第126話 英雄色を好む
「ふ……男性から理解を得られるとは思っていないわ。でも、私は一人じゃない。そう!私には同士がいる!」
ニャンニャンが、輪廻、そして神木へと視線をやる。
え?
まさかこいつらも腐ってんの?
世も末だな。
おい。
神木に至っては、いい年して魔法少女属性まである訳だからな。
こいつの不良物件っぷりが凄すぎる。
「輪廻……お前まさか……」
基本的に、妹に甘い郷間までドン引きだ。
「いやいやいや!私は違いますよ!」
「そそそ、そうですよ!私も魔法少女一筋ですから!」
二人が慌てて否定するが、その慌てっぷりが逆に怪しい。
いやまあ、こいつらが腐ってようがとんでもない不良物件だろうが、俺にはどうでもいいっちゃどうでもいい事だが。
「連れないわねぇ。まあ、そういう事にしておいて上げるわ」
「まあこの際、二人の趣味はこの際置いとくとして」
人の趣味に干渉するつもりはないからな。
まあ好きに腐り果ててくれ。
「おいとかないでください!」
「私は魔法少女一筋です!」
「わかったわかった。今は大事な話をしてるから、ちょっと黙っててくれ」
「えぇー」
「……」
二人は不服そうだが、興味のない話を延々続けられてもな。
その手の話は俺のいないところでして貰いたい。
「で?男同士の恋愛にしか興味ない奴が、強制でもないのになんで俺と結婚したいんだ?」
「結婚は別に必要ないわ。貴方の遺伝子が欲しいのよ。家を強くするために、ね。シェンの一族は常に上を目指す。私自身も、その為なら何でもするつもりよ」
「兄貴と同じマインドな訳か」
「家の為って……いつの時代の人間よ」
玲奈の言う通りだな。
個を重要視する現代。
それに逆行するかのような、時代錯誤の感覚と言わざるえない。
私情を捨ててお家の為にってのは。
まあ庶民だからそう思うだけで、上流階級は未だに前時代的な考えを祖てるのかもな。
まあ洗脳的な教育の賜物かどうかは知らんが、本人がそれを強く望んでるのなら否定はすまい。
但し、協力もしない。
当然だが。
「悪いが、お前さんの――」
「ほっほっほ。宜しいのではないですかな」
フーガが急に口を挟んで来た。
一体何が宜しいと言うのか?
「古来より、英雄色を好むと申しますからな」
とんでもない事を口にしやがる。
こいつ、実はエロ爺気質だったのか。
「俺は別に英雄なんかじゃないし。基本的に純愛一直線だ」
え?
義妹を大量に愛してるのにどこが純愛だって?
2次元はセーフだ!
そう、2次元はセーフだ!
大事な事だから2度行っておく!
「異世界とこの世界で二度、魔王を倒そうとしているお方が英雄でなくて何だというのですか。それと……子孫を大量に残すのは、より優れた遺伝子をばら撒く重要な行為ですぞ。蓮人殿が魔王を倒したとして、いつまた世界を脅かす存在が現れるやもしれませんからな。未来に備え、強い遺伝子を残すのは英雄の義務と言って良いでしょう」
「いやいや、魔王みたいなのがそうポンポン現れて堪るかよ」
ゴキブリじゃねーんだぞ。
1匹見たからって30匹出て来るとは流石に思えない。
「邪悪な七柱の神の事をお忘れですかな?」
「……」
爺ちゃんがいた異世界を滅ぼしたと言われる、邪悪な神。
爺ちゃんの強さは今の俺以上だ。
その爺ちゃんが、1体すら倒せなかったという邪神たち。
「その者達が、魔王の様に次元を超えてやってこないとも限りますまい」
魔王に出来て、それ以上の力を持つと思われる神を名乗る奴らに出来ない筈もない。
そいつらの目的は、世界のエネルギー(生命エネルギーを含めた)を回収する事だと爺ちゃんは言っていた。
エネルギーが豊富であると思われる地球が狙われてもおかしくはないのだ。
ただまあ……そんな奴らが地球に来てしまったら、仮に俺の子孫がたくさんいたとしてもどうにもならない気がするんだが?
魔王のサポートまで受けた、俺より強い奴が出て来るとは流石に思えんし。
数が滅茶苦茶多ければワンチャンかもだが……
まさか、百や千単位で子孫残せって言ってるんじゃないだろうな?
「七柱の神ってのは何なのよ?」
玲奈が、フーガの口にした神って単語に反応して尋ねて来る。
「異世界に居た、魔王を越える7体の化け物の事だ。どうも、世界から全てのエネルギーを奪いつくして滅ぼしまわってる奴らだそうだ」
爺ちゃんの事は伏せておく。
必要な話でもないのに、ぺらぺら人に話す様な真似はしない。
「えぇ……そんな化け物までいるのかよ」
俺の言葉に、郷間が顔を歪める。
そのため、不細工な顔がさらに不細工に進化した。
キング不細工の称号をお前に与えよう。
「まあ、遠い異世界の話だ。地球に来ると決まった訳じゃない」
世界は広い。
たぶん。
なので、よほどのことがない限り地球に辿り着く事はないはずだ。
たぶん。
正直……仮に地球にやって来ると想定しても、それがいつか分からない上に、相手の戦力が桁違い過ぎて対応のしようがないというのが本音だ。
なので、来ませんように願う事しかできない。
大量に子孫をばら撒いて世界の危機に備える……
世界を救うためといえば、美しく聞こえなくもないが、それは俺自身の尊厳を傷つける物だ。
果たして、そこまでしてこの世界は救う価値があるのだろうか?
取りあえず、今は魔王を倒す事だけに集中するとしよう。
後の事は、それが終わってからでいい。
どちらにしろ、奴に負けたら何もかもお終いなわけだからな。
今は目の前の危機の事だけ考える。
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