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第2話 ダメ人間

「あんたねぇ。ゲームばっかしてないで、仕事探しなさい。し!ご!と!」


アンニュイな月曜の午後。

楽しくゲームに興じていると、母親が部屋にやって来て説教が始まる。


「なんだよ!仕事仕事って!ちゃんと働いてるっての!」


「バイトなんて仕事って言わないのよ!」


俺の名は勇気蓮人(ゆうきれんと)、21歳。

異世界帰りの勇者であり、絶賛自堕落な生活を送っているフリーターだ。

俺だって好きでバイト生活をしている訳ではない。


――仕事が無いのだ。


何せ、中学卒業と同時に異世界に召喚されてしまったからな。

中卒で職歴無しの成人男性を、雇ってくれるような酔狂な会社などない。


まあもちろん、仕事を選ばなければ働こうと思えば働けるのだが……


なんつーか、気力がわかない。

異世界で戦い続けた事による、心的外傷後ストレス障害――PTSDって奴だな。

そう、俺には癒しが必要なのだ。


というわけで、現在俺はフリーターをしつつ、実家でゲーム三昧の日々を送っていた。


郷間(ごうま)君は会社を立ち上げて立派に働いてるってのに、あんたも少しは見習いなさい!」


帰って来た時は涙を流して喜んでくれた母だったが、就職活動もせずゴロゴロしている姿を1年ほど見せると、口やかましいオカンにジョブチェンジしてしまう。

一応バイトで稼いだ金の半分を入れてるんだから、ギャーギャー言わないでもらいたいものだ。


「うっせぇ!出てけババア!」


因みに、郷間は中学の時の同級生――悪友だった男だ。

帰ってきて1年経つが、実はまだ連絡を取っていない。


なんか気恥ずかしいというか、何と言うか……

ぶっちゃけ、5年間何処に行ってたとか詮索されそうで面倒臭かったから。

我ながらダメ人間街道をまっしぐらである。


母によると、どうも奴は父親とダンジョン関連の会社を立ち上げて働いている様だ。


ダンジョンとは、俺がいなくなった直後に現れ出した物らしい。

中には魔物がおり、危険な場所となっている訳だが、今やそのダンジョン攻略がビジネスになっているそうだ。


――能力者の出現により。


能力者とは、ダンジョン出現と時を同じくして現れ出した、特殊な異能の持ち主をそう呼ぶ。


「まあ!お母さんになんて口きくの!今日は晩御飯抜きよ!」


「んだと!?だったら家に入れてる金返せ!」


「ふん!そんなもん、とっくにお母さんのブランドのバッグに変わってるわよ!」


なんちゅうもんに金を使ってやがる。

いやまあ、入れた金をどう使うかは自由ではあるが。


それだけ吐き捨てて、母は部屋から出て行ってしまった。


やれやれ、折角元の世界に帰って来たのに、母がやかましくてゆっくりゲームも楽しめやしない。

とか思いつつも、画面に美少女が映るキャッキャウフフの素敵なゲームを、俺はニコニコ笑顔で進めていく。


「リリア!お兄ちゃんに任せなさい!」


義妹キャラのリリアが、画面内で困っていた。

俺は素早く課金し、彼女にパーティー用のドレスを購入してあげる。


最近のゲームは基本無料だが、イベントなどで課金(ズル)させる系の集金システムを取っているものが多い。

これもその一つだ。


ハマると結構な額が飛んでいく仕様の阿漕(あこぎ)な商売だが、大事な大事なリリアを助ける為なのだからしょうがない。


因みに今の俺がバイトしているのは――まあ実際働いているのは、魔法で出した分身だが――今やってる『義妹を育てろ!エンジェルハニー♡』と言うゲームに課金する為と言うのが大半を占めている。


義妹最高!


「お前は相変わらずだな」


急に扉が開き、野太い声をかけられる。

一瞬父かとも思ったが、こんな声はしていない。


振り返って確認すると、そこには――


「郷間……か?」


無精髭を生やし、疲れ切った顔のかつての悪友が立っていた。

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自作宣伝
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― 新着の感想 ―
[一言] 五年も異世界に飛ばされてちゃあ 中学で学んだ知識なんぞ記憶の彼方よな… ダンジョンとか出現してなかったら 高卒認定試験受けたりすんのかねえ
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