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第53話 電話

「無理だぞ無理!!勝てる訳ねぇ!!!」


笹島との勝負の約束は一週間後だ。

それを郷間に話したら、電話越しに力いっぱい無理と返って来た。


確かに、今のまま戦ったら確実に負ける事になるだろう。

俺から見たらハナクソみたいな雑魚でも、郷間からしたら格上の強敵になる訳だからな。


――だからこそ、勝負を一週間後に指定したのだ。


「安心しろ。1週間以内に勝てる様にしてやるから」


「いやいやいやいや、絶対無茶苦茶するつもりだろ!笹島と戦うよりそっちの方が100倍怖いわ!」


「別に無茶はしないさ。むしろ楽勝だぞ。軽く魔物を倒して、レベルを4ぐらいまで上げるだけだからな」


魔物を倒してレベルを上げる。

そう、ただそれだけだ。

カンタンカンタン。


「はぁ?1週間で上がる訳ないだろ?俺はまだレベル1なんだぞ。大体、ダンジョンだって無制限に入れる訳じゃないんだからな」


ダンジョン毎の魔物の数は決まっていた。

流石にゲームの様に、時間を置いたら勝手にリポップし続けるなんて事はない。

そのため、レベルを上げるには一か所ではなく、複数のダンジョンをクリアして周る必要があった。


「ダンジョンに入る必要は無いぞ」


「へ?」


「モンスターは俺が作るからな」


「え?マジで?お前そんなの作れんのか?」


「まあな」


異世界にいた際、魔物を生成する魔人と戦った事がある。

その時習得出来る様になったスキルを覚えさえすれば、魔物を生み出す事は可能だ。


「つっても、まだ習得してないから今は出来ないけどな」


未だに習得していないのは、使えない物として放置していたからだ。


スキルはあくまでも魔物を生成するだけの物。

生み出した魔物をコントロール出来る訳ではない。

そのため、生み出した瞬間此方に襲い掛かって来るのは目に見えていた。


だからスルーしたのだ。

マイナスにしかならないと判断して。


因みにスキルで生み出した魔物から経験値が入るかどうかは……まあ大丈夫だと思われる。

アクアス曰く、ダンジョン内の魔物と異世界にいた魔物には全く差異がないそうなので。


いけるだろう。

多分。

ま、駄目ならその時は別の手を考えるつもりだ。


「まあ1日あれば習得は出来るから、明日からパワーレベリングだ」


「パワーレベリング?それって、ひょっとして……」


どうやら郷間は俺の言葉に気づいた様だ。

流石元ゲーマーだけはある。


――そう、明日から行うのは特訓ではなく『パワーレベリング』だ。


「ああ、お前の想像通りさ」


パワーレベリングとはゲーム用語であり、高レベルのキャラを使って低レベルの高速育成する事を指す。

能力アップなどの外部支援だったり、強キャラで大量に抱えた敵を範囲攻撃で倒させたり等、やり方は様々だ。


「何も考えず剣を振るだけ。それだけでぐんぐんレベルアップだ!」


「おお、マジか!?何だよ、そんな方法があるなら特訓とかいらねーじゃん!」


「馬鹿言うな。今回だけだ」


パワーレベリングみたいな能力の無理くりな底上げは、強さに欠落を生じさせ、どこかで足を掬われてしまう可能性が高くなる。

何せ段階を踏まず、過程をすっ飛ばして力を手に入れる訳だからな。

ネットゲームとかでも、レベルが上がったはいいが、装備や知識が不足して地雷みたいな奴になるなんてよくある話である。


だから郷間には、実戦を含めた訓練をキッチリ施そうと考えていた。

ちょっと位のイレギュラー程度には、対応できるだけの底力を付けさせるために。


だが今回は特別だ。

笹島の奴に死ぬ程イラっとさせられたから。

まあ地力の方はちゃんと訓練を続けさせるから――強制――ちょっとぐらいかっ飛ばしてもさして支障は出ないだろう。


「んじゃ、俺はスキル覚えないとならないから。明日以降の為に、ゆっくり休んどけよ」


用件を告げてから、俺達はファミレスを出た。

会計は5桁中盤。

少し前の俺なら、貧血起こしてるレベルの金額だ。


ま、今はこれ位どうってことないけどな。


「さて、コンビニ行くか」


アクアスが言うには、クレイスのエネルギー維持には相当な量の食事が必要になるらしい。

母にその用意を頼む訳にもいかないので、コンビニで大量に買い込む予定だ。


「甘い物が良いですぅ」


「わかったよ」


甘い物だけ食べ続けるのはどうかとも思うが、まあ精霊だし、その辺りは多分問題ないだろう。


俺は甘味類を大量に買い込んでから帰宅する。

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