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規格外のストラテジー~異世界帰りの勇者、知り合いにばれてダンジョン攻略に駆り出される~  作者: まんじ(榊与一)


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第122話 あてに出来ない

「で、だ。俺は魔王と戦うために強くなろうと、絶賛努力してる最中な訳でだな……そこにお邪魔虫からの呼び出しが入って、仕方なくここへやってきたのである。まーる」


迷惑だから気軽に呼び出すな。

そう衛宮姉妹に釘を刺しておく。

世界が滅びるかもしれないって瀬戸際で、玲奈達の我がままに等付き合ってられん。


もちろん、それはシェンの送ってきたニャンニャンにも言える事だ。


「腹立つ言い方するわね。まったく……ていうか、魔王ってそんなに強いの?」


「ああ、今の俺じゃ話にならんレベルだ」


現状では、【破壊の化身化(バスター・モード)】を使っても魔王には届かない。

なので、俺は強くなる必要があった。

それも遥かに。


それと……強くなるのは勿論だが、戦うための状況もなんとかしないと駄目だ。


戦いによる影響は甚大な物になるはず。

戦い自体も問題だが、魔王に勝った後のバスターモードも問題だ。

倒すと同時に切れてくれるなら兎も角、そんな都合よく行く訳もない。

まず間違いなく、正気を失っている俺の手で大破壊が引き起こされる事になるだろう。


ダンジョン内で戦えばいい?


残念ながらそれではだめだ。

圧倒的パワーを封じ込める程の力は、ダンジョンにはない


なので魔王と同等以上のパワーを手に入れ奴とぶつかった場合……ダンジョンは極短時間で崩壊してしまう事に。


ダンジョンを作れるようになったからこそ、それがよくわかる。


「シェン様を越える、蓮人さんすら敵わない魔王なる存在ですか。正直、想像もつきませんねぇ」


鉄針が俺の話に目を細める。

そういや、こいつには魔王の話とかして無かったな。

まあ特にする意味もなかったのだから、当然だが。

信用もしてないし。


郷間とは上手くやってるみたいだが、シェンの命令で出向いてるだけの奴を俺が信頼する訳もない。


まあ信用できないなら毒で支配するって手もあるんだが……あんまり、その手の非道な真似は気軽には使いたくないんだよな。

甘いと思われるかもしれないが、その手の行動を常態化させてしまうと、俺自身の人間性に大きく影響が出てしまう可能性が高い。

人を暴力的な物で支配するのが当たり前になるって、完全に暴君の始まりだし。

人は感覚がマヒしていく生き物だからな。


もし俺が、そんな人間になってしまったら……


そう、そんな人間になってしまったら……


俺は義妹達に胸を張って兄と名乗れなくなってしまう!!


だからまあ、よほどのことがない限りこの毒で人を支配する様な事はしないつもりだ。


え?

笹島達はいいのか?


いいんだよ。

アイツら糞だったし。

何より……


お試し(テスト)も兼ねてたからな。


何事もテストは重要だ。

そうだろ?


「想像する必要はないぞ。どうせお前は戦わないんだし」


魔王の真の力を知る前なら、能力者連中も鍛えまくれば少しは戦力になるかも。

なんて思ったかもしれないが……


魔王の強さは、以前戦った際の比じゃなかった――バスターモードで理性が飛んで暴走していた状態だったが、俺は、正確には俺の体がそれを感じ取っている。

とてもではないが、鍛えたからって玲奈や姫宮辺りが戦える様な次元ではない。


俺一人で戦わんと。


「まあ確かに。今の蓮人さんが敵わないような相手では、私が加勢した所で邪魔にしかならないでしょうから」


「兄のレベルでも、戦力にはならない感じかしら?」


ニャンニャンがシェンはどうかと聞いて来る。


「話にならん」


確かにあいつの強さは、俺の見た能力者の中では頭一つ抜きんでている。

だが、あの程度じゃ攻撃が掠っただけで即死だ。

お得意のダメージ回復をする暇もなく、命を落とす事になるだろう。

全く役に立たん。


まあ、そもそもそれ以前に――俺は魔王との戦いでバスターモードを確実に使うからな。

下手したら、俺がシェンをこの手で殺す事になりかねない。


味方として加勢してくれた人間を俺が殺す。

流石にそれはな……



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