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唯空に光るモノ

作者: OHAGIっち

 1つ、2つ。いくつもの。

 唯、今日も光っています。

 夜になれば、必ずソラを照らします。


 この小さくも、まぁ地元の人は誰もが知ってる(であろう)丘で、街が暗くなってきた深夜辺りに夜空を見上げるのが大好きなのです、ワタシは。

 名前なんて知らないけど、アレは赤いなーとか、アレは青いなーとか、アレは随分光ってるなーとか、そんな事を考えているだけなのです、ワタシは。


「よう。今日も来てるんだな、アンタ」

「そういうアンタも物好きね、こんなに寒いのに」

「オマエ人の事言える立場じゃないだろーが」

「確かに」

 ハハハッ、って笑ったのはワタシ。


 ちなみにコイツとはここで毎日空を眺める過程でたまたま知り合っただけで、名前なんていうのーとか、何処に住んでんのーとか、昔同じ学校だったかもねーとか、お互い聞こうともしません興味ありません。

 私はほとんど毎日ここに来るけど、コイツはホントたまーに来る感じで。


 ベンチなんてありはしないので、雑草が生い茂る適当なトコに座るだけ。

 そんでコイツはワタシと少しだけ離れたトコに座るわけです。


「ほら、飲めよ」

 投げ渡されたのはホットの缶コーヒー。

「うえ……。ブラック嫌いなんだけどなー、ワタシ」

「なんだよ、文句言うなら返せよ」

「いえ頂きます」

 カシュッと音を立てて、開くと同時に白い湯気。寒い時にはいいですよね、ホットの缶コーヒー。


「ふぅ……暖まるわー、苦いけど。ていうか甘いのあるのになんでブラック?」

「オレの趣味」

 グビグビと一気に飲み干すカレ。ワオ、信じられん。


「そんでこれはオマエの趣味。だろ?」

 カレの指差すはソラ。ホシ。ツキ。


「そう、全部ワタシの趣味。……ていうかあんたもじゃん」

「いや、ちょっと違うな。オレはこういうジカンが好きなんだ」

「ふーん」

 ハァーッって吐く息は、コーヒーの御蔭でよりいっそう白く見えたりなんかしたり。


「冷たっ、少しは興味持てよ」

「だって興味ないもん」

 ハハハッ、って笑ったのはコイツ。


「確かにそうだ。お互い好きなモノは違うのに、目的も違うのに、こうして群れてるんだもんな」

「いいんじゃないの別に。ヒトリよりは」

「あぁ。ヒトリよりは、な」

 ワタシはずっと眺めているだけ。コイツはずっと感じてるだけ。そんで飽きたら帰るだけ。


「あ、流れ星」

「ん……そういや今日何とか流星群の日じゃなかったか?」

「そうなの? 知らなかった。あ、また流れ星」

 この時を待ってましたー、と言わんばかりにホシ達が流れる、流れる。


「この数ならゆっくり願い事しても、少しずつ叶えてくれそうだな」

「あー……そうだね。チャンスだね」

 そしてゆっくりと、ワタシはオネガイをしたわけです。


「どんな願い事したんだよ」

「何? 聞きたいの? ねぇ、聞きたい?」

「なんでそんなに嬉しそうなんだよ。気持ち悪いから興味なくなった」

「そんなこと言わずにさ、聞いてよもう一回」

「……どんな願い事したんだよ」

 地球ココにあるもの全てに想いをのせて。


「明日もまたこのソラが見れますように、って」

 そしてワタシは満面の笑みを零したのです。


「そっか。そりゃ壮大な願い事だな」

「そうよ。願い事なんだからデカイ分には問題ないでしょ」

 そしてコイツも満面の笑みを返したのです。


 そうやってトキは過ぎて行くのです。


「じゃ、ワタシ帰るね」

「んじゃオレも」

「何よ、ついて来ないでよ」

 あーだこーだ言いながら歩いているワタシ達を、このソラのモノ達はいつでも、いつまでも見守ってくれることでしょう。


 あー今日は帰りたくないかもって思うのは、地球ココにソラがあるからで。

 でもそんな訳にいかないのは、アシタがあるからで。


 またアシタ、って聞こえた気がしたから、ワタシは振り返って大きく、大きく手を振りました。

 ――バイバイ、またアシタ。


 そしてアサは、やって来るのです。

今回はカタカナにこだわってみました。


ちょっと小説書いたりすると、必ず男女ペアの登場になる不思議に気付きました…人間の神秘ってことで。


ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分も空が好きで、よく眺めていた事を思い出しました。 今は空を見る時間より、スマホやらゲームやらに時間を奪われ、更にその影響の視力低下により見える星の数が減ってしまいました。 いや、減らし…
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