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第31話 レベルアップ

「いいだろう。その話、引き受けた」


別にゲームに釣られた訳ではない。

ちゃんとそれとは別に、報酬として5億の提示があったからだ。


……本当だよ?


「決まりね」


衛宮玲奈は、勝ち誇った顔で性悪さんの方を見る。

彼女はそれを不機嫌そうな目で睨み返した。


どうやら仲は余り宜しくない様だ。

まあ他所様の事だから、どうでもいいけど。


「……決まりですね。では正式な契約を――」


「待ちな」


性悪さんが話を纏めようとすると、台場が急に口を挟んで来た。

まだ何か用があるのだろうか?

奴は目の前にやって来て、その巨体から俺の事を威圧的に見下ろした。


「エギール。俺と勝負しろ」


「は?」


「勝った方が相手の言う事を聞く。シンプルでいいだろう?俺が勝ったら、お前にはグリードコーポレーションに入って貰う」


……だめだこいつ。


冗談抜きで、台場は頭の中まで筋肉で出来ている様だった。

ここまで馬鹿だと、きっと死んでも治らないだろう。


だが俺は――


「いいだろう」


――それに、オッケーの返事を返す。


こういう輩は、断ってもしつこく絡んで来るのは目に見えているからな。

ボコボコにしてお帰り願った方が、後腐れなくすっきりする。


「へっ!そうこなくっちゃな!」


俺の返事に台場がニヤリと笑い。

そして全身に力を入れて力んだ。


――次の瞬間、奴の着ていたジャケットが筋肉で弾けてびりびりに破け飛ぶ。


大した筋肉だとは思うが、他所の事務所にゴミをばら撒くのは頂けない。

俺が勝ったらこいつに掃除させるとしよう。


「うわっ。キモっ……」


台場の筋肉アピールは、女性受けは宜しくない様だった。

玲奈が凄く嫌そうな顔をしているし、性悪さんも明らかに汚物を見る様な目で見ている。

まあ当の本人は気ににしていない様だが。


「この近くに姫宮(うち)の道場があるから……勝負ならそこで」


レベル6の強さは、衛宮達を見て大体把握してた。

身体強化系だからと言って、飛びぬけて強いという事はないだろう。

恐らく、その気になればワンパンも可能だ。


その場合、この場で十分なのだが……


まあ、やりすぎると大体(ろく)な事にならないってのが相場だ。

ここは大人し目にやり過ごす為にも、多少は戦った風に見せた方がいいだろう。


「姫宮、感謝する。台場、勝負はそこでだ」


「腕がなるぜ!」


現場までは車で移動。

俺や姫宮達はワゴンだったが、台場はド派手な左ハンドルのオープンカーだ。

無駄に似合ってて、何だか腹が立つ。


「ここ……」


姫宮に案内された場所は、ドーム状の建物でかなり大きかった。

中は畳の敷いてある道場スペースと、能力者の訓練用の空間に分かれている。

能力者用の方は多少の衝撃ではビクともしない位頑丈にできているそうで、意図的に攻撃を加えなければ、まあ暴れても問題ないそうだ。


「エギール・レーン。ひとつお願いがある……」


「ん?」


「後で、私達3人とも勝負して欲しい……」


「勝負?」


姫宮の言葉に、俺は眉根を顰めた。

いきなり自分達とも勝負して欲しいとか、意味不明過ぎるんだが?


「何のために?」


「理由は――」


「何喋ってんだ!!さっさとかかって来い!!!」


台場の怒声が周囲の空気を震わせる。

何ちゅうバカでかい声だ。


「肉達磨が五月蠅いし、その話は後でいいか」


「わかった」


「じゃあデカブツを黙らせて来るとしようか」


姫宮の意図は後で聞けばいいだろう。

放っておくと、台場が五月蠅くて敵わんからな。


「どうでいいけど、あんた剣は良いの?一応刃引きの刀なら置いてあるけど」


玲奈が武器はいいのかと聞いてくる。


今の俺はズボンにシャツ。

それに顔を隠す仮面を付けただけの《《カジュアル》》な格好だ。

当然装備など身に付けていない。


「素手で問題ないさ」


蟻を踏み潰すのに、履いている靴が安全靴かを確認する馬鹿はいない。

それと同じだ。

剣だろうが素手だろうが、奴は俺の敵じゃないからな。


寧ろ武器を使うと、余計に加減しなくてはならないので面倒なだけだ。


「いくぞ」


「こい!!」


宣言して突っ込むが、奴は両手を広げたままの構えで何故か動かない。

そのため、俺はあっさりその懐に飛び込めてしまう。


最初の一発は受けてやるってか?

こっちは加減して相手するってのに、いい気なもんだ。


「ふっ!」


レベル6の強さを想定しつつ、俺はそのままがら空きの台場の腹に拳を叩き込んだ。


「ぬぅぅん!」


俺の一撃をもろに受け、足が地面を滑る様に、奴はそのままの姿勢で大きく後退する。

ダメージはあるが倒れるほどではない、と言った感じだろうか。

我ながらナイスな手加減である。


「くくく、やるじゃねぇか……じゃあ、今度はこっちの番だ!」


次は俺のターンとでも言わんばかりに、台場が真っすぐ此方に突進して来た。

俺はその拳を正面から手で受け止める。


流石に体で受けてやるつもりはない。

別にたいして痛くはないだろうが、服とか破れたら嫌だし。


「はっ!正面から受けるかよ!だが何発耐えられるかな!!」


台場が嬉しそうに、流れる様な動きで連続で攻撃してくる。


……完全に力自慢のノータリンだと思っていたが、案外いい動きしやがるな。


パワーによるゴリ押しを想定していただけに、少々面食らう

だがまあ、それだけだ。

敵でない事には変わりない。


俺は適当に台場の攻撃を捌き、最初の一撃よりも強めにローキックを入れる。


「――っ!」


台場の動きが、痛みで一瞬止まる。

そのガラ空きになった奴の胸元に、俺は更に強めに掌底を決めてやった。


「がぁっ!」


台場の巨体が豪快に吹き飛び、そのまま床に倒れこんだ。

が、直ぐに起き上って来た。

手応え的に、結構なダメージが入っているはずなのだが、何とも無駄にタフな奴である。


「やるじゃねぇか。だがこの程度でおねんねしてやる程……俺は甘くねぇ!」


台場が再び突っ込んで来た。

やる気は買うが、如何せん実力が違い過ぎる。


「ぐぅっ……」


相手の攻撃を捌きつつ、適当に打撃を加える。


「がぁっ……はぁ、はぁ……」


それを何度も繰り返すと、流石に限界が来たのか、台場はその場に片手を付いて跪いてしまった。

中々の打たれ強さだったが、まあこれで決着だろう。


「勝負ありだな」


「……だ」


「ん?」


「……まだだ。俺はまだ……負けてねぇ!!おおおおぉぉぉぉぉ!!!」


台場が雄叫びと共に立ち上がってくる。

実力差は明白なのに、悪あがきにも程があるぞ。


「俺は!勝つ!!」


「!?」


台場の拳を受け止める。

だがそれは明らかに、先程までとは違う衝撃だった。


パワーが上がった?

フラフラの状態で?

そんな馬鹿な事が……


そう思いつつも、試しにもう一発受け止めて見る。


やはり間違いない。

台場の力は確実に上がっている。


一体何が?


限界突破(レベルアップ)……」


そんな心の疑問に答えるかの様に、背後で姫宮が呟いた声が俺に届いた。

そんな馬鹿なと思いつつも、俺は素早く自分の習得出来るスキル一覧を確認する。


その中には――


それまでになかった筈の、身体強化Lv7が表示されていた。

拙作を読んで頂きありがとうございます。


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魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
― 新着の感想 ―
[一言] レベルアップしたけど、それすら片手間にボコられそうな予感…
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