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第109話 致し方なし

「あ、あの……その……」


衛宮姉妹が俺達の前にやって来る。

そして妹の聖奈――デカイほう。いや、でかいって言っても普通の女の子ぐらいではある。単に姉の方がちっこいのでそう評しただけだが――が、もじもじしながら話しかけてきた。


一体なんだ?

この反応はどうとらえればいい?

俺の正体に気づいてってんなら、こんなもじもじしないよな?

全く衛宮姉妹の意図が分からん。


「あんたたち、兄弟よね」


玲奈が俺の本体(子供)をまじまじ見た後、横にいた分身(大人)にそう聞いて来る。

勿論兄弟ではない。

分身だから。

というか、仮に兄弟だったとしてそれがなんだと言うんだ?


つうか、聞かれても説明しずらくて困るんだが……


「ふむ……お嬢さんがた。こっちのでっかいのはわしの孫の蓮人れんとじゃ。で、ちっこい方がその弟の連根(れんこん)じゃ」


俺が何と答えようかと思案した一瞬のすきに、爺ちゃんが分身と俺を兄弟という事にしてしまう。


まあ特に問題ないから構わないけど……流石にレンコンはなくね。

穴あき根菜にしか聞こえないんだが。

シワシワネームでそれはつけんでしょ。


「れ、レンコン……」


「こ、個性的な名前ね」


衛宮姉妹も軽く引いている。

まあそりゃそうだ。


「わしはこの子らの祖父の勇気和人じゃ。お嬢さん達の名前を伺ってもいいかね?」


「あ、すいません。失礼な事しちゃって。私は衛宮聖奈です。で、こっちが――」


「姉の玲奈です」


普段から人に噛みつく溜口大臣みたいな女だが、流石に目上の人間には敬意を払う様だ。

玲奈は。

まあどうでもいい事だが。


「ほっほっほ。玲奈ちゃんと聖奈ちゃんじゃな。どうやら孫たちの事を知っているみたいじゃが、どういう関係なんじゃ?」


爺ちゃんは特に、姉と名乗った玲奈の幼い姿には触れなかった。

きっと爺ちゃんの召喚された異世界には小人族とかがいて、きっとその経験から素直に受け止めれたんだろう。


知らんけど。


「あ、えっと……王子様、じゃなくて……」


「昔、お孫さんに世話になった事があるんです」


王子様?

なにをどう言い間違えたら、そんな単語が出て来るのやら。


聖奈の謎のワードも少し気になったが、それよりも玲奈の言う昔お世話になったという言葉の方が気になる。

だって俺、こいつらのお世話なんてした覚えがないから。


まさかレベル上げの事を言ってるのか?

いやでも、俺がエギールだって気づいてる様には全く見えないんだが……


「ほうほう。孫がのう」


「私達、少し事情があって橋の下で生活いてた事があるんです。10年ちょっと前に」


「なんと、それは苦労した事じゃろう」


「はい。その時に、お孫さんに色々と世話になったんです。食べ物を貰ったり、ゲームを貸して貰ったり」


10年前。

橋の下。

食べ物にゲーム。


――あっ!?


玲奈の口にした4つのキーワード。

そこから、一つの記憶が浮かび上がって来る。


橋の下で隠れ住んでた、ボロボロの姉妹と関わった記憶が。


「お前ら……まさか、タヌキとキツネか?」


「思い出したみたいね」


「へへへ。お久しぶりです」


面影が無いので、今まで全く気づかなかった。

キツネ――玲奈の方は寸法ほぼそのままだけど、あの当時は小汚かったからなぁ。

今の小奇麗な姿と繋がる訳もない。


「そうかそうか。急にいなくなったから心配してたんだぞ。まあ元気そうで何よりだ」


あの時は結構焦った物だ。

貸してたゲームだけ置いて、綺麗さっぱりいなくなってたからな。

何かあったのかと思って1週間ぐらい毎日見に行ったり、親から警察に連絡して貰ったりもしたし。


まあガキだったから、一か月も経つ頃には忘れゲーム三昧になってたけど。

神ゲー出たから。


そこは子供だし致し方なしだよな。

神ゲーには勝てんわ。

しょうがない。


「ご心配おかけしました」


「連絡したかったんだけど、あの後色々ごたついちゃっててね。悪かったわ」


「まあいいさ」


まあなんにせよ。

無事だったんならめでたい事である。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
姉妹とは分身の方で喋ってるのかな? レンコンを見て、兄であるレントが恩人だと思ったということだよね?
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