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規格外のストラテジー~異世界帰りの勇者、知り合いにばれてダンジョン攻略に駆り出される~  作者: まんじ(榊与一)


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第32話 精霊召喚

「おおおおぉぉぉぉぉ!!!」


正直、意味が分からなかった。

特殊能力者のレベルは、魔物を狩って得る経験値で上がるのが常識だ。


なんで台場はいきなりレベルが上がった?

まさか、俺が魔物扱いって事か?


いやそもそも俺、倒されてねーしな。

それ以前の話だ。


「俺が勝つ!!!」


敢えてレベル6の能力を使って――使い分けれるのか知らんが――力を隠していた線も薄いだろう。

そんな無意味な事を、脳筋やろうがするとは思えない。


うーむ、ますますわからんな。


「おおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」


「うっせぇ!」


鬱陶しいので、雄叫びを上げて殴りかかって来る台場の腹に突き上げる様な一撃を叩き込む。

その攻撃に耐えられなかった台場の体は宙を舞い、そのまま顔面から地面に激突する。


「人が考え事してる時に、やかましく雄叫び上げて殴りかかって来るな」


全く、空気読めよ。

まあ勝負中に静かにしろと言う方が理不尽とも言えるが。


取り敢えず、台場の突然のレベルアップの事は考えても答えが出そうにない。

こういう時は、何か知ってそうな奴に聞くのが一番だ。


――そう、真っ先に気付いた姫宮に。


「姫宮。奴は何故急にレベルアップした?」


「その前に、あんた本当に人間?」


何故か衛宮玲奈が話に割り込んできて、失礼な質問をする。


性別を変えている魔法に問題があって、おかしな所でもあるのかと思ったが、体の各所を触っても特に違和感は感じられなかった。

変身は完璧だ。

見破られる要素はない。


「どう見ても人間だと思うが?お前は何を言ってるんだ?」


EX(エクストラ)経験値は……自分より強い魔物と戦った時にだけ、得られるから」


「EX経験値?」


姫宮が聞きなれない単語を口にする。

説明を求めて郷間の方をみるが、奴はにっこり笑うだけだった。

どうやら知らない様だ。


「レーンさんも御存じかと思いますが……レベル6以上のレベルアップには、経験値の他に、自分より強い魔物と戦う必要があります」


聖奈が説明してくれる。

が、勿論知らない。

初耳である。


「ああ」


俺はそれを知ったかで返した。

高レベル能力者って事になってるからな。

レベルアップの仕方を知らないってなると、おかしな話になってしまう。


ここは特殊な単語を知らなかったという事にしておく。


「それによって蓄積される特殊な経験値を、私達は便宜上、EX経験値と呼んでいるんです」


「成程」


台場は俺との戦闘で、そのEX経験値とやらが溜まってレベルアップした様だ。

まあ気になる点があるとすれば、‟強い魔物と戦って”と言っていた所か。

聖奈が態々説明に魔物とつけたという事は、強い人間と戦っても上がらないという事なのだろう。


玲奈が俺に対して本当に人間かと尋ねたのも、その辺りが理由に違いない。


「それで人間か聞いてきた訳か」


「そうよ。あんたが人間なら、説明が全くつかないもの」


玲奈が疑問に思うのも無理なし……か。


EX経験値とやらの事を考えると、何かあると考えるのは当然の事だ。

仮に逆の立場だったとしたら、俺も彼女と同じ様に懐疑心を持っただろう。


衛宮玲奈は魔物ではないか?と。


まあだが、本気で疑っている訳ではないだろう。

もしそうなら、こんなドストレートには聞いてはこないはず。


要は、納得出来る言い訳をして見ろって事だな。

そう、これは衛宮玲奈(ライバル)からの挑戦状だ。


ならば逃げる訳にはいかない。

受けて立つ。


「ふむ……」


言い訳をするに当たって、一応筋は通しておいた方がいいだろう。

余りにもいい加減過ぎると、直ぐにボロが出てしまうからな。


取り敢えず、俺と魔物だけの共通点を考えてみた。

この世界の人間に無くて、俺と魔物だけにある物。


――それは魔力だ。


俺は異世界転移時に使われた触媒を吸収する事で、全てのスキルを習得出来るチートと魔力を得ている。

だがこの世界の生物には、魔力がなかった。


これが俺と魔物。

そしてこの世界の人間との決定的な差となっている。


まあそれが、本当に台場のレベルアップの原因とは限らない。

だがそれ以外思いつかないので、俺はこの線で法螺を吹く事にする。


「私の能力は身体強化ではない」


「我々を騙していたという事ですか?」


姫宮グループとの合同では、俺の能力は身体強化と申告してあった。

言ってみれば、虚偽だ。

それを責めるかの様に性悪さんが睨んで来る。


ライバルとの勝負に口を差し挟むとか、ウザい奴だ。


「特殊な能力で、余り周りに知られたくなかったからな」


「そう言う問題では――」


「ハイストップ。そういう終わった話はもうどうでもいいのよ。で、どういう能力なの?」


玲奈が横槍に無理やりストップをかけた。

際限なく五月蠅そうだったので、ナイスアシストだ。


まあ仮に後で性悪さんに契約違反だ何だと言われたら、その時は偽装で身体強化を鑑定させれば黙るだろう。

それを暴く方法はないしな。


「精霊憑依だ」


「精霊憑依ぃ?」


「精霊を呼び出し、それを憑依させる事で力を得る事が出来る能力だ。姫宮が剣を変える事で多種多様な力を発揮できる様に、私は憑依させる精霊で様々な力を得る事が出来る。身体強化もその一つだ」


姫宮零は特殊な剣を生み出す事で、複数の能力を扱える能力者だ。

俺はそれの精霊版という事にしておいた。


能力を一つに限定する様な物より、そちらの方が後々動きやすくなるからな。

Sランクの攻略もあるし。


「そんな能力、聞いた事もないわね」


「特殊な能力だと言っただろ?」


「ふーん。じゃあ、その精霊ってのを見せて見なさいよ」


「いいだろう」


俺はスキルを使って無音で魔法を詠唱する。


だが唱えてから気づく。

俺が契約している精霊が、《《異世界》》の精霊である事に。


この世界でちゃんと召喚できるかな?


そんな事を考えたが、その心配は杞憂に終わる。

詠唱を終えると、俺達の目の前に水の精霊が無事姿を現した。

どうやら別の世界でも一応召喚自体はできるようだ。


が――


「――っ!?」


「これが、精霊?」


「ああ、水の精霊。アクアスだ」


しかし召喚したそれは、思っていた物とは違う姿だった。

アクアスは本来手のひらサイズの小さな青い少女なのだが、目の前に現れたのは、何故か人間サイズの女性の姿をしていた。


異世界である地球に呼び出した影響だろうか?


まあこの際細かい事は良いだろう。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
ランク的な意味のレベルって持ってる能力のそれと連動してる?
なるほどレベル7が5人ってそういう どうやって海外から引き抜くかと思ったら4人レベルアップするのね
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