成度はピカ一だと思います。
村の本音も聞けてよかったです。
もしかしたら私の見当違いで、うまくいくかもしれません。
その時は喜んで謝罪エッセイを掲載いたします。
ただ、結果が出るには二十年ぐらいのスパンが必要でしょうね。
池田町の皆様の、今後のご活躍をお祈り申し上げます。
終わり
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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