第124話 鋼鉄の精神
「それは……我々のレベルアップも手伝って貰える。そう考えても宜しいんですかね?」
鉄針が聞いて来る。
そういや、もともとシェンがエギール・レーンに接触しようとしたのも、レベル上げの効率化が目的だったな。
俺が奴らのレベル上げを手伝うってんなら、そりゃ飛びついて来るか。
「まあ……あいつの薬を作る能力は確かに悪くはないからな」
練丹術。
魔物を錬成する能力で、回復アイテムなんかを生成可能なスキルだ。
あいつはそれを換骨奪胎という、肉体を自在に作り変える特殊能力で体内に大量に取り込み、ダメージを瞬時に回復してクレイスとの戦いで驚異的な耐久力を得ていた。
俺の場合は体内に取り込むってのは出来ないから、経口摂取でどうしても効率は落ちるが、それでもレベルを上げて効果を高めれば十分すぎる有用な効果を発揮するはず。
ああ、換骨奪胎はコピーしようと思えばできるぞ。
ただコピーしても、今の俺の肉体で扱う事が出来ないだけだ。
なぜなら――
俺の肉体は、魔王と闘うために最適化されているから。
そのため下手に弄ると、バランスを崩して限界突破の効果が失われる可能性が高い。
なので、肉体に変化をもたらす系の能力や魔法は使えないのだ。
本能的に外部からの影響を弾く状態だし。
因みに、シェンには移形換位というの能力もあるが……
まあそっちは使えん。
移動距離は短いし。
消耗は大きいし。
そこそこ腕の立つ奴なら、簡単に転移は見切れるレベルで。
それとたぶん、というか間違いなく、強力なエネルギーが発生してるような状況じゃ―—魔王との戦いは、間違いなくエネルギーが散乱している状態になるだろうし―—使えないからな。
まあレベルを上げれば多少は改善されるのかもしれないが、正直あまり期待は出来そうにない。
なので、現状は覚える価値無0だ。
「そういや、丹薬を使えば経験値も入るんだったっけか?」
丹薬の大本は魔物である。
そのため、摂取するとそれだけで経験値が手に入るとか言ってたはず。
「そんな物があるんですか?」
聖奈が目をぱちくりさせる。
「ああ、中国のシェンって奴の能力で作れるものだ」
「偉大なるシェン様は、その気になれば他人のレベルを上げる事も可能なのですよ。まあですが……倒すのに比べると、得られる経験値はだいぶ少なくなってしまいますが」
「減るのか。だったら……それ単体じゃ、戦闘に適さない能力者用にしか使えない感じだな」
魔物を丹薬に錬成するより、そのまま倒した方が効率がいいなら丹薬にする意味はない。
倒せばいい訳だからな。
ただ、優秀な能力でも、敵を倒す事に適していない能力者なんかのレベル上げには有用ではある。
「私も、兄の丹薬を食べてレベル上げをしたわ。まあ私の場合、能力に頼らなくても戦おうと思えば戦えたけどね。換骨奪胎もできるし」
どうやら、ニャンニャンも換骨奪胎が出来る様だな。
それに能力も持ってるようだ。
郷間といい。
玲奈達といい。
兄妹姉妹で覚醒してる奴が多いな。
やっぱ血筋が影響するのかねぇ。
「あんたも能力者なの?どういう能力を持ってるのよ」
玲奈が、ニャンニャンに尋ねる。
なんか……さっきから玲奈のニャンニャンに向ける言葉が刺々しい様な。
二人の間で何かあったんだろうか?
まあ俺には関係ない話だから、気にしてもしょうがないか。
「私の能力?私の能力は――鋼鉄の精神よ」
フルメタルマインド。
名前からして精神系の何かっぽいな。
「フルメタルマインド?図太くなりそうな能力ね」
「まあそこは否定しないわ。この能力は精神の乱れを抑え込んで、平常心を保つ感じのスキルだしね。一言で言うなら……図太くなる、で間違いないわよ」
「なるほど。そのスキルでとんでもなく図太いから、顏も見た事のない相手と結婚しに来れた訳ね」
「まあね」
図太くなる能力か。
まあ戦闘では平常心が重要になるから…………いやちょっと待てよ!
精神の乱れを抑え込む。
それって……
ひょっとして……
バスターモード時の、我を忘れてしまうあの状態も何とかなるのでは……
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